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【2026年最新】インフレ時代に定期預金と個人向け国債のどちらがいいか、FPが本音で解説

「銀行に預けていても増えない……でも、株や投資信託は怖い」

そう感じている方にとって、銀行の定期預金と個人向け国債は、現実的な2大選択肢です。どちらも「元本割れリスクが低い」という共通点がある一方で、インフレが続く今の時代には、その選び方が将来の資産に大きな差をもたらします。

この記事では、独立系ファイナンシャルプランナーの筆者が、制度の仕組みや比較だけでなく、「インフレ時代にどちらを選ぶべきか」という点について本音で解説します。

※本記事には、筆者の個人的見解が含まれています。ご了承ください。

 

 

個人向け国債とは?仕組みと種類を整理する

国が発行する、個人向けの債券

個人向け国債は、国(財務省)が資金を調達するために個人向けに発行する債券です。元本と利息の支払いは国が保証しており、日本国内で購入できる金融商品の中でも、信用リスクという点では最高水準の安全性を持ちます。

<リンク>個人向け国債窓口トップページ : 財務省

銀行や証券会社で購入でき、最低1万円から、手数料なしで始められます。毎月募集されており、購入のハードルは決して高くありません。


3つの種類と金利の特徴

個人向け国債には以下の3種類があります。変動10年、固定5年、固定3年です。

種類 金利タイプ 期間 2026年6月募集の金利
(税引前)
変動10年 変動(半年ごとに見直し) 10年 1.74%
固定5年 固定(満期まで変わらない) 5年 1.86%
固定3年 固定(満期まで変わらない) 3年 1.51%

※参考:財務省「個人向け国債」(2026年6月時点)


変動10年の大きな特徴は、市場金利の動きに連動して半年ごとに利率が見直される点です。金利が上がれば受け取る利息も増える仕組みになっており、後述する「インフレへの強さ」に直接つながります。

固定型(3年・5年)は、購入時の金利が満期まで変わらないため、将来の受取額を事前に計算できるメリットがあります。

 

途中換金のルールを知っておこう

個人向け国債には購入後1年間は換金不可というルールがあります。1年経過後は1万円単位で中途換金できますが、その際に「直前2回分の利子相当額×0.79685」が差し引かれます(中途換金調整額)。

急ぎで現金が必要になる可能性があるお金には向かない点は、購入前に必ず理解しておきましょう。

1年以上は使う予定のない資金での購入を推奨します。


銀行の定期預金とは?使い勝手と金利の現実

一定期間、預け入れるだけのシンプルな商品

定期預金は、銀行に一定期間・一定金額を預けることで、普通預金より高い金利を受け取れる商品です。仕組みはシンプルで、多くの方が馴染みを持っています。

口座さえあれば手続きは簡単で、自動積立定期や給与天引きにも対応しているケースが多いため、「貯める習慣をつくる仕組み」としても有効に機能します。

預金保険で1000万円まで保護される

万が一、銀行が経営破綻した場合でも、預金保険制度によって1金融機関あたり元本1000万円とその利息まで保護されます。国債とは異なる担保ですが、日常的に使う金融機関においては十分な安全網といえます。

2026年の定期預金金利の実態

金利上昇を受けて、ネット銀行では定期預金金利も上昇傾向にあります。
2026年6月時点の主要ネット銀行の1年定期預金金利は以下のとおりです。

<参考>

- SBJ銀行(ミリオくん・1年)1.25%
- 大和ネクスト銀行(1年)1.20%
- オリックス銀行(1年・新規)1.40%
- SBI新生銀行(スタートアップ・新規)1.30%

メガバンクの定期預金は依然として0.3~0.4%台が中心であり、ネット銀行と大きな差があります。また、1年以上の長期定期になるほど、現状では金利が必ずしも高くないケースもあります。

 

インフレ時代に「定期預金 vs 個人向け国債」徹底比較

以下の表で2つを比較します。

比較項目 個人向け国債(変動10年中心) 銀行定期預金
元本保証の仕組み 国が元本・利息の支払いを保証 預金保険で1000万円+利息まで保護
金利タイプ 変動(半年ごとに実勢金利に連動) 固定(預入時の金利でロック)
2026年6月の
金利
変動10年:1.74% 
固定5年:1.86%
固定3年:1.51%
ネット銀行1年:1.0〜1.3%程度
インフレへの強さ 変動なら相対的に強い
(金利上昇に追随)
弱い(金利固定のため)
流動性 1年間は解約不可。
以降は中途換金可
途中解約可
最低購入金額 1万円から 銀行・商品により異なる(数百円〜)
複利効果 半年ごとに利息受取(単利。再投資は自分で行う) 満期自動継続などで複利運用しやすい
インフレ率(2026年4月) 消費者物価指数 前年比 +1.4%(総務省) 同左

2026年4月の消費者物価指数は前年同月比+1.4%(総務省統計局)。
個人向け国債変動10年の1.74%は、税引き後(約1.39%)で実質的にインフレ率と拮抗する水準。定期預金(1年:1.0〜1.3%)は、税引き後でインフレ率を下回るケースが多い状況です。

<参考>2020年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)4月分(2026年5月22日公表)


FPとしての本音|インフレ時代、私はこう考える

余裕資金なら「本来は株式・投信ベース」が正直なところ

正直に言えば、老後や将来に向けた余裕資金の運用という文脈では、株式を含む投資信託(インデックスファンドなど)を活用する方が、長期的なインフレへの対抗力は圧倒的に高いと考えています

2%前後のインフレが継続する環境では、国債も定期預金も「元本の名目額は守られても、実質的な購買力は少しずつ削られる」のが現実です。

しかし、「株や投資信託は価格が下がることがあって怖い」という感覚は、多くの方が持つ正直な気持ちです。そういった方にとって、現実的な選択肢がこの2つになります。

 

インフレ時代に定期預金で長期間固定することのリスク

金利が固定される定期預金を、長期で大きな額に使うことは、FPとして懸念。

インフレがさらに進んだり、日銀がさらなる利上げをした場合、「今の金利でロックしてしまった定期預金」は、後から振り返ったときに相対的に損をしていることになります。

例えば、2026年時点で「1年定期・1.3%」に1000万円を預けたとします。翌年インフレが2%、定期継続時の金利が2%に上昇していたとしても、今年1年間の運用はあくまで1.3%です。元本は守られますが、実質的な購買力は目減りしています。

一方、個人向け国債の変動10年は半年ごとに金利が見直されるため、インフレや市場金利の上昇に自動的に追随します。元本が守られながら、利率も上がっていく仕組みは、今の時代に非常に合理的といえます。

 

それでも定期預金が「向いている」ケースは存在する

ただし、「だから定期預金はいらない」とも言い切れません。定期預金が役立つ場面は確かにあります。

1年以内に使う予定がある資金
旅行、車の購入、近いリフォームなど、使う時期が近い資金は、1年未満の解約ができない国債より、いつでも解約できる定期預金の方がシンプルです。

「貯める仕組み」をつくりたい人
給与天引きや自動積立の設定ができる定期預金は、「気づいたら使ってしまう」という方の貯蓄ツールとして今も有効です。この点において国債は代替にはなりません。

今後、金利が下がり始めた局面
もし今後、金利が下落に転じる局面が来た場合は話が変わります。「今の比較的高い金利を長く固定したい」という場面では、定期預金や個人向け国債(固定5年)が有利になります。変動10年は金利が下がれば利率も下落するため、この点は頭に置いておく必要があります。

 

私なりの結論:「時間軸と資金の性格」で使い分ける三層構造

まとめると、私の考えはこうです。

資金の性格 向いている選択肢
1年以内に使う可能性が高いお金
(生活防衛資金含む)
定期預金(短期)・普通預金
中長期・当面使わない守りのお金
(余裕資金)
個人向け国債・特に変動10年
インフレを超える成長を狙うお金
(余裕資金・長期)
投資信託などのリスク資産

インフレ・金利上昇の継続が前提であれば、中長期の余裕資金の置き場所としては、定期預金より個人向け国債(変動10年)の方が合理的だと、私は考えています。

「元本保証で守る安全ゾーン」と「成長を狙うゾーン」を意識的に分けたうえで、後者にNISAや投資信託を活用する三層構造が、インフレ時代の資産形成では最も現実的な設計です。

 

まとめ:インフレ時代の「安全資産」との正しい付き合い方

- 個人向け国債(変動10年)は、金利上昇・インフレ局面では定期預金より合理的な選択肢になりやすい
- 定期預金は「流動性」「積立の仕組み化」「金利下落局面でのロック」という場面で有効
- 余裕資金でインフレを超えるリターンを目指すなら、投資信託(株式)を無視することはできない
- どれかひとつではなく、資金の性格と時間軸で使い分ける三層構造が実務的

元本保証の安全資産に関心を持つことは資産形成の第一歩です。「自分のお金の置き場所を見直したい」と感じた方は、ぜひFPへの個別相談もご検討ください。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

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小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

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『個人向け国債プラス』って何が変わるの?2027年の改定をFPがわかりやすく解説

名前が変わると聞くと、「仕組みも変わるのでは」「今まで通り買っていいのかな」と不安になる方も多いかもしれません。
でも、結論からいえば、個人投資家にとって大きく変わるのは主に「名前」と「販売対象」で、商品の基本的な中身は変わりません。。

この記事では、「個人向け国債」と「個人向け国債プラス」の違いを整理しながら、投資歴20年超の独立系FPが投資初心者の方にもわかるように解説します。

■この記事で分かること■

・「個人向け国債」と「個人向け国債プラス」の違い
・個人向け国債(プラス)の3タイプの特徴やメリット・注意点
・無理のない資産運用の順番と考え方

 

そもそも「個人向け国債」って何?3タイプをサクッとおさらい

個人向け国債は、日本国政府が個人向けに発行する債券です。国が元本と利子の支払いを行うため、途中換金しても元本割れしない仕組みになっています。ただし、中途換金時には利子の一部が差し引かれます。

・1万円から購入できる(1万円単位)
・手数料は無料(購入時・償還時ともに)
・最低金利0.05%が保証されているため、利子がゼロになることはない
・毎月発行されており、1年に12回購入チャンスがある

といった特徴があります。

⚠️ 注意点発行後1年間は中途換金ができません。急に必要になるかもしれないお金には向きません。

<参考>個人向け国債窓口トップページ : 財務省


3タイプの特徴を比較

個人向け国債には3種類あります。変動10年、固定5年、固定3年の3つです。

個人向け国債3種類の比較

個人向け国債3種類の比較

性格比較表

どのタイプを選ぶかは、「いつ使うお金か」で考えるのが一番シンプルです。

種類 金利 満期 こんな人向け
変動10年 半年ごとに変わる 10年 将来の金利上昇も取り込みたい人
固定5年 購入時に固定(5年間変わらない) 5年 今の水準を5年ロックしたい人
固定3年 購入時に固定(3年間変わらない) 3年 まず短めで試してみたい人


ちなみに2026年6月募集分の金利は、変動10年が1.74%、固定5年が1.86%、固定3年が1.51%でした。数年前より、だいぶ金利水準が上がっており、定期預金と比べても検討しやすい局面だと感じます。

▼こちらの記事で詳しく解説しております▼
-【2026年6月】個人向け国債の金利をFPが解説|変動10年・固定5年・固定3年を月次チェック

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「個人向け国債プラス」とは?いつから何が変わるの?

2026年12月募集・2027年1月発行分から、商品名が「個人向け国債」から「個人向け国債プラス」に変わります。
財務省は、この変更を販売対象の拡大に合わせたものと説明しています。

個人向け国債プラスの変更点

「プラス」という名称は、個人に加えて一部の法人等も買えるようになることを示しています。

 

何が変わる?何が変わらない?

「変わる部分」と「変わらない部分」を分けると非常に分かりやすいです。

財務省のQ&Aでも、販売対象を「個人のみ」から「個人及び一部の法人等」に拡大するだけで、基本的な商品性に変更はないと明記されています。

つまり、個人投資家から見ると「名前は変わるが、中身はほぼそのまま」ということです。

財務省公式サイトより
出典:個人向け国債の法人等への販売対象拡大について(財務省)

 

メリットと注意点

商品性が変わらないため、メリットと注意点も従来と同じです。

メリット

- 途中換金でも元本割れしない設計(利子の一部は差し引かれる)
- 最低金利0.05%が保証
- 1万円から始められる
- 半年ごとに利子が受け取れます。

注意点

- 発行後1年間は原則として中途換金不可
- 中途換金時は、直前2回分の各利子相当額に0.79685を掛けた金額が差し引かれる
- 株式や投資信託のような高い成長性は期待しにくい

 

筆者コメント:購入後1年間は中途換金ができないことに注意です。生活防衛資金を入れるのではなく、数年後に使う予定のお金の置き場所として考えましょう。

 

なぜ一部法人も買えるようになるの?

背景には、国債を安定的に保有してくれる投資家層を広げたいという政府の狙いがあります。具体的には、非上場の中小企業や学校法人・宗教法人などの非営利法人、マンション管理組合などが例として示されています。

ただし、この変更はあくまで販売対象の拡大であり、個人の条件を不利にするものではありません。将来的な制度変更の可能性はゼロではありませんが、少なくとも今回の『プラス』化は、個人の条件を悪化させる趣旨ではありません。

詳細については、財務省の公式サイトを確認するようにしてください。

出典:個人向け国債の法人等への販売対象拡大について(財務省)

出典:個人向け国債の販売対象となる法人等(財務省)

 

投資初心者はどう選んで買えばいい?

個人向け国債(プラス)は、「増やすお金」より「減らしたくないお金」の置き場所として考えると分かりやすい商品です。

目的と期間から考えると選びやすいと思います。

・3年先に使う予定がある資金 → 固定3年(期間が短く、柔軟)
・3〜5年は使わないと決められる資金 → 固定5年(今回1.86%で今の水準を固定)
・長期・10年スパンで将来の金利上昇も取り込みたい → 変動10年

 

購入を検討する前に。家計のお金は「3つの箱」で考える

家計のお金は、「3つの箱」に分けて考えると分かりやすいです。①生活防衛資金 ②安全に育てる資産 ③リスクを取って育てる資産 の順番で考えましょう。

① 生活防衛資金:まずは守るお金を確保する

生活防衛資金は、病気・失業・急な出費に備えるためのものです。  
目安は、会社員なら生活費の3〜6か月分、自営業やフリーランスなら6〜12か月分ほどを、普通預金などすぐに引き出せる形で持っておくと安心です。


② 安全に育てる資産:数年以内に使うお金の置き場

次は、「数年以内に使うかもしれないけれど、今すぐではないお金」を入れる場所です。個人向け国債はここに該当します。

主に、個人向け国債(プラス)、定期預金など、元本割れリスクが小さい商品です。教育費の一部、数年後のリフォーム資金など、「目的と時期が見えているお金」を、預金より少し有利な利率でコツコツ増やすイメージで使います。


③ リスクを取って育てる資産:長期で増やしたいお金

3つ目は、「10年先まで使う予定がない、長期で増やしたいお金」です。具体的には、NISAを使った投資信託や株式など、値動きはあるものの長期で成長を期待できる資産が中心です。

「減っても生活に困らない余裕資金」だけをこの箱に入れることが大切です。生活防衛資金と安全資産の箱ができてから、3つ目の箱に進むステップを意識すると、無理のない資産運用になります。

この3つを理解するだけで、無理のない資産運用の土台が整います。

 

よくある質問

Q. 「プラス」とついたけどリスクが増えるの?
A. いいえ。基本的な商品性に変更はありません。

Q. 今持っている個人向け国債はどうなる?
A. 既に保有している個人向け国債は、そのままの条件で継続保有できます。

Q. 「プラス」になるのを待ってから買うべき?
A. 個人の条件は変わらないため、待つ必要はありません。

Q. 法人に譲渡できる?
A. 個人から法人への譲渡はできません。

詳細については、財務省公式サイトのQ&Aをご確認ください。

<参考>「個人向け国債の法人等への販売対象拡大」に関するQ&A

 

まとめ

2027年からの改定の中心は、「個人向け国債」から「個人向け国債プラス」への名称変更と、一部法人への販売対象拡大です。

個人投資家にとっての商品性、買い方、使い方は基本的に変わりません。そのため、個人向け国債プラスは今後も「安全性を重視したいお金」の置き場所として活用しやすい選択肢と言えます。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

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小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
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【2026年6月】年2.8%超の地方債って安全なの?共同発行市場公募地方債をFPがやさしく解説

2026年6月、年2.8%超の利回りを持つ10年債の地方債が発行されます。
発行体は「1つの自治体」ではなく、37の都道府県・政令市が連帯して保証する仕組みの債券です。

この記事では、第279回 共同発行市場公募地方債について、投資初心者の方向けに、投資歴20年超の独立系FPが仕組み・安全性・リスク・購入方法をやさしく解説します。

■この記事でわかること■
・「地方債」と「共同発行市場公募地方債」の違い
・第279回の発行条件
・初心者が注意すべき3つのリスク

 


地方債とは?まず基本から

地方債とは、都道府県や市区町村などの地方公共団体が、道路・学校・インフラ整備などの資金を調達するために発行する債券のことです。

わかりやすく言うと、「地方自治体にお金を貸して、利子をもらいながら、満期に元本が戻ってくる金融商品」です。

国が発行するのが国債、企業が発行するのが社債、そして地方自治体が発行するのが地方債、と覚えておきましょう。

安全性の序列イメージ

種類 発行体 信用の目安
国債 日本国政府 最高水準
地方債 都道府県
市区町村
国債に次ぐ高水準
社債 民間企業 企業ごとに差あり
株式 民間企業 リスク大・リターン大

地方債は、歴史的に元本・利息の支払いが止まった事例は極めて限定的で、国債に次ぐ安全性を持つ金融商品として評価されています。

FPコメント:地方債は国が暗黙に支える存在です。地方財政法により、自治体の財政が悪化しても国が関与できる制度的バックアップがある。だから社債とは根本的にリスクの質が違います。

 

「共同発行」って何?

通常の地方債は、各自治体がそれぞれ個別に発行します(例:埼玉県債、千葉県債)。

一方、共同発行市場公募地方債は、37の地方公共団体が共同で1本の債券を発行する仕組みです。2003年4月から毎月発行が続いており、地方債市場の中では最大級の規模を誇ります。

<参考>共同発行市場公募地方債(共同債)共同発行市場公募地方債(10年) | 一般財団法人 地方債協会


「連帯債務」という強力な保証

最大の特徴は、参加する全団体が発行額全額について連帯債務を負う点です。

つまり、仮にどこかの自治体が財政上の問題を抱えても、残りの36団体が肩代わりして返済する義務を負います。

「全国の主要自治体に分散して貸している」感覚で、信用リスクが非常に分散されているのが共同発行の強みです。

FPコメント:元公務員として言わせてもらうと、地方自治体はそう簡単に潰れない仕組みになっています。個人投資家にとって、これは相当な安心感だと思います。

 

第279回の発行条件を読み解こう

2026年6月に発行された第279回 共同発行市場公募地方債の条件は以下の通りです。

項目 内容
期間 10年(満期一括償還)
表面利率 年2.832%
発行価格 100円(額面通り)
応募者利回り 2.832%
対国債スプレッド +0.18%(18bp)
発行総額 960億円
利払い 年2回
条件決定日 2026年6月4日
発行予定日

2026年6月25日

出典:共同発行市場公募地方債(共同債)共同発行市場公募地方債(10年) | 一般財団法人 地方債協会

利息シミュレーション(100万円投資した場合)

年次 受取利息(税引前) 10年累計
毎年 約28,320円 283,200円
10年後 元本1,000,000円が返還

※利息には20.315%の税金がかかるため、税引後の手取りは1回あたり約11,280円(年2回×10年)。税引後の実質利回りは約2.26%の目安です。

私の住む埼玉県も参加しています!
発行条件資料によると、埼玉県は今回100億円分を調達しています。つまり、この債券に投資することは、地元・埼玉を含む全国37の主要自治体に分散してお金を貸すことと同義です。

出典:共同発行市場公募地方債(共同債)共同発行市場公募地方債(10年)

FPコメント:年2.832%という利回りは、インフレや日銀の利上げを受けて、ここ数年では高水準の部類です。定期預金や個人向け国債(変動10年)と比較しても、検討に値する水準だと感じます。


投資初心者にとってのメリット3つ

① 信用リスクが低い
前述の通り、37の大規模自治体が連帯債務を負うため、実質的なデフォルトリスクは極めて低い水準です。2003年の開始以来、20年以上にわたって元本・利息の支払いが継続されてきた実績があります。


② 仕組みがシンプル

「発行価格100円で購入 → 年2回利息をもらう → 10年後に100円で返ってくる」。これだけです。複雑な条件やオプションがなく、投資初心者でも理解しやすい商品設計です。


③ 国債より利回りが高い

同じ10年物の国債と比べて、約0.18%(18bp)上乗せの利回りがあります。わずかに見えますが、100万円×10年で計算すると約1.8万円分の差です。「国債と同等の安全性に近いが、利回りは少し高い」というバランスが魅力です。

 

正直に伝える、3つのリスク

どんな金融商品にもリスクはあります。

リスク① 途中売却すると価格が変わる(価格変動リスク)
10年満期まで保有すれば、原則として額面100円で返ってきます。しかし、途中で売りたくなった場合、その時点の市場価格で売ることになります

ポイントは「金利が上がると、債券の価格は下がる」という逆相関の関係です。

金利上昇 ➡  債券の市場価格下落 ➡ 途中売却で元本割れのリスク
金利下落 ➡  債券の市場価格上昇 ➡ 途中売却で売却益が出ることも

10年債は期間が長いため、金利の動きによる価格変動の幅(デュレーション)が比較的大きくなります。基本的には「満期まで持ち切る」ことが前提の商品です。

FPコメント:5年以内に使う可能性のある資金は、10年債に入れてはいけません。生活防衛資金(3〜6ヶ月分の生活費)は必ず流動性の高い預金で確保した上で、余裕資金の一部で運用するのが鉄則です。


リスク② インフレで実質価値が目減りする
名目利率が2.832%であっても、インフレ率がそれを上回れば、実質的な購買力は下がります。例えばインフレ率が3%なら、実質的な利回りはマイナスになります。

「利率が固定されている」ということは、インフレ局面では不利に働く側面があることも頭に入れておきましょう。

 

リスク③ 税引き後の利回りは想定より低くなる
利息には20.315%(所得税+住民税)が源泉徴収されます。表面利率2.832%の税引後は約2.26%程度の水準です。NISA口座では現時点で地方債の直接購入は対象外であるため、課税は避けられません。

 

どこで買えるの?購入方法

共同発行市場公募地方債は、主に機関投資家向けに発行されますが、一部の証券会社・銀行の窓口を通じて個人でも購入できます。

購入できる主な金融機関の例
証券会社:野村證券、大和証券、SBI証券など
銀行・信金:地方銀行、信用金庫の窓口

ただし、すべての金融機関で常時販売しているわけではなく、取り扱いの有無や最低購入単位(一般的に10万円〜100万円程度)は機関によって異なります。

FPコメント:SBI証券では過去に取り扱い実績があります。ただ、個人向けに常時販売されているわけではないので、こまめに確認する必要があります。

 

こんな人に向いている

・10年以上使う予定のない余裕資金がある
・株式市場の上下動に神経を使いたくない
・個人向け国債より少しだけ利回りを上げたい
・応援したい自治体がある

こんな人には向いていない

・5年以内に使う可能性のある資金で運用したい
・大きなリターン(5%超)を狙いたい
・NISA非課税メリットをフル活用したい(地方債は対象外)

 

まとめ

第279回 共同発行市場公募地方債のポイントを整理します。

チェックポイント 内容
利回り 年2.832%(税引後 約2.26%)
期間 10年(満期一括償還)
信用リスク 低い(37団体の連帯債務)
主なリスク 途中売却時の価格変動
インフレリスク
向いている人 10年以上使わない余裕資金がある人
購入方法 証券会社・銀行窓口に問い合わせ

地方債は「難しそう」と敬遠されがちですが、仕組みを知れば国債に近い安全性を持ちながら、少し利回りが高い債券であることがわかります。

「株は怖い、でも定期預金だけでは物足りない」という方の、守りの資産の一角として、ぜひ候補に入れてみてください。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

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小林良(こばやしFP事務所)

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小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

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【2026年6月】個人向け国債の金利をFPが解説|変動10年・固定5年・固定3年を月次チェック

2026年6月募集分の個人向け国債の条件が発表されました。5月は3種類すべてが上昇しましたが、6月は変動10年のみ上昇、固定5年・固定3年は小幅下落となりました。

<参考>財務省:個人向け国債(変動10年・第194回他)の発行条件等

金利が動きやすい今の環境では、毎月の変化を追いかけていくことも大切です。

今回は資産運用歴20年超の独立系FPが、2026年6月の金利水準と3つのタイプの特徴をまとめましたので、投資初心者の方に向けて分かりやすく解説いたします。

 

この記事のポイント
・2026年6月募集分の個人向け国債・最新金利
・変動10年・固定5年・固定3年の違い(超シンプル版)
・初心者向けのタイプ別選び方
・元公務員FPのひと言レビュー

2026年6月募集分の基本データ【まずここだけ】

財務省より、個人向け国債(2026年6月募集分)の発行条件が発表されました。

募集期間:2026年6月4日(木)〜6月30日(火)
発行日:2026年7月15日(水)
購入単位:1万円から1万円単位
購入手数料:無料

2026年6月の金利早見表

種類 回号 金利
(税引前・年率)
前月比 満期
変動10年 第195回債 1.74% +0.07% 10年
固定5年 第183回債 1.86% -0.03% 5年
固定3年 第193回債 1.51% -0.06% 3年

出典:財務省「現在募集中の個人向け国債」

6月は、変動10年だけが前月より金利上昇、固定5年・固定3年は小幅に低下という結果になりました。短中期ゾーンの金利は一服感が出てきた一方で、長期金利はじわりと上昇していることが背景にあります。

定期預金の金利が0.3~1%程度と考えると、非常に面白味のある金利になってきたのではと感じています。

 

そもそも個人向け国債ってなに?

個人向け国債は、日本国政府が個人向けに発行する債券です。元本と利子の支払いは国が保証しており、株式や投資信託とは異なり元本割れのリスクが原則ありません。

・1万円から購入できる(1万円単位)
・手数料は無料(購入時・償還時ともに)
・最低金利0.05%が保証されているため、利子がゼロになることはない
・毎月発行されており、1年に12回購入チャンスがある

2026年6月時点では、多くの大手銀行の定期預金(金利0.3~0.4%台)と比べても、個人向け国債の金利は一段高い水準になっています。

⚠️ 注意点発行後1年間は中途換金ができません。急に必要になるかもしれないお金には向きません。

<参考>個人向け国債窓口トップページ : 財務省

 

3タイプのざっくり特徴

個人向け国債には3種類あります。

個人向け国債3種類の比較

個人向け国債3種類の比較

性格比較表

どのタイプを選ぶかは、「いつ使うお金か」で考えるのが一番シンプルです。
ざっくりとした性格を表にまとめると、次のようになります。

種類 金利 満期 こんな人向け
変動10年 半年ごとに変わる 10年 将来の金利上昇も取り込みたい人
固定5年 購入時に固定(5年間変わらない) 5年 今の水準を5年ロックしたい人
固定3年 購入時に固定(3年間変わらない) 3年 まず短めで試してみたい人

 

変動10年(金利が半年ごとに変わるタイプ)

半年ごとに金利が見直されるため、今後さらに金利が上がれば受け取る利子も増えていくのが特徴です。今回の初回適用金利は1.74%。2026年5月(1.67%)から0.07ポイント上昇しており、長期金利の上昇トレンドを反映した形になっています。

一方で、市場金利が下がれば受け取る利子も下がります。ただし、いかなる状況でも最低0.05%は保証されています。

仕組みや詳しい活用法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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固定5年(今回3種類の中で最も金利が高い)

購入時の金利が5年間固定されます。今回の金利は1.86%で、3種類の中では引き続き最も高い金利水準です(5月は1.89%)。

「いまの利率をそのまま確定させてしまいたい」という方や、「5年後に大きな旅行を計画している」、「子どもの進学費用を準備したい」、といった具体的な目標がある方にもフィットしやすいです。

市場金利が下がっても、自分の金利はそのまま維持されるため、「下がったらイヤだ」という心理的なストレスを減らせるのもメリットです。

 

固定3年(まず試してみたい人に)

購入時の金利が3年間固定されます。今回の金利は1.51%で、5月(1.57%)からは0.06ポイントの小幅低下となりました。「まずはお試し」として使いやすい期間感で、以下のような資金に向いています。

・ボーナスの一部だけ運用してみたい
・3年後には使う予定がある資金
・5年は長いけど、定期預金よりは増やしたいお金

5年より利率は低いですが、期間が短い分だけ柔軟に動かしやすいのが特徴です。

 

金利はどのくらい上がってきた?過去2年の推移

個人向け国債の金利は、2024年以降に大きく上昇しています。かつての「ほぼ0%の商品」とは性質が変わってきています。

個人向け国債 金利の推移

金利推移の主要ポイント

発行月 変動10年 固定5年 固定3年
2024年1月 0.46% 0.25% 0.05%
2024年6月 0.57% 0.45% 0.29%
2025年1月 0.71% 0.71% 0.60%
2025年7月 1.00% 1.00% 0.79%
2026年1月 1.23% 1.35% 1.10%
2026年5月 1.67% 1.89% 1.57%
2026年6月(今回) 1.74% 1.86% 1.51%

出典:財務省「個人向け国債 発行条件」各月分

 

この背景には、日本銀行の政策修正(マイナス金利解除)と長期金利の上昇があります。個人向け国債は、毎月募集ごとに金利が更新されるため、買うタイミングそのものがリターンに影響する商品です。

100万円を預けると、いくらになる?ざっくりイメージ

固定5年・固定3年は「金利が変わらない」と仮定して、変動10年は「初回金利が続いた場合」の目安として試算します(税引前・概算)。

 

種類 金利
(税引前)
年間利子
(税引前・100万円の場合)
目安期間
変動10年

1.74%

約17,400円 /年 10年
固定5年 1.86% 約18,600円 /年 5年
固定3年 1.51% 約15,100円 /年 3年

 

ポイント:利子は半年ごとに受け取る仕組みで、その都度20.315%の税金が差し引かれます。上の表は税引前の概算なので、実際の手取りはやや少なくなります。

 

中途換金はできる?注意点をチェック

個人向け国債は、発行から1年経過すれば中途換金が可能です。ただし換金時には、以下のようなペナルティが発生します。

中途換金調整額の計算式(発行後1年以上の場合)

受取金額 = 額面金額+経過利子相当額 - 直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685

わかりやすく言うと、「直近の利子2回分相当を返してから換金する」イメージです。ただし、受け取った利子以上のペナルティにはならないため、元本割れにはなりません

 

中途換金調整額の詳細なシミュレーションは財務省の公式サイトでも確認できますので、ぜひご覧ください。

参考:財務省 個人向け国債お試しシミュレーション

 

どのタイプを選ぶ?かんたん判断フロー

目的と期間から考えると選びやすいと思います。

・3年先に使う予定がある資金 → 固定3年(期間が短く、柔軟)
・3〜5年は使わないと決められる資金 → 固定5年(今回1.86%で今の水準を固定)
・長期・10年スパンで将来の金利上昇も取り込みたい → 変動10年

1年以内に使う可能性が高いお金は、そもそも個人向け国債ではなく普通預金などで持っておくのが基本です。

 

💡 元公務員FPのひと言:「生活防衛資金(生活費の3〜6か月分)は普通預金に残しておく、それ以外に当面使わないと決めたお金から検討を始める」のが基本の考え方です。旅行や将来の積立に、個人向け国債を1本加えてみるのも選択肢の一つです。

 

2026年6月 FP視点の筆者ひと言レビュー

今月(2026年6月募集分)は、変動10年だけが上昇、固定5年・固定3年は小幅低下という動きになりました。水準としては依然として「預金より一段高く、検討する価値がある」ゾーンだと感じます。

筆者自身は、今後もある程度のインフレが続き、日本の長期金利も中長期的にはじわじわ上がる可能性が高いと見ています。自分のお金であれば、「長期運用なら変動10年」「目的が5年以内にハッキリしている資金は固定3年・5年」という組み合わせで考えると思います。

もちろん、金利や物価の先行きには不確実性も大きく、「これが絶対の正解」という商品はありません。ご自身の資金用途と期間に合うタイプを選ぶことが、結果的に納得感の高い運用につながると考えています。

 

どこで買える?

個人向け国債は、銀行・証券会社・ゆうちょ銀行・ネット証券など、全国の多くの金融機関で購入できます。

購入時・償還時ともに手数料はかかりませんので、まずはすでに口座をお持ちの金融機関で取り扱いを確認してみてください。

<公式情報はこちら>

財務省「現在募集中の個人向け国債」

財務省「個人向け国債 商品概要」

 

自分軸で判断できるようになることがゴール

このブログでは、毎月「今月の金利」「前月からの変化」「筆者のひと言レビュー」をお届けします。

金利が上がっても・下がっても、毎月情報を確認し、自分軸で判断できるようになることが、このシリーズのゴールです。

次回(2026年7月募集分)も、発表があり次第、最新の金利と選び方を整理してお届けします。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

小林良(こばやしFP事務所)

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小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
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【2026年6月】個人向け社債3銘柄をFPが初心者向けに比較|ソフトバンク劣後債・東北電力・プレミアムWボンド

2026年6月は、個人投資家向け社債として、ソフトバンクグループの劣後債・東北電力社債・プレミアムWボンドの3銘柄が注目されています。

ただし、同じ「個人向け社債」でも、利回り・格付け・期間・リスクの中身はかなり違います。この記事では、投資初心者向けに3銘柄の違いをわかりやすく整理し、どんな人に向いているのかを投資歴20年超の独立系FPが解説します。

※本記事には、筆者の個人的見解が含まれています。ご了承ください。

 

■この記事でわかること■
- 3本の個人向け社債の違い
- 初心者が見るべき比較ポイント
- 自分に合う社債の選び方
- 買う前に確認したい注意点
 


結論

先に結論を書くと、
初心者に紹介しやすいのは東北電力社債
 ➡比較的シンプルで、格付けも高い。ただし個人向け国債と比較すべき

利回りの高さだけで選ぶならソフトバンク劣後債
 ➡仕組みが複雑でそれなりのリスクもある。リスクを理解した上での購入推奨

・上記二つの中間的な位置づけとして、プレミアムWボンド

 

まず比較表

項目 ソフトバンク劣後債 東北電力社債 プレミアムWボンド
正式名称 ソフトバンクグループ第9回ハイブリッド社債 東北電力第584回無担保社債 プレミアムウォーターホールディングス第13回無担保社債
利率 年5.12%
※6月5日確定
年1.89% 年3.66%
※6月3日確定
期間 35年(5年後以降繰上償還の可能性あり) 3年 4年
格付け BBB+(JCR) A+(R&I)
AA(JCR)

BBB+(R&I・JCR)

購入単位 100万円以上 10万円以上 10万円以上
特徴 高利回りだが仕組みが複雑 高格付け 利回りと償還期間

 

まず確認|個人向け社債ってどんな商品?

社債とは、企業がお金を借りるために発行する債券です。

個人向け社債とは

投資家は社債を買うことで、決まった利息を受け取り、満期まで保有すれば原則として額面で償還を受けることができます。

ただし、これは「何があっても安全」という意味ではありません。発行した企業の業績悪化や倒産が起きれば、元本や利息の支払いに影響が出る可能性があります。

また、金利が上昇すると、既発社債の市場価格が下がることがあり、満期前に売却すると元本割れのリスクがあります。

注意点は、途中売却する場合は、市場での売買となることを理解しておきましょう。

 

初心者が見るべき4つのポイント

社債を選ぶとき、まずはこの4つを押さえておくと比較しやすくなります。

1. 利率

利率が高いほど魅力的に見えますが、一般に高い利率にはそれ相応のリスクが反映されています。

2. 満期までの期間
満期が長いほど、お金を拘束される期間も長くなります。

3. 格付け
格付けは、発行体の信用力をみる目安です。一般的に、格付けが高いほど信用力は高く、利率は低くなりやすいです。

4. 普通社債か、劣後債か
普通社債は比較的シンプルですが、劣後債は万一の際の返済順位が低く、仕組みも複雑になります。

社債を選ぶとき、初心者が最初に見るべきポイント

3本を順番にチェック

ひとつずつ、社債をチェックしてみましょう。

ソフトバンクグループ第9回ハイブリッド社債

ソフトバンクグループの第9回ハイブリッド社債は、今回取り上げる3本の中で最も高い利回りが期待できる銘柄です。利率は年5.12%申込期間は2026年6月8日から6月18日までの予定で、購入単位は100万円以上です。

<リンク>ソフトバンクグループ株式会社 第9回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)


メリット

- 3本の中で最も高い利回り水準を狙える
- 繰上償還されれば、長期債でも実質の保有期間が短くなる可能性がある


注意点

- この社債は劣後債であり、普通社債より返済順位が低い
- 利払繰延条項があり、利息の支払いが先送りされる可能性がある
- 最長35年債という長い年限
ー 購入単位が100万円からと初心者にはハードルが高い


こんな人向き

高い利回りを重視し、仕組みやリスクを理解したうえで投資したい人向きです。

 

▼ソフトバンクGハイブリッド社債【第9回】は買いか?第8回との違いをFP視点で比較解説▼こちらで詳しく解説しています。

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筆者コメント:この高い利回りは非常に魅力的です。ただし、それなりのリスクもあるので、余裕資金かつリスクを承知の上というのが前提だと思います。


東北電力第584回社債

東北電力第584回社債は、今回比較する3本の中で最もわかりやすく、初心者に説明しやすい社債です。

利率は年1.89%募集期間は2026年6月1日から6月18日、満期は2029年6月19日で、期間は3年です。さらに、格付けはA+(R&I)とAA(JCR)で、3本の中では信用力が最も高い水準です。

ただし、利回りは今回の3本の中で最も低く、個人向け国債(固定3年)と比較しても、大きな上乗せは期待しにくい水準です。

<リンク>第584回社債の発行について(個人投資家向け) | 東北電力


メリット

- 高格付けで、信用力の安心感が比較的高い
- 10万円単位で買える
- 普通社債なので、商品性が比較的シンプル


注意点

- 利回りは3本の中で最も低い
- 満期前に売る場合は時価売却となり、元本割れの可能性がある


こんな人向き

初めて社債を買う人や、利回りよりもまず安全性とシンプルさを重視したい人に向いています。

筆者コメント:正直に言うならば、この利率であれば個人向け国債をオススメします。筆者の感覚としては、「国債にわずかな信用プレミアムを乗せた程度」という印象です。安全性を求めるなら、個人向け国債のが有利です。

<参考リンク>個人向け国債窓口トップページ : 財務省

 

プレミアムWボンド(第13回)

プレミアムウォーターホールディングスのプレミアムWボンドは、東北電力とソフトバンク劣後債の中間に位置する銘柄です。

利率は年3.66%で、2026年6月4日から6月17日までSBI証券で先着順販売の予定です。購入単位は10万円以上で、少額から申し込みしやすい点も特徴です。

<リンク>株式会社プレミアムウォーターホールディングス第13回無担保社債(社債間限定同順位特約付)


メリット

- 東北電力より高い利回りを狙える
- 10万円単位で買える
- 劣後債ではなく、比較的シンプルな仕組み


注意点

- 格付けは投資適格級でも、東北電力よりは信用力が見劣りする
- 事業の安定性という意味では、大手電力会社ほどの分散性はない


こんな人向き

東北電力では利回りが物足りない一方で、ソフトバンク劣後債ほど複雑な商品は避けたい人に向いています。

▼プレミアムウォーターホールディングス第13回社債(プレミアムWボンド)を初心者向けに解説|メリット・リスク・買い方▼こちらで詳しく解説しています。

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筆者コメント:この利率で、償還期間4年ならまずまずの印象です。ただし、格付けはBBB+(投資適格の中で最も低いランク)です。あくまで余裕資金での購入を推奨します。

 

図解で見るとこうなる

3本の社債を図でイメージするなら、「安全性」と「利回り」の2軸で考えると理解しやすいです。

- 安全性が高めで利回り低め:東北電力社債
- 利回り高めでリスク高め:ソフトバンク劣後債
- その中間:プレミアムWボンド

 

買う前にここだけは確認

社債を買う前に、最低限次の点は確認したいところです。

- 使う予定のないお金で買う
- 満期まで持てるかを考える
- 利回りだけで決めない
- 格付けと発行体の事業内容を見る
- 中途売却時は価格が下がる可能性を理解する

特に、個人向け社債は「預金より高い利回り」が注目されがちですが、預金とは違い元本保証ではありません。そのため、「何年使わない資金なのか」「途中で現金化する可能性はないか」を先に確認しておくことが大切です。


よくある質問

Q. 社債は満期まで持てば安全ですか?

原則として、満期まで保有すれば額面で償還されますが、発行体が倒産した場合などはこの限りではありません。

Q. 高利回りの社債を選べばいいですか?

高い利回りは、信用リスクや仕組みの複雑さの裏返しです。リスクを理解した上で購入しましょう。

Q. 初心者が最初に選ぶならどれですか?

シンプルさ・格付け・購入単位のわかりやすさを重視するなら、東北電力社債が候補になりやすいです。ただし、筆者としては、安全性を重視するならば、個人向け国債を推奨します。


まとめ

今回比較した3本の社債は、どれも「個人向け社債」ではありますが、中身はかなり違います。

今回比較した3本の中だけで選ぶなら、安全性を重視するなら東北電力、利回りを重視するならソフトバンク劣後債、その中間を狙うならプレミアムWボンド、という整理がしやすいでしょう。

初心者にとって大切なのは、利回りの高さだけで選ばず、仕組みを理解して、満期まで持てる資金で投資することです。

 

本記事の主な参考文献・出典 ※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。
 
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小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

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プレミアムウォーターホールディングス第13回社債(プレミアムWボンド)を初心者向けに解説|メリット・リスク・買い方

プレミアムウォーターホールディングス第13回社債(プレミアムWボンド)

プレミアムウォーターホールディングスが、個人投資家向けの普通社債「プレミアムWボンド第13回」をSBI証券で募集します。利率:年3.66%(税引前)と、個人向け国債より高めの水準です。

ただし、社債は預金と違って元本保証ではなく、発行企業の信用リスクを引き受ける商品です。 この記事では、投資歴20年超の独立系FPが、プレミアムWボンド第13回の仕組みやメリット・注意点を、投資初心者向けにわかりやすく解説します。

■この記事でわかること■
- プレミアムWボンド第13回の基本スペック
- 普通社債の仕組みと「無担保」「社債間限定同順位特約」の意味
- 個人向け国債との違い・どちらがいいかの目安
- FP視点でのメリット・リスク・向いている人・向いていない人

そもそもプレミアムウォーターホールディングスってどんな会社?

株式会社プレミアムウォーターホールディングスは、宅配水事業とウォーターサーバーの製造・販売を手がけている会社です。

富士山麓などで採水した天然水を、個人の家庭やオフィスに宅配するサブスクリプションモデルを主力としており、全国の会員数を積み上げているストック型ビジネスです。

この会社が、個人投資家向けに「プレミアムWボンド」という愛称の社債を発行しているのが今回の商品です。

premiumwater-hd.co.jp


基本スペック:一覧で確認しよう

まずは全体像を表で把握しましょう。

項目 内容
正式名称 株式会社プレミアムウォーターホールディングス
第13回無担保社債(社債間限定同順位特約付)
愛称 プレミアムWボンド
発行体 プレミアムウォーターホールディングス(2588・東証プライム)
取得格付 BBB+(R&I・JCR)
利率(税引前) 年3.66%
※2026年6月3日確定
期間 4年
発行日 2026年6月18日(木)
満期償還日 2030年6月18日(火)
利払い 年2回(6月18日・12月18日)
申込単位 10万円以上・10万円単位
担保・保証 なし(無担保・保証なし)
申込期間 2026年6月4日(木)〜6月17日(水)
取扱証券会社 SBI証券(単独引受)

利率は2026年6月3日に3.66%で確定しました。前回の第10回プレミアムWボンド(2025年9月発行)の利率は年2.62%でしたので、今回は大幅に高めの水準です。

<リンク>
株式会社プレミアムウォーターホールディングス第13回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(愛称:プレミアムWボンド)

 

筆者コメント:第10回以来となる“個人向け”プレミアムWボンドです。社債をきっかけに自社のビジネスを個人投資家に知ってもらい、新しいファンを増やすのが狙いでもあります。


「普通社債」ってなに?

社債とは、一言でいえば、銀行から融資を受ける代わりに、広く個人から資金を集めるための仕組みです。

今回の「無担保社債」とは、土地や建物などの担保を設定せずに発行される社債のこと。担保がない分、万が一倒産した際は元本が戻らないリスクがあります。

「社債間限定同順位特約」って何?

名前は難しいですが、意味はシンプルです。

一言でいうと:「この社債より後から出す社債に有利な条件をつけちゃダメ」という約束

社債間限定同順位特約

プレミアムウォーターHDが将来、別の社債に担保や優先権をつけて発行した場合、今持っている社債が不利な扱いを受けてしまう可能性がありますよね。ですが、この特約があれば、同じ会社の無担保社債間では平等な扱いが保証されます。  
ただし「銀行融資」「担保付き借入」などは対象外なので、すべてのリスクがなくなるわけではありません。

 

年3〜4%の利率は高い?他の金融商品と比べてみよう

個人向け国債との比較

初心者が最も悩む「個人向け国債と、どちらがいいの?」という疑問です。

結論は:利率重視ならプレミアムWボンド、安全性重視なら個人向け国債

比較項目 プレミアムWボンド第13回 個人向け国債
発行体 プレミアムウォーターHD(民間企業) 日本国(政府)
種類 無担保社債(普通社債) 変動10年
固定5年
固定3年から選択
期間 4年
利率
(税引前・
目安)

年3.66%
※6月3日確定

変動10年1.74%
固定5年1.86%
固定3年1.51%
※2026年6月募集分
元本リスク 会社が破綻すれば元本割れの可能性あり 日本国が発行するため安全
中途換金 市場売却→価格変動で損失リスクあり 発行1年後から中途換金可(ペナルティあり)
最低購入額 10万円〜、10万円単位 1万円〜、1万円単位
預金保護 対象外 対象外(ただし国の信用で保護)
向いている人 余裕資金の一部で利回りを高めたい人 できるだけ安全に、預金より少し増やしたい人

 

筆者コメント:利率だけ見れば、プレミアムWボンドは個人向け国債の約2〜3倍近い水準です。ただし、発行体が「民間企業」か「日本国」かという点で、信用リスクはまったく異なります。


普通預金・定期預金との比較

商品 年率(目安) リスク
銀行普通預金 0.1~0.3%程度 ペイオフ(1,000万円まで保護)
定期預金(1年) 0.3〜1%程度
(金融機関により差)
ペイオフで保護
個人向け国債
(固定3年)

1.51%

(2026年6月募集分・税引前)

日本国が発行・実質最安全
プレミアムWボンド第13回 3.66%(税引前) 無担保・元本保証なし
(発行体の信用リスクあり)

 

「安全↔利回り」はトレードオフです。高い利回りには必ず理由があります。

 

FPが見るメリット

① 利回りが高く、利息収入を実感しやすい

4年で年3.40〜4.00%(税引前)は、現在の円建て投資環境の中では魅力的な水準です。  
たとえば100万円を預けた場合、年間の利息は税引前で3.4万〜4万円(税引後で約2.7〜3.2万円)になります。半年ごとに振り込まれるため、定期的な「利息収入」として体感しやすいです。

② 為替リスクなし・期間が4年とほどよい

円建てなので、ドル円などの為替変動リスクがありません。シンプルに「金利だけ」を考えられます。また期間が4年と比較的短いため「長すぎてお金が動かせない」という不安は小さめです。

③ 10万円から、SBI証券でネット完結

最低購入金額が10万円から試せます。SBI証券の口座があればネットで完結できるため、手続きの煩雑さもありません。前回は短期間で完売したようなので、検討している方は申込期間(6月4日〜17日)早めがいいと思います。

 

FPが見るリスク・注意点

比較的値動きが安定しやすい債券ですが注意点もあります。

社債のリスクと注意点

社債のリスクと注意点

① 元本保証ではない(信用リスク)

最も重要なリスクです。プレミアムウォーターHDが経営悪化・倒産した場合、利払いが止まったり元本が戻らない可能性があります。格付けはBBB+(投資適格)ですが、A格以上の大企業に比べれば信用リスクは高めです。

格付け「BBB+」のイメージ
「投資適格」の範囲内ですが、下位グループに属します。トヨタ・NTTなどAA格の超優良企業とは異なります。

② 中途売却すると損をする可能性

満期(2030年6月)まで保有すれば、原則として額面通りに返ってきます。  
しかし途中で売る場合、市場価格での売却になります。金利上昇局面では債券価格は下落しやすく、購入時より安く売らざるを得ない場合があります。「4年間は寝かせてOKな余裕資金」で買うことが大前提です。

③ 預金保険の対象外

銀行預金は、1金融機関・1人あたり元本1,000万円とその利息がペイオフで保護されます。一方、社債は預金保険の対象外です。あくまで「企業へ貸したお金」であり、公的保護はありません。

 

投資初心者チェックリスト:買う前に確認しよう

以下の項目を自分に当てはめてみてチェックしてみましょう。

この資金は4年間使わなくてOKですか?
  (住宅購入・教育費の直前資金には向かない)

元本が減る可能性を理解・許容できますか?
  (絶対に減らしたくない人は個人向け国債が安全)

生活防衛資金(生活費の6か月分)は別に確保できていますか?
  (これが先で、社債はその後)

プレミアムウォーターHDのビジネスや財務にざっくり目を通しましたか?
  (会社の格付けや事業内容を簡単に確認するのが◎)

□ 金融資産全体の一部(10〜20%以内)での投資ですか?
  (1社の社債に全額集中するのは避けましょう)

すべてチェックできる方なら、この社債を選択肢に入れる理由はあります

筆者コメント:プレミアムWボンドに限らず、他の社債の購入を検討するときにも、このチェックリストは使えます。高い利回りに飛びつくことなく、確認するようにしましょう。

 

こんな人に向いている・向いていない

  向いている人 向いていない人
資金の性格 4年以上使わない余裕資金がある 教育費・住宅資金など用途が決まっているお金
リスク感覚 元本割れの可能性を理解して許容できる 元本割れは一切受け入れられない
目的 預金より利回りを上げたい 安全第一で増やしたい
資産全体 株・投信などリスク資産も持っている 金融資産がほぼ預金のみ
投資経験 社債・債券の仕組みを理解できた 今回初めて投資を検討している段階

 

まとめ:「余裕資金の一部」で検討しよう

プレミアムWボンド第13回は、「高い年3〜4%の利率を、円建て・4年間の社債で狙う」という商品です。

- 高い利回りは、信用リスクを取った見返り  
- 満期保有が前提・中途売却には注意  
- 個人向け国債と比べると、安全性は劣るが利回りは大幅に高い

筆者の個人的なおすすめは、「守るお金(生活防衛資金・近い将来使う資金)は個人向け国債や預金で確保し、「余裕資金の一部(金融資産の10〜20%目安)をこうした社債で運用してポートフォリオ全体の利回りを底上げする」というイメージです。

購入を検討するなら、6月3日の利率確定後に、チェックリストを確認して冷静に判断しましょう。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

 

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新窓販国債と個人向け国債はどっちが初心者におすすめ?違いを解説

「新窓販国債と個人向け国債、どっちを選べばいいの?」と迷っているなら、私の結論は、「個人向け国債」です。現在のインフレ環境を踏まえると「変動10年」を軸に考えるのが無難と考えています。

新窓販国債にも特徴はありますが、個人の投資初心者が最初に積極的に選ぶ商品ではありません。この記事では、両者の違いを整理しながら、「自分にはどちらが合うのか」を判断できるように解説します。

※本記事には、筆者の個人的見解が含まれています。ご了承ください。

 

そもそも国債って何?初心者が知っておくべき基本

国債は、国が資金調達のために発行する債券です。「国にお金を貸し、そのお礼として利子を受け取る」ことができます。

株式のように大きな利益を狙う商品ではありませんが、国が主体なので、安全性を重視する人の選択肢としてよく挙がります。「値動きは抑えたいけれど、少しでもお金を増やしたい」という人と相性がよい商品です。

国債の特徴:国債とは?

国債の特徴

個人が買える国債は、代表的には「個人向け国債」「新窓販国債」の2種類です。 名前は似ていますが、購入単位、金利の仕組み、途中で換金するときの扱いが違います。

筆者コメント: 「国債=どれも同じ」と思いがちですが、実際には、途中で現金化しやすいか、金利が変わるか、元本割れの可能性があるかで、向いている人は大きく変わります。


個人向け国債とは?3つのタイプと特徴を解説

個人向け国債は、名のとおり個人が買いやすいように設計された国債で、「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3タイプがあります。いずれも最低1万円から1万円単位で購入でき、利子は半年ごとに年2回受け取れます。

個人向け国債の3種類(2026年5月時点の金利)

変動10年は、半年ごとに適用利率が変わる仕組みです。市場金利が上がれば受取利子も増える可能性があり、金利上昇局面では固定型より柔軟に対応しやすい特徴があります。
一方、固定5年と固定3年は、購入時の利率が満期まで変わりません。 将来の受取額を見通しやすい反面、後から金利が上昇しても恩恵を受けにくい点は理解しておきたいところです。

タイプ 満期 金利タイプ 特徴
変動10年 10年 変動 半年ごとに適用利率が見直される​
固定5年 5年 固定 発行時の利率が満期まで変わらない​
固定3年 3年 固定 発行時の利率が満期まで変わらない​

 

個人向け国債については、こちらで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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個人向け国債の最大のメリットは「始めやすさ」と「元本の安心感」

個人向け国債の特徴は、次の6つです。

・元本割れなし
・国が発行
・1万円から購入可能
・0.05%(年率) の最低金利保証
・年12回(毎月)発行
・中途換金もOK ※ただし、購入後1年は不可

「少額で試せる」「元本割れなし」という2点は、初心者にはとても大きな価値です


注意点は「1年未満は原則換金できない」こと

とても便利な個人向け国債ですが、発行後1年間は中途換金ができません。そのため、生活防衛資金ではなく、「1年以上は使う予定のない余裕資金」で買うことが前提です。

また、変動10年は金利が見直される仕組みなので、今後の金利水準によって受取利子は変わります。ただし、現在のように物価が上がりやすい局面では、変動はむしろ強みになりやすいと思います。

〈参考〉個人向け国債窓口トップページ : 財務省


新窓販国債とは?個人向け国債との根本的な違い

新窓販国債は、通常発行の国債を金融機関の窓口で販売する仕組みの商品です。
特徴は次のとおりです。

・全て固定金利
途中換金の際は国の買取ではなく市場で売却
・最低5万円から5万円単位で購入
・個人だけでなく法人やマンション管理組合なども購入可能

新窓販国債の特徴

新窓販国債の特徴

大きな違いは、全て固定金利である、途中換金の場合は市場での売却法人も購入可能です。特に、市場売却の場合、保有中に金利が上昇すると債券価格が下がり、売却時に元本割れする可能性があります

途中で換金する場合、元本割れの可能性がある、ということを理解しておきましょう。


新窓販国債は「良い商品」だが、初心者向きではない

新窓販国債は、途中売却時の価格変動を理解する必要があるため、投資初心者としては個人向け国債のほうがわかりやすく、扱いやすい商品と私は思います。

・固定利回りをあえて取りにいく
・途中換金での売却益を狙いに行く

こういった狙いを自分でしっかり説明できるのであれば、ありだとは思います。ただ、現在の物価上昇・金利上昇の可能性を考えると、固定より変動で構えるほうが自然です。

筆者コメント: 新窓販国債は「理解して選ぶ商品」です。金利が下落する局面では、売却益を得られることもあります。価格変動や売却タイミングまで考えられる人向けだと思います。


今後は「個人向け国債プラス」に変わり、一部法人も購入可能へ

財務省は、個人向け国債の販売対象を拡大し、「個人向け国債プラス」へ名称変更する方針を案内しています。そして、2027年1月発行分から、一部の法人等にも販売対象が広がる見込みです。

<参考リンク>個人向け国債の法人等への販売対象拡大について : 財務省

 一方で、商品のラインナップや基本的な商品性は変わらないと案内されています。今後は、法人でも変動10年が購入可能になり、法人として運用の幅が広がるので、より人気がでてくるのではと思います。

個人の方にとっては、買い方の本質は変わりませんので、安心してください。

 

【比較表】新窓販国債と個人向け国債の違い

特に注目したいのは、「最低購入金額」「金利タイプ」「途中換金時の元本リスク」の3つです。

比較項目 個人向け国債 新窓販国債
購入対象 個人向け
今後一部法人等へ拡大予定​
制限なし
法人や管理組合も購入可
最低購入金額 1万円から1万円単位​ 5万円から5万円単位​
タイプ 変動10年、固定5年、固定3年​ 固定10年、5年、2年​
金利の下限 年0.05%あり​ なし​
中途換金 1年後から可能
元本割れリスクなし​
市場売却
元本割れリスクあり
向いている人 投資初心者
安全性重視
少額から始めたい人
商品性を理解し、
価格変動も受け入れられる人


「元本割れを避けたい」、「まずは少額から始めたい」なら、個人向け国債がオススメです。

【診断】あなたに合うのはどっち?3つの質問で選ぼう

「結局、自分はどちらを選べばいいのか」を整理するために、3つの質問で確認してみましょう。

1. まずは少額から始めたいですか?

少額なら、最低1万円から買える個人向け国債が向いています。 新窓販国債は最低5万円からになります。

2. 途中でお金が必要になる可能性はありますか?

発行後1年を過ぎれば、個人向け国債は中途換金しても元本割れがありません。 一方、新窓販国債は市場価格で売却するため、タイミングにより損失が出る可能性もあります。

3. 利回りを固定金利で長く確定したいですか?

物価が上がり、今後の利上げも意識される局面では、固定金利を急いで長く確定するより、半年ごとに利率が見直される変動10年のほうが無難です。

筆者コメント: 個人であれは、基本的には個人向け国債でよいと筆者は思います。ただし、新窓販国債を選ぶ理由を自分の言葉で説明できるなら、それはありだと感じます。

 

よくある質問

Q.新窓販国債と個人向け国債、どちらが安全ですか?

安全という意味では、個人向け国債です。発行後1年を過ぎれば中途換金が可能で、価格変動による元本割れを気にしになくてよいです。

Q.新窓販国債は途中で換金できますか?

可能ですが、個人向け国債とは違い、国が元本価格で買い取るのではなく、市場で売却となります。満期まで保有すれば額面で償還ですが、途中売却の場合は相場によっては損失が出ることがあります。

Q.個人向け国債はどれを選べばいいですか?

現在のインフレ環境を踏まえると、まずは変動10年が有力候補です。半年ごとに利率が見直されるため、金利上昇の流れを取り込みやすいからです。

Q.固定5年や固定3年は選ばなくていいですか?

家計の目的や保有期間によっては選択肢になります。ただ、現時点では固定利回りの魅力を強く感じにくい局面です。初心者が最初に選ぶなら、変動10年を優先して考えるほうが自然と筆者は考えます。

Q.個人向け国債プラスになると、個人には何が変わりますか?

販売対象が一部法人等へ広がる見込みです。ただ商品ラインナップや基本的な設計は大きく変わらない見通しなので、個人投資家としては特に変わりません。

まとめ

新窓販国債と個人向け国債を比べたとき、投資初心者が基本的に選ぶべきは個人向け国債です。最低1万円から始めやすく、発行後1年を過ぎれば中途換金もしやすく、価格変動による元本割れを気にする必要がありません。

そして、現在のように物価がじわじわ上がる環境では、固定金利を急いで取りにいくより、半年ごとに利率が見直される変動10年が有力な選択肢です。

はじめて国債を買うなら、まずは個人向け国債の変動10年を第一候補として考えてみるのがよいでしょう。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

 

小林良(こばやしFP事務所)

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小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

 

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ソフトバンクGハイブリッド社債【第9回】は買いか?第8回との違いをFP視点で比較解説

この記事のポイント
2026年6月、ソフトバンクグループが再び個人向けハイブリッド社債(劣後特約付)の募集を開始しました。4月の第8回からわずか2か月後の連続発行です。利率は当初5年間 固定5.12%で決定しました。魅力的に見えますが、この債券には初心者が見落としがちな複数のリスクが潜んでいます。FP視点で、仕組みから注意点まで確認していきましょう。


今、何が起きているのか?わずか2か月で再び社債発行。

2026年4月、ソフトバンクグループ(SBG)は個人向けのハイブリッド社債(劣後特約付)を4,180億円・利率4.97%で発行しました。そして同年6月、今度は2,600億円・利率5.12%でふたたび個人向けの同タイプ社債を発行すると発表しました。

2か月で合計約6,780億円以上を、主に個人投資家から調達しようとしているこの状況に、X上では、『SBG異常事態』『機関市場から閉め出された後の逃げ場ではないか』といった、辛辣なコメントも見られます。

SBG側の公式説明では、今回の第9回債の資金使途は「2027年7月に初回任意償還日を迎える米ドル建ハイブリッド社債の借換え資金の一部に充当する予定」とされています。つまりは「古い借金を、新しい借金で返す(借換え)」という話です。

国内ハイブリッド社債(利払繰延条項付)の発行に関するお知らせ | ソフトバンクグループ株式会社

そもそも「劣後債(ハイブリッド社債)」って何?

 普通の社債との違いをわかりやすく

「社債」とは、企業が投資家からお金を借りるために発行する債券のこと。国債の企業版です。銀行に預けるより高い利率が期待でき、満期になれば元本が返ってくる仕組みです。

今回の「ハイブリッド社債(劣後特約付)」は、それより少し特殊な商品です。

・普通社債(一般債)は、会社が破綻した場合、まず普通社債の保有者にお金が返ってきます。

・劣後債は、同じ借金でも「もし会社が倒れたとき、普通社債の人が全員返済を受けた後でないと、返済してもらえない」という約束がついた債券です。

劣後債の返済優先順位

劣後債の返済優先順位

つまり、万一のときは「後回し」にされるリスクがある分、その補償として高い利率が設定されているわけです。

会社から見ると:「借金」と「株(自己資本)」の中間のように扱える資金調達手段。格付機関から"50%だけ自己資本として認められる"ため、財務の見栄えをよくできる

投資家から見ると:普通の社債より利率が高い分、「会社が倒産したときの返済順位が後ろ」「利息を後回しにされる可能性がある」など、リスクが高い債券

前回記事で、「劣後債とは」「コールスキップ」「LTV問題」について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

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第9回の主な条件をチェック

基本スペック

項目 内容
発行総額 2,600億円
当初利率 年5.12%(税引前)
利率確定日 2026年6月5日(木)
申込期間 2026年6月8日(月)
〜6月18日(木)
発行日・満期 2026年6月19日(金)/
2061年6月19日(35年後)
初回コール日 2031年6月19日(発行5年後)
格付 BBB+(JCR)
取扱証券 SBI・野村・SMBC日興 他
最低購入単位 100万円

第8回との主な比較

比較項目 第8回
(2026年4月)
第9回
(2026年6月)
発行総額 4,180億円 2,600億円
利率(当初5年・仮条件) 4.97% 5.12%
満期 2061年4月22日 2061年6月19日
初回コール日 2031年4月22日 2031年6月19日
資金使途 国内劣後債の借換え 米ドル建て劣後債の借換え

 

注目ポイント:今回は資金使途が「円建て社債の借換え」から「ドル建て社債の借換え」に変わっています。これは、「海外の機関投資家向けに発行していたドル建て劣後債を、国内の個人向け円建て債で返す」という構造です。

 

この商品の4つの重要な特徴

① 期間35年の超長期債

満期は2061年。35年後まで元本が戻らない可能性があります。過去の国内劣後債では、発行体が初回のコールタイミングで償還を行うのが慣行でしたが、それはあくまで慣行であって約束ではありません。償還は発行者(SBG)の都合で決まります

② 利払い繰延条項(利息の後回しが可能)

SBGが「今期は利息を払わず後回しにします」と決めることができる条項がついています。実際にこれが発動されると、その分の利息はいずれ受け取れる可能性はありますが、資金計画に狂いが生じます。

劣後債:利払い繰延条項イメージ図

③ 劣後特約(倒産時の返済順位が低い)

SBGが破綻・法的整理に入った場合、普通の社債や銀行借入より後から弁済されます。最悪の場合、元本・利息がゼロになる可能性もあります。後回しなので利率が高いのです。

④ 5年以降は変動利率

初回コール日(5年後)以降は毎年、「1年国債利回り+スプレッド+一定の上乗せ幅」で利率が変動します。当初利率より上がる設計になっていますが、金利環境次第では思ったほど増えないケースもあります。

こちらの記事で詳しく解説しています。

ソフトバンクグループ個人向け劣後債は買いか?「実質5年債」とコールスキップを債券初心者向けに解説 - 毎日をちょい上質に|旅×食×ウェルネス

 

なぜ「個人向け劣後債の連発」が問題視されているのか?

本来、大企業はどこから借りる?

保険会社・大手銀行・海外の機関投資家。これが大企業が通常頼る「機関投資家」と呼ばれる存在です。彼らは専門知識を持ち、大きな金額を低コストで提供できます。

今回のSBGのように連続で「個人向け」に高利率の劣後債を売るのは、『機関投資家からは同じ条件では資金を集めにくくなっているサインではないか』と見る方もいます(あくまで一部の見方です)

報じられている「背景」

ブルームバーグは、SBGが保有するOpenAI株を担保に借りているローン(マージンローン)について、貸し手側が融資額の縮小を検討していると報じています。これは金融機関がSBGへの与信(貸し出し可能額)を絞り始めているサインとも解釈できます。

加えて、格付け機関の動向も気になるところです。

- S&Pグローバル・レーティングは2026年3月、SBGの格付け見通しを「安定的」→「ネガティブ」に引き下げ
- 今回の第9回社債のJCR格付けはBBB+(投資適格の下限近辺)
- SBGのCDS(倒産保険の保険料に相当)は日本企業の中でも高水準と報じられている

「過去最高益5兆円」と「資金繰り」は別の話

SBGの直近決算では「過去最高益5兆円」と報じられました。しかし、この利益の大部分はArm株式の評価益(含み益)が中心です。

- 含み益:保有株が値上がりしても、売らない限り現金にはならない
- 一方で、借金の借換えや担保ローンの縮小には、実際の現金が必要

「利益が出ているから大丈夫」と単純に考えるのは危険で、キャッシュフローと資金繰りの実態を合わせて見ることが重要です。

⚠️重要な視点:これらの懸念はブルームバーグや一部アナリストによる見方であり、SBGとしての公式見解とは異なります。最終的な判断は、各自が情報をもとに自分で下してください。

 

投資初心者が押さえておきたい3つのポイント

ポイント1:高利率には必ず理由がある

今回の利率5.12%は、5年国債の利回り(約1〜2%台)と比べると2倍以上の水準です。国債は「国が破綻しない限り元本が返ってくる」前提の商品。SBGは民間企業であり、投資先もハイリスクなAI・テック分野が中心です。

「高い利率=おトク」ではなく、「高い利率=それだけリスクを投資家が引き受けている」と考えましょう。

ポイント2:劣後債は「株に近い債券」

- 破綻時の返済順位が低い(劣後特約)
- 利息が後回しにされる可能性がある(利払繰延条項)
- 満期35年で途中償還は会社の都合

この特徴から、劣後債は普通の社債より株に近い性格を持ちます。「債券=安全」と思って買うと、リスクを取りすぎてしまう可能性があります。

SBI証券も商品説明の中で、「利回り・安定重視」の方や、主たる資金の性格が「余裕資金」以外の方の投資はおすすめしておりません。とはっきり明記されています。

ポイント3:「大企業=安全」という思い込みを手放す

SBGは世界的な大企業ですが、過去にも大規模な損失(WeWork等)を出してきた歴史があります。「大企業だから倒産しない」という保証はなく、特に劣後債は破綻時に真っ先に影響を受けます。

 

この債券、初心者にとって「アリ」か「ナシ」か?

メリット(ポジティブな側面)

- 当初5年の利率が高い(5.12%)
- 過去の第1〜第4回は、初回コール日に全額償還された実績がある
- 大手・ネット証券で購入でき、100万円単位と個人でも参加しやすい

デメリット・リスク(注意すべき側面)

- 破綻時は返済順位が低く、最悪ゼロになる可能性がある
- 利払いを会社の判断で後ろ倒しにされる可能性がある
- 満期35年・途中償還は会社の都合(投資家に選択権なし)
- 格付見通しの引き下げ、CDS高水準など、信用リスクが意識されている
- 「機関市場での調達が難しくなっているのでは」という懸念

初心者ならどう考えるか?

資金の性格 判断の目安
老後資金・教育資金など「絶対に大きく減らせないお金」 避けた方が無難。元本割れリスクがある商品は向いていない
当面使わない余裕資金で、SBGのリスクを承知の上で 少額なら検討の余地あり。ポートフォリオの一部として上限を決める
「安全な債券投資」のつもりで買いたい 不向き。個人向け国債や高格付けの普通社債の方が適している

リスクを承知の上で購入するなら、ありだと思います。安全運用のつもりで考えているなら、見送るべきです。

「高利率の社債」を見たときの初心者チェックリスト

今後も同様の高利率社債を見かけたとき、購入前にこの視点で確認する習慣をつけると安心です。

1. 格付けを確認する → BBB+(投資適格の下限近辺)以下は相応のリスクを意識
2. 劣後特約・利払繰延条項がないか確認する → あれば「普通の社債より株に近い」と理解する
3. 発行体の財務をチェックする → 「利益=現金」ではない。キャッシュフローも見る
4. なぜ個人向けなのかを考える → 機関投資家に売れない条件ではないか?
5. 自分のお金の性格を先に決める → 「守るお金」か「攻めに使えるお金」かを整理してから商品を選ぶ

まずは国債・高格付けの普通社債・バランス型の投資信託(インデックスファンドなど)で運用の土台を作り、こうした劣後債は「よく理解できた余裕資金の範囲内」にとどめる。これが初心者にとってリスクを取りすぎない、現実的な距離感です。

 

まとめ:利率が高い理由を理解しよう

SBG第9回劣後債は、4月第8回に続く「個人向け高利回り債」の連発であり、利率は魅力的な一方で、期間35年・利払い繰延・劣後特約など、初心者が見落としやすいリスクを多く含む商品です。

「おいしい高利回り商品」ではなく、「SBGの財務やビジネスモデルまで含めて理解したうえで、ポートフォリオの一部として慎重に検討すべき商品」と捉えるのが妥当だと考えています。

よく分からないまま話題性や利回りだけで飛びつくのではなく、ご自身のリスク許容度と資金計画に照らして、「本当に自分に必要なリスクかどうか」を考えてみてください。

 

補足:安全運用の選択肢なら「個人向け国債」

債券で利息を受け取りながら資産を守りたい」というニーズに対しては、「個人向け国債」がオススメです。

個人向け国債は、日本政府が個人向けに発行している国債で、元本や利払いについては国が責任を負う仕組みになっています。

種類は「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3つがあり、利率は決して高くはありませんが、その分、元本割れしない安全性があります。

「5年後には必ず教育資金として使いたい」「老後資金の一部は減らしたくない」といったお金については、SBG劣後債のようなリスク性の高い商品ではなく、個人向け国債のような安全サイドの商品をオススメします。

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

小林良(こばやしFP事務所)

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元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

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【2026年6月】個人向け国債は買っても大丈夫?利回り引き上げ議論と個人向け国債のメリット・デメリット

最近、「個人向け国債が人気」といったニュースを目にする機会が増えています。また、「利回り引き上げの議論」という記事もありました。

個人向け国債は「資産を増やす主役」ではありませんが、金利上昇時代において持っておく価値が高まっている守りの資産”です。筆者としても非常に良い商品だと考えています。

本記事では、2026年の最新動向を踏まえながら、個人向け国債の仕組み・メリット・デメリット、そして「今買うべきか」をFP視点で分かりやすく解説します。

※この記事には、筆者の個人的見解が含まれています。ご了承ください。

 

この記事を読んでもらいたい人
「まずは安全資産から投資を始めたい」と考えている投資初心者の方

・NISAで積立投資をしていて、「攻めと守りのバランス」を取りたい方

・金利上昇に関心があり、自分の資産をどこに置くべきか考え始めた方

 

<参考リンク>個人向け国債窓口トップページ : 財務省

個人向け国債とは?初心者向けにやさしく解説

個人向け国債とは、日本政府が個人からお金を借りるために発行する債券です。私たちが国債を購入することで、国にお金を貸し、その見返りとして利息を受け取ります。

個人向け国債は、変動10年、固定5年、固定3年の3種類があり、特徴は次の6つです。

・元本割れなし
・国が発行
・1万円から購入可能
・0.05%(年率) の最低金利保証
・年12回(毎月)発行
・中途換金もOK ※ただし、購入後1年は不可

イメージとしては「定期預金より少し有利な、国が発行する金融商品」と考えると分かりやすいでしょう。

元本割れがないというのは、非常に安心感のあるポイントだと思います。また、現在、多くの銀行の1年もの定期預金金利はおおむね0.3〜0.5%程度です。一方、2026年5月募集分の個人向け国債(変動10年)の利率は1.67%と、定期預金の約3〜4倍になります。

個人向け国債2026年5月最新金利

個人向け国債2026年5月金利の比較

かつては預金金利とも大差ないものでしたが、現在では少し面白味のある金利になってきたなと感じています。

2026年5月個人向け国債金利の推移

個人向け国債金利の推移

3種類の国債の特徴や選び方については、こちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

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個人向け国債の利回り引き上げ議論とは

先週、個人向け国債の利回り引き上げ議論についての記事がありました。なぜ利回りを上げたいのでしょうか。

www.nikkei.com

このニュースの本質は、政府としては、「国債を安定的に保有してくれる国内の個人を増やしたい」という意図があります

これまで日本では、日銀が大量に国債を購入することで市場を支えてきました。しかし現在は金融正常化の流れの中で、その購入を徐々に減らしています。

さらに背景として、海外投資家の保有比率が上昇しています。海外投資家は状況次第で一斉に売却する可能性があり、その場合は金利の急上昇や市場の混乱につながるリスクがあります。

つまり政府としては、金利を安定させるためにも、個人に国債を購入してもらいたい。➡国債の魅力を向上しよう。となっているのです。

利回り引き上げ議論の中身

個人に国債を買ってもらうために、政府・与党内では、いくつかの改善案が「検討段階」にあります(現時点では、まだ正式決定された制度改正ではありません)。

利回りの引き上げ(約20%増の案)
途中解約の制限緩和
商品ラインナップの拡充(短期債など)

特に注目が利回りですね。報道によれば、NISAの税制優遇を意識しつつ、「個人向け国債でも一定程度、魅力が見劣りしないようにしたい」という狙いがあるとされています(あくまで関係者の説明レベルの話で、公式な文言ではありません)。

仮に現在の固定5年の金利が20%上昇した場合、

固定5年金利 1.89%×1.2=2.268%

100万円あたりの年間利息は18,900円から22,680円(税引き前)へと増加します。大きな差ではないように見えますが、「安全資産で利回りが上がる」という点は投資環境全体に影響を与えます。

 

個人向け国債のメリット

個人向け国債の最大の魅力は「安心感」だと私は思います。

元本割れがない
・国が発行しているため信用力が高い
・金利上昇局面では利息も上がる(変動型)
・少額から始められる

投資初心者にとっては、「値動きに一喜一憂しなくていい」という点は大きなメリットです。

デメリット・注意点

一方で、注意すべき点もあります。

・利回りは依然として低い(インフレ負けの可能性)
・1年間は原則解約不可(現行制度)
大きく資産を増やす商品ではない

安定した商品ですが、株式や投資信託のように「資産を増やす主力」として使うのは適していません。

 

【結論】個人向け国債は買っても大丈夫か

筆者の現時点での結論としては、「守りの資産として一部保有するのは有効」、ただし「これだけで資産形成は難しい」という位置づけになります。

向いている人は次のようなタイプ。

・投資初心者
元本重視で安心感を優先したい
・ポートフォリオを安定させたい

向いていない人は、

資産を大きく増やしたい人
・長期でリターンを重視する人

には、正直物足りない商品です。

あくまで守りの資産としてなら、個人向け国債は、個人投資家にとって恵まれている商品だと私は感じています。

NISAとの使い分けが重要

資産形成を考える上で重要なのは、「国債かNISAか」ではなく「どう組み合わせるか」です。

NISA:資産を増やす(攻め)
個人向け国債:資産を守る(守り)

NISAで投資信託を積立しながら、一部を国債で安定運用する。といったバランスが現実的です。

 

今後の見通し|金利のある世界へ

今回の個人向け国債利回り引き上げの議論は、日本の金融環境の大きな変化を示しているのかもしれません。

筆者の個人的な見解になりますが、これからはインフレ率も年2~3%が当たり前のように続き、「預金金利」、「国債利回り」、「住宅ローン金利」といったあらゆる金利が上昇していく可能性が高いと考えています

その中で個人向け国債は、「金利上昇時代の安全資産」として、今後さらに存在感を高めていくでしょう。

個人向け国債は派手なリターンはありませんが、資産形成の土台を支える重要な選択肢です。これからの時代は、「増やす」と「守る」を分けて考えることが、より一層重要になっていきます。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

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NISA・積立投資の入門に読むべき本5選|世界の名著でわかる「積立投資」の正しい考え方

この記事には、アフィリエイトリンクが含まれています。
「NISAを始めたいけど、何を買えばいいかわからない」「積立を続けているが、本当にこれでいいのか不安」。そんな方に読んでもらいたい本があります。

本記事では、積立投資・インデックス投資の世界で投資家に読み継がれてきた名著を5冊に厳選してご紹介します。

投資歴20年の独立系FPである著者が、「金融機関や販売会社に頼らず、自分の言葉で判断できる軸を持つ」ために本当に役立つ本だけをピックアップしました。

 

 

この記事で紹介する5冊を選んだ基準

数多ある投資本の中から、今回の5冊を選んだ基準を整理しておきます。

ポイント
・長期・積立・分散の原則に基づいていること
・「インデックス投資がなぜ有利か」をデータと論拠で説明していること
・販売利益に依存しない著者または実践者目線で書かれていること

 

5冊の一覧(難易度・対象者)

  書名 難易度 こんな人向け
ウォール街のランダム・ウォーカー ★★★ 投資理論の根拠から理解したい人
敗者のゲーム ★★☆ 「なぜ勝てないか」を論理的に知りたい人
投資の大原則 ★☆☆ まず薄い本で全体像をつかみたい人
インデックス投資は勝者のゲーム ★★☆ 低コスト投資の本質を学びたい人
改訂版 お金は寝かせて増やしなさい ★☆☆ 日本のNISA・iDeCo環境で実践したい人

ここから先は、それぞれの本の内容と、積立投資にどう役立つかを簡潔にご紹介していきます。

おすすめ本①:ウォール街のランダム・ウォーカー(バートン・マルキール著)

「株価は予測できない」という真実をデータで学ぶ決定版

 

どんな本?

1973年の初版以来、半世紀にわたって読み継がれてきた株式投資の古典的名著です。最新版では、ITバブルやリーマンショック、金融危機後の相場など新しいデータも取り込まれ、「株価は予測できない」というメッセージを繰り返し検証しています。

「市場の先行きを予測して勝とうとするのではなく、市場全体をまるごと買い、長期で持ち続けるのが合理的である」。が本書の主張。


この本で学べること

・個別株やチャート分析で「市場に勝ち続ける」ことがいかに難しいか。
・「効率的市場仮説」と呼ばれる、株価にすでに情報が織り込まれているという考え方。
・インデックスファンドを、ドルコスト平均法で積み立てる戦略の合理性。

難易度は少し高めですが、「なぜインデックス投資なのか?」の理論的な裏付けを知りたい方には、これ以上ない一冊です。


著者について

バートン・マルキール氏は、米プリンストン大学経済学部の名誉教授で、長年ウォール街の実務にも関わってきた経済学者です。学問と実務の両側から投資を見てきた視点が、本書全体に反映されています。


こんな方におすすめ

・チャート分析や銘柄選びではなく、シンプルな方法を探している
・インデックス投資に興味はあるものの、腑に落ちていない
・歴史やデータに裏付けされた「投資の教養」を身につけたい。

筆者コメント:「短期で勝とうとするゲーム」と「長期で資産形成を行うゲーム」は、別物なのだと腹落ちします。積立投資を続けるための“精神的な土台”を作りたい方は、じっくり時間を取って読んでみてください。

 

おすすめ本②:敗者のゲーム(チャールズ・エリス著)

アマチュアは「負けないゲーム」をすべきという視点

 

どんな本?

『敗者のゲーム』は、「アマチュア投資家にとって、最強の戦略は『負けないゲーム』を選ぶことだ」というメッセージで有名な一冊です。

テニスの例え話で、プロ同士の試合は「決め球をどれだけ打てるか」で決まるのに対し、アマチュア同士の試合は「ミスをどれだけしないか」で勝敗が分かれると説明します。

株式市場でも大部分を機関投資家が占める現代では、プロ同士が常に激しい争いをしており、その中で個人投資家が「勝者」になり続けるのはほぼ不可能だというのです。


この本で学べること

・アクティブ運用が、長期的には市場平均に負けやすい理由
・過去のデータから、大半のアクティブファンドがインデックスに劣後している事実
・個人投資家にとって、低コストなインデックスファンドが合理的な選択肢である


著者について

エリス氏は、世界的な投資顧問会社の創業者で、年金基金など機関投資家向けのアドバイザーとして長年活躍してきた人物です。「プロの世界の厳しさ」をよく知っているからこそ、個人投資家にインデックス投資をすすめています。


こんな方におすすめ

・「投資信託はプロが運用しているから安心」と思っていた。
・手数料の高い投資信託をいくつも保有してしまっている。
・自分で銘柄を選ぶよりも、「しくみ」で勝ちたいタイプ。

筆者コメント:積立投資をする上で、「コスト」と「ゲーム選び」の重要性を理解するのに、とても役立ちます。防御は最大の攻撃であるということを教えてくれます。

 

おすすめ本③:投資の大原則(マルキール+エリス共著)

2人の巨人がたった200ページに凝縮した「超シンプル投資法」

 

どんな本?

先ほどのマルキール氏と、エリス氏がタッグを組み、個人投資家向けに「これだけ守れば大丈夫」というルールをコンパクトにまとめた入門書です。

内容は非常にシンプルで、貯蓄・分散・低コスト・長期保有といった「当たり前だけれど実践が難しい原則」を、短い章立てで整理しています。

文章量も控えめなので、「まず1冊だけ読みたい」という方には最適です。


この本で学べること

・生活防衛資金をまず確保してから投資すべき理由
・資産配分(アセットアロケーション)の考え方
・インデックスファンドを使った低コスト運用のポイント


著者について

内容は、マルキール&エリスという世界的な投資理論の第一人者2人による共著です。先ほど紹介した2冊の要点を、より日常に近い目線でかみ砕いて説明してくれます。


こんな方におすすめ

・分厚い本はハードルが高いけれど、理論的な根拠も知っておきたい
・これから資産形成を始める20〜40代
・家族の将来のために、家計全体を見直しながら投資をしたい

筆者コメント:初心所の方に「とりあえず1冊教えて」と聞かれたら、この本をおすすめします。表現も平易で読みやすく、「なぜ積立投資なのか」を短時間でつかむことができます。

 

おすすめ本④:インデックス投資は勝者のゲーム(ジョン・C・ボーグル著)

インデックスファンドの「生みの親」が語る投資哲学

 

どんな本?

世界最大級の運用会社バンガード・グループを創設したジョン・C・ボーグル氏の代表作です。彼は、低コストのインデックスファンドを個人投資家に開放したことで、多くの人の資産形成に貢献したと言われています。

手数料や税金などのコストが、長期的には運用成績を大きくむしばむことを、具体的な数字とグラフで示しています。


この本で学べること

・投資信託の「信託報酬」などのコストが、複利でどれだけ効いてくるか
・高コストのアクティブファンドより、低コストのインデックスファンドが有利になりやすい理由
・長期・分散・低コストという、インデックス投資の3本柱の意味


著者について

ジョン・C・ボーグル氏は、1970年代に世界初の個人向けインデックスファンドを世に出した投資家です。「バフェットが個人投資家に推奨する人物」としても知られ、その哲学は世界中の個人投資家に影響を与えています。


こんな方におすすめ

・NISAやiDeCoでインデックスファンドを積み立てている、または検討している
・いろいろな投資信託がありすぎて、何を基準に選べばいいか分からない
・「手数料0.数%の違いが、そんなに重要なの?」と思っている。

筆者ひコメント:「コストを意識するかどうか」で、将来の資産額が大きく変わることが実感できます。すでにインデックスファンドを積み立てている方にも、運用方針を再確認する意味でおすすめしたい一冊です。

 

おすすめ本⑤:改訂版 お金は寝かせて増やしなさい(水瀬ケンイチ著)

「億り人」実践者が語る日本版インデックス投資の歩き方

 

どんな本?

日本のインデックス投資ブロガー・水瀬ケンイチさんが、20年以上にわたる自分自身の積立投資の経験をまとめた本です。難しいテクニックではなく、シンプルな積立と放置で資産を増やす方法を、実体験ベースで教えてくれます。


この本で学べること

・金融ど素人からでも始められる、インデックス投資の基本的な考え方
・具体的な証券会社の選び方や、新NISA・iDeCoの活用方法
・暴落時にどう行動したか、20年の実践記としてのリアルな体験談


著者について

水瀬ケンイチさんは、サラリーマンとして働きながら、20年以上インデックス投資を続けてきた個人投資家です。自身のブログは「インデックス投資家のバイブル」とも言われており、その経験が本書に凝縮されています。


こんな方におすすめ

・日本の制度に即した「具体的なやり方」を知りたい
・新NISAやiDeCoをどう組み合わせればいいか迷っている
実際に長期投資を続けてきた人のリアルな体験談を読みたい

筆者コメント:海外の名著で理論を学びつつ、この本で「日本でどう実践するか」を補う。そんな読み方をオススメします。積立投資の“教科書兼実践記”として手元に置いておきたい一冊です。

 

まずは1冊、読みやすそうなものを選んで読んでみてください。

 

まとめ:本で基礎を固めると、「暴落時に売らない」理由が腑に落ちる

積立投資で最大の敵は、相場の暴落ではなく「不安になって売ってしまう自分」です。本でインデックス投資の理論的背景を学ぶことで、下落時に自分を説得できる軸が生まれます。

今回ご紹介した5冊は、どれも「長期・分散・低コスト・継続」という積立投資の王道を、それぞれの角度から教えてくれる本ばかりです。

気になる1冊からで構いませんので、ぜひ手に取り、自分なりの「投資の軸」をつくるきっかけにしていただけたらと思います。

 

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

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【FP本音解説】学資保険はもういらない?インフレ時代の教育費はこどもNISA/つみたてNISAで備えるべき理由

「子どもが生まれたら学資保険」そんな常識、見直してみませんか。

2025年の消費者物価指数は前年比3.1%上昇し、2022年以降4年連続で2%超のインフレが続いています。学費も例外ではなく、子育て世代の64.3%が「物価・学費の高騰による教育費不足」を不安視しているというデータもあります。

こんな時代に「受取金額が最初から決まっている」学資保険は、果たして最適な選択なのでしょうか。

この記事では、独立系FPである筆者が「学資保険を推奨しない理由」と、「教育費こそNISA系で準備すべき根拠」をお伝えします。

 

※この記事は、筆者の個人的見解が多く含まれています。ご了承ください。

 

この記事のポイント
  - 学資保険とNISA系の「本質的な違い」
  - 学資保険のメリット・デメリット
  - こどもNISA・つみたてNISAが教育費に向いている理由
  - FPとして個人的にどちらを選ぶか


 

1. そもそも「学資保険」と「こどもNISA・つみたてNISA」は何が違う?

一言でいえば「保険 vs 投資」

学資保険は、子どもの進学タイミング(主に大学)に合わせて満期金を受け取る「貯蓄型保険」です。受取金額と受取時期が契約時点で確定しており、かつ親(契約者)に万が一のことがあった場合には、その後の保険料が免除される保障が付きます。

一方、こどもNISAは2027年から始まる予定の新制度で、0〜17歳の子ども名義で年60万円・累計600万円まで投資信託を非課税で運用できます。12歳未満は原則引き出しができないため、「教育費専用の積立口座」として機能します。

つみたてNISA(親の新NISA)は、今すぐ使える制度で、長期・積立・分散投資に適した投資信託を年120万円まで非課税で運用できます。

 

 

どちらが優れているか、ではありません。「求めているもの」が根本的に異なります。その上で、このインフレ時代にどちらが合理的かを、以下で丁寧に見ていきます。

 

2. 学資保険のメリットをまずはフェアに整理する

まずは学資保険が支持されてきた理由をきちんと見ておきましょう。

- メリット①:保険料払込免除特約  
  親(契約者)が死亡・高度障害になった場合、以降の保険料の支払いが免除され、満期保険金はそのまま受け取れます。これは投資では得られない「保障」です。

- メリット②:受取金額・時期が確定している
  大学入学時に「最低でも〇〇万円は確保できる」という安心感は、資金計画のしやすさにつながります。

- メリット③:生命保険料控除が使える
  支払った保険料の一部が所得税・住民税の控除対象になります(控除枠は限定的)。

- メリット④:自動的に積み立てられる仕組み  
  保険料が毎月自動引き落としになるため、「貯金が続かない」という方には強制貯蓄の仕組みとして機能します。

筆者コメント:これらは確かに一定の価値です。ただし、以降で述べる「本質的なデメリット」と比べたとき、特にインフレ時代においては、その強みが大きく霞んでしまいます。

 

3. 【FP本音】学資保険の構造的な弱点。インフレ・途中解約・利回り

学資保険にはメリットもある一方で、インフレ環境や今の時代の変化を踏まえると、見過ごしにくい構造的な弱点が3つあります。

デメリット① 「元本保証」は「名目上の」元本保証にすぎない

これが最も伝えたい点です。

学資保険は「元本が減らない」と言われますが、それはあくまで名目上の金額が保たれるだけ。お金の「価値」は物価によって変わります。

総務省の統計によると、2025年1年間の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年比3.1%上昇し、日銀の物価目標である2%を4年連続で上回りました
このインフレが今後も続くと仮定した場合、18年後に受け取る700万円の価値はどうなるでしょうか。


【インフレによる"実質的な目減り"のイメージ】

  現在の700万円の購買力 ➡  年2%インフレが18年続くと…
  18年後に700万円を受け取っても、実質的な購買力は約490万円程度に相当

「名目上は守られているが、価値は目減りしていた」
これが、インフレ時代における学資保険の最大のリスクです。

さらに、2026年時点の試算では、大学4年間の学費は国公立で約250〜270万円、私立文系で約400万円、私立理系で約550〜600万円程度とされています。

一人暮らしを伴う自宅外通学の場合、学費に生活費を加えると、総額は700〜1,300万円前後に達するケースもあります。

筆者コメント:近年、私立大学の授業料は10年前と比べて5〜10%上昇しており、学費自体のインフレも無視できません。「確定した金額」で準備することの危うさが、ここにあります。

 

デメリット② 途中解約すると"高確率"で元本割れ

学資保険は長期前提の商品設計のため、途中解約すると多くの場合、解約返戻金が払込保険料の総額を下回ります。

年数別  解約返戻率の目安(一般的な学資保険の例)
 加入3年後  返戻率50〜70%(大幅な元本割れ)
 加入7年後  返戻率80〜90%(元本割れ継続)
 加入10年後  返戻率90〜100%(ようやく元本に近づく)
 満  期   返戻率100〜120%前後(ここで初めて黒字)


教育プランは変わります。中学受験に切り替えた、高校卒業後に留学することになった、専門学校に進路変更した。そういったとき、学資保険は「解約すると大損」という足かせになります。

「入学金が必要になったが、今解約すると10万円以上損をする」という事態は、決して珍しくありません。

 

デメリット③ 利回りが低く、コストが見えにくい

最近では返戻率120%超の設計例も登場しています。しかし現実には払込方法・満期年齢・特約の有無などで数値が変わり、万人が120%を期待できるわけではありません。

また、0歳から15歳まで保険料を払い、18歳時点で払込総額の120%を受け取るケースを年利に直すと、おおよそ年1%台前半〜中盤程度の利回りになります(※商品設計により異なります)。

年間インフレ率2〜3%が続く中で年利1%ちょっとが達成されたとしても、実質利回りはほぼゼロか、マイナスの可能性が高いでしょう

さらに販売コスト・運営コスト・保険会社の利益はすべて保険料に含まれています。それが見えにくいだけで、確実に差し引かれているのです。

 

筆者コメント:学資保険の場合は、途中解約なら約10年間は元本割れです。つまり、10年間は損が確定しているとも言えます。非常に柔軟性が低い設計です。

 

4. 教育費とNISA系投資信託が相性の良い3つの理由

根拠① インフレとともに「資産価値を育てる」ことができる

株式を組み込んだ投資信託(インデックスファンドなど)は、経済成長や企業収益の拡大を通じて長期的に価値が増大する傾向があります。物価が上がれば企業の売上も増えるため、インフレに連動しやすい資産です。

学資保険が「円の額面」を固定するのに対し、NISA系は「経済全体の成長」に乗ることができます。これこそが、インフレ時代における最大の強みです。

 

根拠② 非課税・低コスト・完全な透明性

つみたて投資枠で購入できる金融庁が選定した投資信託は、信託報酬が年0.1〜0.2%台のものも多く、コストが明確かつ低水準です。

【学資保険 vs NISAのコスト比較イメージ】

・学資保険:  保険料の中に「保障コスト+運営費+販売費」が内包
  → コストが見えない

・NISAのインデックスファンド:  信託報酬(例):年0.1〜0.2%台
  → コストが明確・低い

さらに、NISAで得た運用益は非課税です。通常、投資信託の売却益や分配金には約20.315%の税金がかかりますが、NISAを通じて運用した分はゼロ。長期になるほど、この差は複利で膨らみます。

 

根拠③ 必要なときに柔軟に動かせる

親の新NISA(つみたて投資枠)は、必要なときにいつでも売却できます。急に私立高校への編入が決まったなどの、「想定外」に対して、学資保険では「解約損が怖くて動けない」状況が生まれますが、NISAではその縛りがありません。

こどもNISAであれば、12歳まで引き出し制限があるため、逆に「使い込み防止」の仕組みとして活用できます。12歳以降は条件付きで払い出しが可能になるため、高校・大学受験の費用として段階的に対応できます。

 

筆者コメント:私自身の価値観と家計設計の前提では、教育費準備の第一候補はNISA系の投資信託であり、学資保険を選ぶ必要性はそれほど高くないと考えています。

 

5. FPとして個人的にどう設計するか──本音の資産設計案

筆者は現在、子ども2人・妻との4人家族で暮らしています。自分の子どもたちの教育費については、次のような考え方で設計しています(あくまで個人の見解です)。

ステップ①:親のつみたてNISA(新NISA)を最優先で活用

まず親のNISAつみたて投資枠(年120万円)を優先しています。教育費と老後資金の土台を同時に育てられ、必要なときに売却もできる柔軟性があるからです。

選ぶファンドは「全世界株式インデックスファンド」など、低コストで分散の効いた商品が原則です。インフレに連動しやすく、長期・積立・分散の三拍子が揃います。


ステップ②:2027年以降はこどもNISAを「教育費専用ポケット」として追加

こどもNISAは12歳まで引き出せない制約が「教育費のための強制積立」として機能します。親のNISAとは別に、子ども1人あたり年60万円・累計600万円の非課税枠を持てるため、世帯全体の非課税投資枠を大きく拡大できます。


ステップ③:学資保険は「どうしても必要な人」だけのサブ選択肢

筆者個人は学資保険を積極的には推奨しません。ただ、以下の条件を複数満たす方には一定の役割があると認めています。

- 投資の値動きに強いストレスを感じ、酷く不安になる方
- 「とにかく1円も元本を減らしたくない」という強い志向がある方
- どうしても自分では積立が続かず、「強制的な仕組み」が必要な方

それ以外の方にとって、学資保険は「低金利環境で、定額で教育資金を積み立てることを主眼に設計されてきた商品であり、年2~3%超のインフレが続く現代においては、教育資金の準備手段として合理的とは言いがたいというのが、筆者の立場です。

 

1円も元本を減らしたくない人には、個人向け国債(変動10年)がオススメ

「どうしても元本割れだけは絶対イヤ」という方には、個人向け国債(変動10年)の方が合理的です。個人向け国債変動10年は、国が元本と利払いを保証する債券で、市場金利に応じて半年ごとに金利が見直されるのが特徴です。

こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

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まとめ:「元本保証」より「価値を守ること」を優先する時代

学資保険は、かつての時代には合理的な選択でした。しかし、年2%を超えるインフレが続くいま、「名目金額を守る」ことよりも「お金の価値を守る」ことの方が重要になっています。

- 私立大学の学費は10年で5〜10%上昇している
- 消費者物価指数は2022年以降4年連続で2%超の上昇

これらを踏まえると、「確定利回りで名目金額を守る学資保険」よりも、「経済成長に乗りながら価値を育てるNISA系の投資信託」が、インフレ時代の教育費準備に合理的なアプローチだと筆者は考えます。

もちろん、「元本割れが本当に怖い」「投資のストレスに耐えられない」という方のすべてを否定するつもりはありません。大切なのは、選択肢の実態を正確に理解した上で選ぶこと。その一助になれば幸いです。

 

※本記事は筆者の個人的見解に基づくものです。投資信託は元本が保証されておらず、価格変動リスクがあります。商品の選択・購入にあたっては、各自の状況に合わせてご判断ください

 

参考リンク

・統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)

・大学の学費はいくら?全国平均400万円【2026年最新・47都道府県比較】 | 暮らしコストラボ

小林良(こばやしFP事務所)

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元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

 

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住宅ローンを学ぶおすすめ本6選|「変動か固定か」「損しない借り方」から節税まで丸ごとわかる入門書【初心者向け】

この記事には、アフィリエイトリンクが含まれています。

住宅ローンは、多くの人にとって人生最大の金融判断です。

国土交通省などの統計では、マイホーム購入時の平均借入額は3,000万〜4,000万円前後とされ、借入期間も30〜35年と非常に長期になります。

とくに2026年現在は、マイナス金利解除後の「金利上昇局面」にあり、「変動と固定のどちらが得か」「いつ繰り上げ返済をすべきか」といった判断が将来の家計に大きな差を生む状況です。

ただし、ここで重要なのは、住宅ローンの“正解”は一つではないという点です。金利の将来は誰にも正確には予測できず、最適な選択は家計状況・リスク許容度・ライフプランによって異なります。

この記事では、住宅ローンの基礎から実践的な判断力までを身につけるために役立つ書籍を6冊厳選しました。「自分で判断できる力」を身につけたい方に向けた内容です。

 

 

この6冊を選んだ基準

今回ご紹介する本は、次のポイントを満たすものを中心に選んでいます。

ポイント
・2020年以降に刊行され、金利上昇局面をふまえた内容である
・変動金利と固定金利の違いを、データやシミュレーションで解説している
・繰り上げ返済・借り換え・団信までカバーしている
・住宅ローン控除など税制にも触れている

 

どれか1冊だけでも学びになりますが、組み合わせて読むことで「住宅ローンの判断力」が一段と高まります。

【FP視点】住宅ローン本を読む前に知っておくべき3つの前提

住宅ローンの本を読む際に、あらかじめ押さえておくべき重要なポイントがあります。

金利の将来は予測できない(過去データはあくまで参考)
「変動が得」「固定が安全」は状況によって変わる
・最適解は「金利」ではない

たとえば、同じ年収でも「教育費が重なる家庭」と「余裕資金が多い家庭」では、取るべき金利戦略は変わります。複数読むことで“自分なりの軸”を作ることができると思います。


6冊の一覧

①    金利が上がっても、住宅ローンは「変動」で借りなさい
難易度★★☆    変動vs固定をデータで比較。新時代の金利・投資リテラシー本。

②    住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本
難易度★★☆    営業マンや銀行に言いくるめられないための実践ノウハウ。

③    図解 住宅ローンのしくみと新常識
難易度★☆☆    図解でしくみから学べる、超基本の入門書。

④    住宅ローンを賢く借りて無理なく返す32の方法
難易度★★☆    返済戦略・繰り上げ返済を具体的な「32の方法」で解説。

⑤    住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本    
難易度★★☆   住宅ローン控除や税金に特化した1冊。

⑥    60分でわかる!住宅ローン 超入門    
難易度★☆☆    1時間で全体像を押さえるための最初の1冊。

筆者としては、③~⑥の中からどれか一冊。そのあと、①と②を読むことをお勧めします。

 

おすすめ本①:金利が上がっても、住宅ローンは「変動」で借りなさい

著者:塩澤 崇

 変動金利が有利であることを論理的に解説した一冊


どんな内容の本か

日本最大級の住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営する著者が、「なぜ金利が上がっても変動が有利なのか」をデータとシミュレーションで解説した一冊です。

ローンと投資を組み合わせた戦略的な考え方や、「一番お得な借り方・返し方」「金利の仕組みと将来の見通し」「金利が上がっても変動が有利と言える理由」が順を追って説明されます。

マイナス金利解除後の世界を前提にした実例が多く、2026年の金利上昇局面と非常に相性が良い内容です。


この本で学べること

・固定金利と変動金利の違いを「感覚」ではなく「数字」で理解できる
変動金利が固定を上回るには「何回・どれくらい」利上げが必要かという具体的なシミュレーション
・ローンと資産運用を組み合わせて、トータルで家計をプラスにする考え方
・借り換えや繰り上げ返済をどう判断するかの基本的な戦略


著者プロフィール

塩澤 崇さんは、モルガン・スタンレー証券で住宅ローンの証券化ビジネスを推進したのち、住宅ローンサイト「モゲチェック」を運営している住宅ローンのプロです。金融機関側と一般ユーザー側の双方の視点を持つ、数少ない専門家といえます。


こんな人におすすめ

・変動か固定かで悩んでいる人
・「金利が上がったら破綻するのでは」と不安で、根拠をもって判断したい人
・変動で借りているが、このままでいいのか確認したい人
・住宅ローンと資産運用を一体で考えたい人

筆者から一言:変動推しの本ですが、「なんとなく変動が得」というノリではなく、具体的な数字と条件を提示してくれるのが大きな価値です。「変動を選ぶなら、ここまで理解しておこう」というラインを示してくれる、金利上昇時代の必読書と言えます。

 

おすすめ本②:住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本


著者:千日 太郎


どんな内容の本か
人気ブログ「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」で知られる著者が、住宅ローンで損しないための「取扱説明書」として書いた実践書です。

第1章では「営業マンに『住宅ローンをどうしたらいい?』と聞いてはいけない」という強いメッセージから始まり、プロ側の論理と利用者側の論理の違いをわかりやすく示してくれます。

続く章では、シミュレーションのポイント、金利がどう決まるのか、年齢と年収ごとのリスク、共働き夫婦のローンの注意点など、相談現場でよくある「どっちが得か?」に丁寧に答えています。


この本で学べること

・営業マンや銀行担当者の言葉を「鵜呑みにしない」ための視点
シミュレーションをするときに最低限押さえるべき前提条件
・金利の決まり方と、情報の読み方
・年齢・年収・家族構成によって変わる、適正な借入額とリスクの考え方
共働き夫婦の住宅ローンで陥りがちな落とし穴と対策


著者プロフィール

千日 太郎さんは、公認会計士としての専門性を活かしつつ、個人向けに住宅ローンや家計の相談にのっている実務家です。ブログや書籍では、「数字に強い一般の相談相手」というポジションで人気を集めています。


こんな人におすすめ

・これから住宅ローンを組むが、「何から考えればいいかわからない」人
・営業マンや銀行に勧められるまま契約してしまいそうで不安な人
・共働き世帯で、ペアローンや収入合算を検討している人
・借り換えも視野に入れて、損をしない戦略を整理したい人

筆者から一言:「営業さんにはこう言われたけれど、本当に大丈夫か?」という質問は多いです。この本は、そうした不安を「自分で検証するための物差し」を与えてくれる一冊で、住宅ローンのセカンドオピニオンとして読むのに最適だと感じます。

 

おすすめ本③:知りたいことがよくわかる!図解 住宅ローンのしくみと新常識


著者:菅原 隆行

どんな内容の本か
本書は、住宅ローンや住宅購入の基礎知識を、図解を中心にわかりやすく解説した入門書です。右ページに説明文、左ページに図解という構成で、専門用語をなるべく避けながら、住宅取得のステップに沿って内容が進んでいきます。

制度・法改正、ライフプラン、住宅の取得、住宅ローンの基礎知識、借り方、返し方、税金、返せなくなったときの対処までを網羅しています。


この本で学べること
・「住宅ローンとはそもそも何か」という基礎
・住宅購入の流れと、どのタイミングで何を決めるのか
・ローンの種類・金利タイプ・団信などの基本
・返せなくなった場合の選択肢


著者プロフィール
菅原 隆行さんは、住宅金融や不動産に関する実務に精通した専門家で、初心者向けに噛み砕いた解説に定評があります。図解本や入門書を多数手がけており、「最初の一冊」として読みやすい構成になっています。


こんな人におすすめ

・住宅ローン、住宅購入そのものが初めての人
・文字は苦手で、図やイラストで理解したい人
・家族と一緒に、住宅ローンの基本を共有したい人
・最低限のしくみは知っておきたい人

筆者から一言:金融や不動産に苦手意識がある方には、まずこの本のような図解タイプで「全体の地図」を手に入れるのが一番スムーズです。後から専門的な本を読むときの理解度が大きく変わるので、基礎固めとしてとても優秀な1冊だと感じます。

 

おすすめ本④:住宅ローンを賢く借りて無理なく返す32の方法


著者:淡河 範明


どんな内容の本か
タイトル通り、「賢く借りて無理なく返す」という視点から、具体的な32の方法を紹介している実践型のノウハウ本です。

借りる前の準備、借りるときの選び方、リスクに備えるための工夫など、1つ1つチェックリスト感覚で読み進められる構成になっています。


この本で学べること

・賢く借りて無理なく返す7ステップ
・返済が楽になる6つのテクニック
・住宅ローンの全体像


著者プロフィール
淡河 範明さんは、住宅ローンに関する実務経験が豊富な専門家で、一般の生活者に向けた実践的なアドバイスを多数発信しています。机上の理論だけでなく、「現場で何が起きているか」に根ざした記述が多いのが特徴です。


こんな人におすすめ
・すでに住宅ローンを組んでいて、「返し方」を見直したい人
・今の返済計画が将来の家計にどんな影響を与えるか知りたい人
・「ローン破綻」という言葉に不安を感じている人

筆者から一言:本書では「予算が決まってから家を見に行くこと」を推奨しています。「予算の見当をつけるために展示場に行くのでは?」と思うかもしれませんが、そこが歯車の狂い始めに。

 

おすすめ本⑤:住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本


著者:西澤 京子・菊地 則夫


どんな内容の本か
本書は、住宅ローンとマイホームに関わる税金をテーマにした書のひとつです。

住宅ローン控除はもちろん、贈与税(親からの援助)、登録免許税・不動産取得税・固定資産税、将来売却するときの譲渡所得税など、マイホームに関わる税金を体系的に解説しています。

「税金」というと難しく感じますが、図や具体例を交えながら、申告の流れや注意点も含めて丁寧に説明されている点が特徴です。

この本で学べること
・マイホーム・住宅ローン関連の基礎知識
・自分にあう資金計画の探し方
・親から頭金の援助を受けるときの贈与税の考え方
・住宅購入時にかかる各種税金と、その軽減措置


著者プロフィール
西澤 京子さん・菊地 則夫さんはいずれも税理士として、個人の資産税や相続・贈与などの分野に精通した専門家です。実務でよくある相談事例をベースに、「どこでつまずきやすいか」を意識した構成になっています。

こんな人におすすめ
・マイホーム・住宅ローン関連の基礎知識を学びたい人
・返済方法についてパターン別に検討したい人
・親からの援助や相続も含めて、税金面について学びたい人

筆者から一言:税金は制度変更も多く、ネット情報だけでは誤解も生まれやすい分野なので、こうした専門書で一度しっかり整理しておく価値は非常に大きいと感じます。

 

おすすめ本⑥:60分でわかる!住宅ローン 超入門


著者:松田 聡子


どんな内容の本か

「60分でわかる!」シリーズとして、住宅ローンの全体像を短時間でつかめるよう構成された入門書です。

難しい数式や専門用語はできるだけ避け、イラストや図を交えながら、「借りる前に考えること」「ローンの基本」「金利タイプの違い」「返済計画の立て方」といったポイントをコンパクトにまとめています。

忙しい共働き世帯や、「とりあえず概要だけ先に押さえておきたい」という人にとって、最初の一冊としてちょうど良いボリューム感です。


この本で学べること
・住宅ローンの基礎知識(金利のしくみ、住宅ローンの種類、減税制度など)
・金利タイプごとのメリット・デメリット
・家計全体から見た「無理のない返済額」の考え方
・完済するためにすべきこと


著者プロフィール
松田 聡子さんは、一般向けのマネー入門書を多く手がけるファイナンシャルプランナーで、「やさしい言葉で伝える」スタイルに定評があります。初心者のつまずきやすいポイントを押さえた構成で、金融が苦手な人でも読み進めやすい内容です。


こんな人におすすめ
・住宅ローンについて、まずは「ざっくり全体像」を知りたい人
・他の本は分厚くて読み切れる自信がない人
・忙しくて読書時間を取りにくい共働き世帯の人

筆者から一言:最初から難しい本に挑戦して挫折してしまうくらいなら、この入門書で60分だけ集中して読み切るほうが、結果として理解が深まります。そのうえで、興味が湧いたテーマについて専門性の高い本へステップアップしていくのが効率的です。


まとめ|本で基礎を固めると、住宅ローンの「交渉力」が変わる

住宅ローンは、「なんとなく」で決めると数百万円単位の差が生まれる金融商品です。

一方で、基本的な仕組みと判断軸を理解していれば、銀行や営業担当者の提案を鵜呑みにせず、自分の意思で選択できるようになります

・変動か固定か
・借入額はいくらが適正か
・繰り上げ返済は必要か
・税制優遇をどう活用するか

これらはすべて、「知っているかどうか」で結果が変わります。

まずは1冊、自分に合った本から読み始めてみてください。その一歩が、数十年にわたる家計の安定につながります。

 

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

 

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【2026年5月】個人向け国債の金利をFPが解説|変動10年・固定5年・固定3年を月次チェック

2026年5月募集分の個人向け国債の条件が発表されました。前月より3種類すべてで金利が上昇し、「そろそろ真剣に検討してみようかな」と感じる水準になりつつあります。

財務省:個人向け国債(変動10年・第194回他)の発行条件等

金利が動きやすい今の環境では、毎月の変化を追いかけていくことも大切です。

今回は資産運用歴20年超の独立系FPが、2026年5月の金利水準と3つのタイプの特徴をまとめましたので、投資初心者の方に向けて分かりやすく解説いたします。個人向け国債の金利は、今後も月イチで定点観測していきます。

 

この記事のポイント
・2026年5月募集分の個人向け国債・最新金利
・変動10年・固定5年・固定3年の違い(超シンプル版)
・初心者向けのタイプ別選び方
・元公務員FPのひと言レビュー

2026年5月募集分の基本データ【まずここだけ】

財務省より、個人向け国債(2026年5月募集分)の発行条件が発表されました。

募集期間:2026年5月14日(木)〜5月29日(金)
発行日:2026年6月15日(月)
購入単位:1万円から1万円単位
購入手数料:無料

2026年5月の金利早見表

種類 回号 金利
(税引前・年率)
前月比 満期
変動10年 第194回債 1.67% +0.12% 10年
固定5年 第182回債 1.89% +0.10% 5年
固定3年 第192回債 1.57% +0.06% 3年

出典:財務省「現在募集中の個人向け国債」

3種類すべてで前月(2026年4月)より金利が上昇しています。3本とも金利が前月を上回ったのは、日銀の金融政策の修正を背景にした長期金利の上昇が続いているためです。

かつては預金金利とも大差ない水準でしたが、非常に面白味のある金利になってきたのではと感じています。

 

そもそも個人向け国債ってなに?

個人向け国債は、日本国政府が個人向けに発行する債券です。元本と利子の支払いは国が保証しており、株式や投資信託とは異なり元本割れのリスクが原則ありません。

・1万円から購入できる(1万円単位)
・手数料は無料(購入時・償還時ともに)
・最低金利0.05%が保証されているため、利子がゼロになることはない
・毎月発行されており、1年に12回購入チャンスがある

2026年5月時点では、多くの大手銀行の定期預金(金利0.数%台)と比べても、個人向け国債の金利は一段高い水準になっています。

⚠️ 注意点:発行後1年間は中途換金ができません。急に必要になるかもしれないお金には向きません。

 

3タイプのざっくり特徴

個人向け国債には3種類あります。

【2026年5月】個人向け国債 3種類の特徴

性格比較表

どのタイプを選ぶかは、「いつ使うお金か」で考えるのが一番シンプルです。
ざっくりとした“性格”を表にまとめると、次のようになります。

種類 金利 満期 こんな人向け
変動10年 半年ごとに変わる 10年 将来の金利上昇も取り込みたい人
固定5年 購入時に固定(5年間変わらない) 5年 今の水準を5年ロックしたい人
固定3年 購入時に固定(3年間変わらない) 3年 まず短めで試してみたい人

 

変動10年(金利が半年ごとに変わるタイプ)

半年ごとに金利が見直されるため、今後さらに金利が上がれば受け取る利子も増えていくという特徴があります。今回の初回適用金利は1.67%です。

一方で、市場金利が下がれば受け取る利子も下がります。ただし、いかなる状況でも最低0.05%は保証されています。

仕組みや詳しい活用法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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固定5年(今回3種類の中で最も金利が高い)

購入時の金利1.89%が5年間ずっと変わりません。「いまの利率をそのまま確定させてしまいたい」という方に向いています。

たとえば5年後に大きな旅行を計画している、子どもの進学費用を準備したい、といった具体的な目標がある方にもフィットしやすいタイプです。市場金利が下がっても、自分の金利はそのまま維持されます。

 

固定3年(まず試してみたい人の入口)

金利1.57%が3年間固定されます。5年よりも短い期間で、「まずはお試し」として使いやすいタイプです。

「ボーナスの一部だけ」「使い道が3年後には決まっている資金」など、無理なく始めやすい選択肢です。5年より利率は低いですが、期間が短い分だけ柔軟に動かせます。

 

金利はどのくらい上がってきた?過去2年の推移

個人向け国債の金利は、2024年以降に大きく上昇しています。かつての「ほぼ0%の商品」とは性質が変わってきています。

金利推移の主要ポイント

発行月 変動10年 固定5年 固定3年
2024年1月 0.46% 0.25% 0.05%
2024年6月 0.57% 0.45% 0.29%
2025年1月 0.71% 0.71% 0.60%
2025年7月 1.00% 1.00% 0.79%
2026年1月 1.23% 1.35% 1.10%
2026年6月(今回) 1.67% 1.89% 1.57%

 

この背景には、日本銀行の政策修正(マイナス金利解除)と長期金利の上昇があります。個人向け国債は、毎月募集ごとに金利が更新されるため、買うタイミングそのものがリターンに影響する商品です。

100万円を預けると、いくらになる?ざっくりイメージ

固定5年・固定3年は「金利が変わらない」と仮定して、変動10年は「初回金利が続いた場合」の目安として試算します(税引前・概算)。

 

種類 金利
(税引前)
年間利子
(税引前・100万円の場合)
目安期間
変動10年 1.67% 約16,700円 /年 10年
固定5年 1.89% 約18,900円 /年 5年
固定3年 1.57% 約15,700円 /年 3年

 

ポイント:利子は半年ごとに受け取る仕組みで、その都度20.315%の税金(所得税・復興特別所得税・住民税)が差し引かれます。上の表は税引前の概算なので、実際の手取りはやや少なくなります。

 

中途換金はできる?注意点をチェック

個人向け国債は、発行から1年経過すれば中途換金が可能です。ただし換金時には、以下のようなペナルティが発生します。

中途換金調整額の計算式(発行後1年以上の場合)

受取金額 = 額面金額+経過利子相当額 - 直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685

わかりやすく言うと、「直近の利子2回分相当を返してから換金する」イメージです。ただし、受け取った利子以上のペナルティにはならないため、元本割れにはなりません

 

中途換金調整額の詳細なシミュレーションは財務省の公式サイトでも確認できますので、ぜひご覧ください。

参考:個人向け国債お試しシミュレーション

 

どのタイプを選ぶ?かんたん判断フロー

目的と期間から考えると選びやすいと思います。

・3年後に使う予定がある資金 → 固定3年(期間が短く、柔軟)
・3〜5年は使わないと決められる資金 → 固定5年(今回1.89%で今の水準を固定)
・長期・10年スパンで将来の金利上昇も取り込みたい → 変動10年

※「このフロー図では、『3年以内に使う予定がある』=『3年ぐらい先に使う用途が見えているお金』というイメージで使っています。1年以内に使う可能性が高いお金は、そもそも個人向け国債ではなく普通預金などで持っておくのが基本です。

 

💡 元公務員FPのひと言:「生活防衛資金(生活費の3〜6か月分)は普通預金に残しておく、それ以外に当面使わないと決めたお金から検討を始める」のが基本の考え方です。旅行や将来の積立に、個人向け国債を1本加えてみるのも選択肢の一つです。

 

2026年5月 FP視点の筆者ひと言レビュー

今月(2026年5月募集分)は、3種類すべてで前月比プラスという結果でした。特に固定5年の1.89%は、「今のうちに利率を固定したい」という方にとって意識しておく水準です。

筆者は、今後もある程度のインフレが続き、日本の長期金利も中長期的にはじわじわ上がる可能性が高いと見ているため、自分のお金であれば変動10年を選ぶと思います。

とはいえ、金利や物価の先行きには不確実性も大きく、「これが絶対の正解」という商品はありません。あくまでご自身の資金用途と期間に合うタイプを選ぶことが、失敗しにくい基本の考え方です。

 

どこで買える?

個人向け国債は、銀行・証券会社・ゆうちょ銀行・ネット証券など、全国の多くの金融機関で購入できます。

購入時・償還時ともに手数料はかかりませんので、まずはすでに口座をお持ちの金融機関で取り扱いを確認してみてください。

<公式情報はこちら>

財務省「現在募集中の個人向け国債」

財務省「個人向け国債 商品概要」

 

自分軸で判断できるようになることがゴール

このブログでは、毎月「今月の金利」「前月からの変化」「筆者のひと言レビュー」をお届けします。

金利が上がっても・下がっても、毎月コツコツと情報を確認し、自分軸で判断できるようになることが、このシリーズのゴールです。

来月(2026年6月募集分)は2026年6月4日〜6月30日に募集開始予定です。次回も一緒に確認しましょう。

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

 

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こどもNISAで何を買えばいい?投資初心者でも失敗しない投資信託の選び方【FP解説】


この記事でわかること

 - こどもNISAで購入できる商品の種類
 - 投資信託を選ぶ3つのポイント
 - FPが厳選したおすすめ商品3本の特徴と向いている人
 - オルカンとS&P500、どっちを選ぶべきか
 - 子どもの年齢別・積立の考え方
 - 月いくら積み立てればいいか(シミュレーションつき)

 

前回の記事では、こどもNISAの制度の概要をお伝えしました。

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今回はその続編です。「制度はわかった。でも、実際に何を買えばいいの?」という疑問を持った方のために、投資歴20年超のFPが投資信託の選び方をわかりやすく解説します。


結論から先にお伝えします。

投資初心者なら、まずは『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』1本から検討するのがおすすめです。

その理由を、これから順を追って説明していきます。

 

 

こどもNISAで買える商品は?まず全体像を整理しよう

「つみたて投資枠」の対象商品のみ

こどもNISAで購入できるのは、「つみたて投資枠」の対象商品のみです。個別株や通常の投資信託は購入できません。

つみたて投資枠の対象商品とは、金融庁が「長期・積立・分散投資に適切である」と認定した投資信託・ETFです。つまり国が「これは長期投資に向いている商品ですよ」とお墨付きを与えた商品だけが対象になります。

<参考>つみたて投資枠対象商品 : 金融庁

 

こどもNISAで買えるもの・買えないもの

商品の種類 こどもNISAで買える?
つみたて投資枠対象の投資信託 ✅ 購入できる
つみたて投資枠対象のETF ✅ 購入できる
個別株(国内・海外) ❌ 購入できない
つみたて投資枠対象外の投資信託 ❌ 購入できない
FX・仮想通貨・金 ❌ 購入できない

 

FPのコメント:購入商品が限定されるのは、初心者には逆にメリットでもあります。こどもNISAは最初から「長期投資向きの商品」に絞られているので、選択肢が多すぎて失敗するリスクが低いのです。

 

投資信託の種類をざっくり理解しよう

商品を選ぶ前に、投資信託には大きく3つの種類があることを知っておきましょう。

種類 特徴 こどもNISAとの相性
インデックス型 市場全体に連動・低コスト・長期向き ◎ 最適
アクティブ型 プロが銘柄を選び運用・コスト高め △ やや慎重に
バランス型 株・債券など複数の資産に分散 〇 年齢・目的次第

 

こどもNISAのような長期の積立投資には、インデックス型が基本です。その理由は後ほど詳しく解説します。

 

投資信託を選ぶ3つのポイント

投資信託を選ぶ3つのポイント

① コスト(信託報酬)が低いものを選ぶ

信託報酬とは、投資信託を保有している間、毎年かかる管理コストのこと。年率で表示され、自動的に基準価額から差し引かれます。

たとえば年率0.5%と0.1%のファンドでは、20年後に数十万円以上の差が生まれることがあります。

目安:年率0.2%以下を選びましょう。

人気のインデックスファンドの中には、信託報酬が年率0.05〜0.1%台のものも多くあります。

投資の世界においては、低コストこそが、もっとも確実にリターンを押し上げる要素のひとつです

② 純資産総額が大きいものを選ぶ

純資産総額とは、そのファンドに集まっているお金の総額です。純資産が大きいファンドには、次のようなメリットがあります。

- 多くの投資家に選ばれている=信頼の証
- 繰上償還(早期終了)のリスクが低い
- 運用コストが安定しやすい

目安:純資産総額1,000億円以上のファンドが安心。


③ 広く分散されたファンドを選ぶ

「分散投資」とは、1つの国や企業に集中せず、複数に分けて投資することです。

「卵を1つのかごに盛るな」というのは投資の格言。もし1つのかごを落としても、他のかごの卵は無事です。

たとえば全世界の株式に分散するファンドを選べば、ある特定の国の経済が悪化しても、他の国の成長でカバーできる可能性があります。

 

投資歴20年超のFP厳選!おすすめ投資信託3選

⚠️ 免責事項:以下はあくまでも一般的な情報提供であり、特定の商品の購入を勧めるものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください

1.eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

通称「オルカン」。迷ったらこれ1本でOKです。

特徴
- 日本を含む先進国・新興国、約50か国の株式に分散投資
- 信託報酬:年率0.05775%(業界最低水準クラス)
- 純資産総額:約11兆2,000億円(2026年5月時点)
- 設定来リターン:+221.76%(2026年5月時点)


こんな人に向いている

- 投資初心者でとにかくシンプルに始めたい人
- 子どもがまだ小さく、長い期間(10年以上)運用できる人
- 迷ったら「これ1本」と割り切りたい人

FPのコメント:なぜオルカンが「まずこれ」と言われるのか?
世界中の株式に1本で分散できるため、「この国が伸びる・この国が下がる」を予測しなくて済みます。投資の世界でも「将来どの国が伸びるかは誰にもわからない」というのが大前提。だからこそ、最初から全世界に分散しておくのが合理的な選択です。

emaxis.am.mufg.jp

2.eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

米国経済の成長を信じて長期保有できる人向け。

特徴
- 米国の主要企業500社に投資(Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazon、Googleなど)
- 信託報酬:年率0.0814%
- 純資産総額:約11兆4,800億円(2026年5月時点)
- 純資産総額が1兆円を超えてから約1年半で10兆円を突破


こんな人に向いている

- 米国株の長期的な成長を信じている人
- 「世界の主力企業に投資したい」という人
- 多少の集中リスクを取って、リターンを狙いたい人

 

FPのコメント:注意点は米国集中リスク
S&P500は米国の企業のみへの投資です。米国経済が長期低迷するシナリオでは、オルカンより大きく下がる可能性があります。「分散」という観点では、オルカンより劣ります。

emaxis.am.mufg.jp

 

3.ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)

「株式が怖い」「もう少し安定したい」という人のための選択肢。

特徴
- 国内株式・先進国株式・国内債券・先進国債券を各25%ずつ保有
- 信託報酬:年率0.154%
- 定期的に自動リバランス(4資産の比率を自動で25%ずつに調整)


こんな人に向いている

- 「株式100%は怖い」と感じる慎重な方
- 子どもがすでに小学校高学年〜中学生で、大学入試まで残り少ない方
- 「暴落したらどうしよう」という不安が強い方

FPのコメント:安定運用が期待できますが、債券が半分を占めるため、長期的な期待リターンは株式100%のファンドより低めになります。ちなみに、皆さんの年金を運用しているGPIFは、この4資産均等方式で運用しています。

<参考>GPIFのご紹介|年金積立金管理運用独立行政法人

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3商品の比較まとめ

  オルカン S&P500 4資産均等型
投資対象 全世界株式 米国株式 株式+債券
信託報酬(年率) 0.06% 0.08% 0.15%
リスク水準 中〜高 中〜高 中(債券が安定)
長期リターン期待 高い 高い 控えめ
おすすめ年齢 0〜11歳 0〜11歳 12〜17歳にも
一言で言うと 迷ったらこれ 米国集中投資 安定重視

 

せっかくなら日本株を重視したいという方なら

・eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)もオススメです。
 日本、先進国、新興国が3分の1ずつ均等に組み込まれています。オルカンは日本比率が約5%に対し、こちらは33.3%と高いので、日本株を推したい人に向いています。

eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型) | eMAXIS(イーマクシス)

 

オルカンとS&P500、どっちを選べばいい?

この2つはよく比較されますが、実はどちらも「正解」です。大切なのはどちらが優れているかではなく、「続けられるかどうか」です。

共通点
- どちらも低コストのインデックスファンド
- どちらも長期積立に適している
- 実は中身の約60〜65%が重複している(どちらも米国株の比率が高い)

違い

  オルカン S&P500
分散範囲 全世界(日本含む50か国以上) 米国のみ
米国株の比率 約60〜65% 100%
米国が不振の場合 他の国がカバーできる可能性 直撃を受ける
長期リターン
(過去実績)
S&P500よりは低め やや高め
(ただし変動あり)


FPの結論:迷ったらオルカンを選んでおけばOK。

こどもNISAは最長18年という長い時間があります。その間に「米国vs全世界、どっちが得か」を正確に予測できる人はいません。だからこそ最初から全世界に広く分散するオルカンが、投資初心者には最もシンプルで合理的な選択です。

 

子どもの年齢別・積立の考え方

長期投資では「運用期間の長さ」がとても重要です。残り運用期間が長いほど、一時的な暴落からも回復できる可能性が高くなります。

重要:こどもNISAは18歳で自動的にNISAに移行される

こどもNISAの資産は18歳になると、自動的に大人のNISA(つみたて投資枠)に移行される予定です。※詳細は今後の税制改正・政令により変更の可能性もあるため、正式決定後に必ず最新情報を確認してください。

これは非常に重要なポイントです。「大学入学資金として使う」のでなければ、18歳で慌てて売却する必要はありません。そのまま成人NISAとして非課税で運用を続けることができます。

FPのコメント:「子どもの大学資金として使うのか」「子どもへの資産形成として続けるのか」によって、出口戦略が変わります。目的を明確にしてから運用スタイルを考えましょう。

 

月いくら積み立てればいい?現実的な金額の考え方

まず「無理のない金額」から始めることが大切

積立投資でもっとも大切なのは「続けること」です。高いリターンを狙って無理な金額を積み立てて途中でやめてしまうより、少額でも長く続ける方が効果的です。

 たとえば「児童手当」をそのままこどもNISAへ

2024年10月の改正で、児童手当は所得制限が撤廃され、支給対象が高校生年代まで延長されました。

年齢 支給額(第1子・第2子)
0〜2歳 月15,000円
3歳〜高校生年代 月10,000円

児童手当をそのままこどもNISAに回すというのが、手軽な第一歩として多くの方に支持されています。「もともと使っていなかったお金」として心理的ハードルが低いのが特徴です。

積立シミュレーション(年率5%想定)

⚠️ 以下のシミュレーションは年率5%の運用が続いた場合の仮定の計算です。実際の運用成果を保証するものではなく、元本割れが生じる可能性もあります。

たとえば月5,000円(児童手当の一部を回す場合)

積立期間 元本 運用後の想定額 うち利益
10年後 600,000円 776,411円 +176,411円
15年後 900,000円 1,336,445円 +436,445円
18年後(誕生から満期) 1,080,000円 1,746,010円 +666,010円

ポイント:月5,000円を18年間積み立てると、元本108万円が約175万円(想定)に。利益はすべて非課税です。これがこどもNISAの最大のメリットです。

 

よくある質問(FAQ)

 Q. 投資信託は一度選んだらずっと同じ商品でいいですか?

基本的にはそのままで問題ありません。基本的には、そのまま保有し続けることが長期投資の王道です。ただし、年に1回程度、ライフプランと照らし合わせて見直すと安心です。

Q. 積立金額は途中で変更できますか?

はい、変更できます。家計が苦しくなったときは減額、余裕ができたときは増額するなど、柔軟に対応可能です。

 Q. 学資保険との違いは?どちらがいい?

学資保険は「確実に受け取れる」安心感が魅力ですが、元本割れしない代わりに利回りは低め(0〜1%台)です。こどもNISAは元本割れのリスクがある一方、長期では学資保険を上回るリターンが期待できます。

 

FPの考え方のひとつとして:確実に使うお金は学資保険や定期預金で守り、15〜18年後も使わない可能性があるお金はこどもNISAで育てる、という2本立ては、FPである筆者がよく用いる考え方のひとつです。

 

まとめ:こどもNISAの投資信託選び3行まとめ

1. 商品は「インデックスファンド」一択。低コスト・広分散を最優先に選ぶ
2. 迷ったら「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)」1本でもいい
3. 金額は無理のない範囲から。児童手当をそのま回すのが始めやすい

投資は「完璧な商品を選ぶゲーム」ではなく、「長く続けるゲーム」です。まずは1本選んで、少額からでも始めてみることが、何よりも大切です。

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

※本記事の情報は2026年5月時点のものです。制度の詳細は今後変更される可能性があります。最新情報は金融庁公式サイト・各金融機関にてご確認ください。

 

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【2026年度税制改正】こどもNISAとは?2027年開始の新制度を図解でわかりやすく解説

「2026年度の税制改正で“こどもNISA”が始まるらしいけど、結局なにがどう変わるの?」
「学資保険だけで教育費が足りるのか不安。でも投資はよくわからなくて怖い…」

子どもを持つ親として、こんなモヤモヤを感じていませんか。

2025年12月に閣議決定された「令和8年度税制改正大綱」により、2027年1月から18歳未満の子ども向けに新しい非課税制度「こどもNISA」がスタートする予定です。

「令和8年度税制改正の大綱」の概要

この記事では、資産運用歴20年超の独立系FPが、こどもNISAの仕組みやメリット・注意点を、図解イメージを交えながらやさしく解説します。

こどもNISAの詳細は、令和8年度税制改正大綱および金融庁等の公表資料をもとにした現時点の情報です。今後の法令や運用ルールの整備により、内容が変更となる可能性があります。

 

この記事のポイント
- こどもNISAで「何が」できるのか
- ジュニアNISAとの違い
- 贈与税・引き出し条件など、絶対に知っておきたいポイント
- 実際にどう始めればいいか

 

そもそもNISAって何?(おさらい)

まずは前提となる「NISA(ニーサ)」から簡単におさらいします。

NISAは、投資で得た利益に税金がかからない「少額投資非課税制度」です。  
通常、投資信託や株式で利益が出ると、約20%(正確には20.315%)の税金がかかりますが、NISA口座についてはこの税金がゼロになります。

NISA口座 イメージ図

NISA口座 イメージ図

2024年からは、新しいNISA制度が始まり、

- つみたて投資枠(長期・積立向け)
- 成長投資枠(株式なども含めた運用向け)
- 非課税期間は無期限
- 生涯の非課税保有限度額は1,800万円

という形に拡充されました。  
ただし、この新NISAは「18歳以上」が対象です。

 

こどもNISAとは?【2027年スタート予定の新しい非課税枠】

この「18歳以上しか使えない」という壁を取り払うために創設されるのが、2027年から始まる「こどもNISA」です。

こどもNISAの主なポイントを整理すると、次のとおりです。

項目 内容
対象年齢 0〜17歳(その年の1月1日時点で18歳未満)
年間投資枠 60万円(=月あたり最大5万円程度)
非課税保有限度額 600万円(元本ベース)
非課税期間 無期限
投資対象 新NISAの「つみたて投資枠」の対象商品(主に投資信託)
払い出し 12歳以降、一定の条件を満たせば引き出し可
成人後 18歳になったら大人向けNISA(つみたて投資枠)に自動移行
開始時期 2027年1月1日開始予定

 

「0〜17歳のあいだ、月5万円までの長期つみたてを“非課税・無期限”で育てられる制度」だと考えるとイメージしやすいと思います。

親(あるいは祖父母)が子ども名義のこどもNISA口座を開設し、その中で投資信託を積み立てていく流れです。

払い出しのルール:12歳以降なら条件付きで引き出し可能

旧ジュニアNISAでは「18歳まで原則引き出せない」というルールがあり、「進学前にお金が必要になっても使えない」という大きなデメリットがありました。  
こどもNISAでは、この点が大きく改善されます。

主な払い出しルールは、次のとおりです。

- 12歳になるまで:原則として払い出し不可
- 12〜17歳:一定の条件を満たせば、教育費・生活費などに払い出し可能

条件のイメージ
  - 使い道が「子どものため」であること(入学金・授業料・通学費など)
  - 子ども自身が引き出しに同意していること
  - 金融機関に必要書類(同意書など)を提出すること

タイムラインにすると、次のようなイメージです。

こどもNISAタイムライン イメージ図

こどもNISAイメージ図

FPからの一言:中学受験や私立中高への進学など、教育費のピークが早めに来るご家庭にとっては、使い勝手がかなり良くなったといえます。18歳以降はそのまま大人NISAに移行する点も嬉しいところです。

※具体的な手続きや必要書類は今後の法令・金融機関の運用で変わる可能性があります。


ジュニアNISAとの違いを整理

「今までのジュニアNISAと、何がどう変わるの?」という疑問に答えるため、主な違いをまとめます。

項目 ジュニアNISA(旧) こどもNISA(新)
対象年齢 0〜19歳(開設時) 0〜17歳
年間投資枠 80万円 60万円
非課税保有限度額 400万円 600万円
非課税期間 原則5年+ロールオーバー 無期限
投資対象 上場株式・投資信託など つみたて投資枠対象の投資信託のみ
払い出し制限 原則18歳まで払出し不可(一部例外) 12歳以降、条件付きで払出し可能
制度の状況 2023年で新規口座開設終了 2027年1月開始予定


こどもNISAは「投資対象を投資信託に絞る代わりに、非課税期間を無期限にし、払い出しも柔軟にした制度」と捉えるとわかりやすいです。

 

贈与税の注意点:お金の出どころを意識しよう

こどもNISAの積立に回すお金は、多くのご家庭で「親」または「祖父母」から子どもへ渡される形になります。

このときに意識したいのが「贈与税」です。

- 子ども名義の口座に、親や祖父母がお金を入れる=税法上は「贈与」とみなされる
- 贈与税には年間110万円の基礎控除があり、同一年に同じ子どもが受け取る贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかからない

こどもNISAの年間投資枠は60万円なので、それ単体であれば110万円の範囲内に収まりやすい金額設定です。

ただし注意したいのは、

- 入学祝・お年玉・教育費援助など、こどもNISA以外の贈与も合算される
- 祖父母2人+親など、複数の人から贈与があると合計が膨らみやすい

という点です。

こどもNISA 贈与税の注意点

FPからの一言:できれば、家計簿やシートなどで「その子が1年間にいくら贈与を受けているか」を家族で共有しておくと安心です。まとまった金額を祖父母から出してもらう場合には、簡単な贈与契約書やメモを残しておくと、相続税対策の観点からもスッキリ整理できます。

 

こどもNISAのメリット・デメリット

メリット

- 子どもの将来資金を、非課税・無期限で長期運用できる
- 月5万円(年60万円)まで積立でき、教育費〜その先の資金の“種”を作りやすい
- 12歳以降は、進学など教育費のタイミングに合わせて条件付きで引き出せる柔軟性
- 18歳になったら、大人向け新NISA(つみたて投資枠)へ自動移行し、資産形成を継続できる
- 年60万円という枠は、贈与税の基礎控除110万円の範囲に収まりやすく、贈与税の観点でも扱いやすい

デメリット・注意点

- 投資対象が「つみたて投資枠対象の投資信託」に限られ、個別株は買えない
- 投資である以上、元本割れのリスクがあり、学資保険のような“確定利回り”ではない
- 12歳になるまでは原則引き出せないため、急な出費には向かない
- 贈与税の管理を誤ると、思わぬ税負担が発生する可能性がある
- 2027年開始予定のため、現時点(2026年)ではまだ口座開設ができず、制度詳細も今後変更の可能性がある

 

FPからの一言:個別株が買えないことは、投資初心者にとっては、かえって余計な売買を抑えやすいという意味で個人的にはメリットと感じます。またインフレ局面では、現金や確定利回り商品だけに偏らず、成長資産も取り入れたポートフォリオを検討する価値があります。

12歳までは原則引き出せないので、生活資金を確保した上でバランスを見て投資しましょう。

 

積立するとどれくらいになる?ざっくりイメージ

投資成果はあくまで将来の相場次第ですが、イメージを持つために「元本ベース」で考えてみましょう。

こどもNISAは「非課税保有限度額600万円(元本)」まで積立できます。

- 年間60万円 × 10年 = 600万円
- 月5万円 × 10年(120月) = 600万円

例えば、

- 0歳〜9歳まで:月5万円 → 10年間で元本600万円

   → 以降は運用を続けても、非課税枠は維持される(利益も非課税)。

- 0歳〜17歳まで:月3万円 → 18年間で約648万円  

  → 600万円まではこどもNISA枠、それを超える分は課税口座で運用、というイメージになります。

こどもNISA積立イメージ図

運用益はあくまで不確実ですが、「教育費+20代以降の資産形成の土台」を同時に作れるポテンシャルがあるのが、こどもNISAの大きな魅力です。

 

こどもNISAの始め方(2027年に向けての準備)

実際にこどもNISAを使うには、まず「子ども名義の証券口座(未成年口座)」を開設する必要があります。今後の実務フローは各社から順次発表されますが、一般的な流れは次のようになる見込みです。

ポイント
1. 証券会社を選ぶ
2. 親(親権者)が自分の証券口座・NISA口座を持っておく
3. 未成年口座(こどもNISA口座)を申し込む
4. 必要書類を提出する
5. 積立設定をする

2026年のうちにできる準備としては、

- 家計のキャッシュフローを確認し、「現実的に積み立てられる金額」を把握しておく
- 祖父母などからの援助がある場合、贈与税の基礎知識を家族で共有しておく
- 親自身の新NISA(大人枠)と合わせて、家計全体の資産形成方針を整理しておく

といった点があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. こどもNISAはいつから始まりますか?  
A. 2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正大綱に基づき、2027年1月1日からの開始が予定されています。こどもNISAは、単に教育費のための制度というより、「次世代の資産形成と金融教育を後押しする」という政策的な狙いも込められています。

Q2. 子どもが18歳になったらどうなりますか?
A. 18歳になった時点で、こどもNISAで保有している資産は、大人向けの新NISA(つみたて投資枠)に自動的に移行する見込みです。

Q3. 祖父母がお金を出してこどもNISAを使うことはできますか?
A. 可能です。ただし、祖父母から子どもへの資金拠出は「贈与」にあたり、年間110万円を超えると贈与税の対象になります。こどもNISA以外の贈与も合算されるので注意が必要です。

Q4. ジュニアNISAと併用できますか?
A. ジュニアNISAは2023年で新規口座開設が終了しており、こどもNISAはその後継にあたる新制度です。新たに、こどもNISAを使うイメージになります。

Q5. こどもNISAで個別株を買うことはできますか?
A. できません。こどもNISAで投資できるのは、新NISAの「つみたて投資枠」の対象となる投資信託・ETFに限られる見込みです。

まとめ:こどもNISAは「子どもの時間」を味方につける制度

最後に、こどもNISAのポイントを整理します。

- 0〜17歳が対象、年間60万円・合計600万円までの元本を非課税で運用できる
- 投資対象は「つみたて投資枠」の投資信託に限定
- 12歳以降は条件付きで払い出しが可能、中学・高校以降の教育費にも柔軟に対応できる
- 贈与税との関係を押さえておけば、祖父母も含め「三世代での資産形成」にも使える
- 18歳以降は大人向け新NISAに自動移行し、子ども自身の資産形成・マネー教育にもつなげやすい

こどもNISAは、「子どもの長い時間」を味方につける制度です。  
学資保険や貯金と並べて、「うちの家計にはどんな組み合わせがちょうどいいか」を考えることで、より納得感のある教育資金づくりができるはずです。

教育費のシミュレーションや、「親の新NISA」「こどもNISA」「学資保険」をどう組み合わせるかは、ご家庭ごとに最適解が違います。

もし「うちの場合はいくら積み立てればいい?」という具体的なイメージを持ちたい場合は、家計全体を見ながら一緒に設計していきましょう。

 

参考リンク

本記事は、以下の公的資料・専門機関のレポート等をもとに執筆しています。

- 金融庁「『令和8年度税制改正の大綱』の概要(NISA関連)」
   https://www.fsa.go.jp/access/r7/270/270_03.pdf

- 金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」
  https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251226-2/01.pdf

- 金融庁 NISA特設ウェブサイト
   https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/

- 三井住友トラスト基礎研究所
  https://www.scbri.jp/reports/.assets/newstopics_20260126.pdf

 

※制度内容は、令和8年度税制改正大綱(2025年12月閣議決定)時点の情報にもとづいており、 今後の法令整備や運用状況により変更となる可能性があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

 

 

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。


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