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【2026年6月】個人向け国債は買っても大丈夫?利回り引き上げ議論と個人向け国債のメリット・デメリット

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

最近、「個人向け国債が人気」といったニュースを目にする機会が増えています。また、「利回り引き上げの議論」という記事もありました。

個人向け国債は「資産を増やす主役」ではありませんが、金利上昇時代において持っておく価値が高まっている守りの資産”です。筆者としては、守りの資産としては非常に評価している商品です。

本記事では、2026年の最新動向を踏まえながら、独立系FPが個人向け国債の仕組み・メリット・デメリット、そして「今買うべきか」をFP視点で分かりやすく解説します。

 

この記事を読んでもらいたい人
「まずは安全資産から投資を始めたい」と考えている投資初心者の方
・NISAで積立投資をしていて、「攻めと守りのバランス」を取りたい方
・金利上昇に関心があり、自分の資産をどこに置くべきか考え始めた方

 

<参考リンク>個人向け国債窓口トップページ : 財務省

個人向け国債とは?初心者向けにやさしく解説

個人向け国債とは、日本政府が個人からお金を借りるために発行する債券です。私たちが国債を購入することで、国にお金を貸し、その見返りとして利息を受け取ります。

個人向け国債は、変動10年、固定5年、固定3年の3種類があり、特徴は次の6つです。

・元本割れなし
・国が発行
・1万円から購入可能
・0.05%(年率) の最低金利保証
・年12回(毎月)発行
・中途換金もOK ※ただし、購入後1年は不可

イメージとしては「定期預金より少し有利な、国が発行する金融商品」と考えると分かりやすいでしょう。

元本割れがないというのは、非常に安心感のあるポイントだと思います。また、現在、多くの銀行の1年もの定期預金金利はおおむね0.3〜0.5%程度です。一方、2026年5月募集分の個人向け国債(変動10年)の利率は1.67%と、定期預金の約3〜4倍になります。

個人向け国債2026年5月最新金利

個人向け国債2026年5月金利の比較

かつては預金金利とも大差ないものでしたが、現在では少し面白味のある金利になってきたなと感じています。

2026年5月個人向け国債金利の推移

個人向け国債金利の推移

3種類の国債の特徴や選び方については、こちらの記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

daily-luxlife.com

 

個人向け国債の利回り引き上げ議論とは

先週、個人向け国債の利回り引き上げ議論についての記事がありました。なぜ利回りを上げたいのでしょうか。

www.nikkei.com

このニュースの本質は、政府としては、「国債を安定的に保有してくれる国内の個人を増やしたい」という意図があります

これまで日本では、日銀が大量に国債を購入することで市場を支えてきました。しかし現在は金融正常化の流れの中で、その購入を徐々に減らしています。

さらに背景として、海外投資家の保有比率が上昇しています。海外投資家は状況次第で一斉に売却する可能性があり、その場合は金利の急上昇や市場の混乱につながるリスクがあります。

つまり政府としては、金利を安定させるためにも、個人に国債を購入してもらいたい。➡国債の魅力を向上しよう。となっているのです。

利回り引き上げ議論の中身

個人に国債を買ってもらうために、政府・与党内では、いくつかの改善案が「検討段階」にあります(現時点では、まだ正式決定された制度改正ではありません)。

利回りの引き上げ(約20%増の案)
途中解約の制限緩和
商品ラインナップの拡充(短期債など)

特に注目が利回りですね。報道によれば、NISAの税制優遇を意識しつつ、「個人向け国債でも一定程度、魅力が見劣りしないようにしたい」という狙いがあるとされています(あくまで関係者の説明レベルの話で、公式な文言ではありません)。

仮に現在の固定5年の金利が20%上昇した場合、

固定5年金利 1.89%×1.2=2.268%

100万円あたりの年間利息は18,900円から22,680円(税引き前)へと増加します。大きな差ではないように見えますが、「安全資産で利回りが上がる」という点は投資環境全体に影響を与えます。

 

個人向け国債のメリット

個人向け国債の最大の魅力は「安心感」だと私は思います。

元本割れがない
・国が発行しているため信用力が高い
・金利上昇局面では利息も上がる(変動型)
・少額から始められる

投資初心者にとっては、「値動きに一喜一憂しなくていい」という点は大きなメリットです。

デメリット・注意点

一方で、注意すべき点もあります。

・利回りは依然として低い(インフレ負けの可能性)
・1年間は原則解約不可(現行制度)
大きく資産を増やす商品ではない

安定した商品ですが、株式や投資信託のように「資産を増やす主力」として使うのは適していません。

 

【結論】個人向け国債は買っても大丈夫か

筆者の現時点での結論としては、「守りの資産として一部保有するのは有効」、ただし「これだけで資産形成は難しい」という位置づけになります。

向いている人は次のようなタイプ。

・投資初心者
元本重視で安心感を優先したい
・ポートフォリオを安定させたい

向いていない人は、

資産を大きく増やしたい人
・長期でリターンを重視する人

には、正直物足りない商品です。

あくまで守りの資産としてなら、個人向け国債は、個人投資家にとって恵まれている商品だと私は感じています。筆者自身も、家計の守りとして個人向け国債を保有しています。

NISAとの使い分けが重要

資産形成を考える上で重要なのは、「国債かNISAか」ではなく「どう組み合わせるか」です。

NISA:資産を増やす(攻め)
個人向け国債:資産を守る(守り)

NISAで投資信託を積立しながら、一部を国債で安定運用する。といったバランスが現実的です。

 

今後の見通し|金利のある世界へ

今回の個人向け国債利回り引き上げの議論は、日本の金融環境の大きな変化を示しているのかもしれません。

筆者の個人的な見解になりますが、これからはインフレ率も年2~3%が当たり前のように続き、「預金金利」、「国債利回り」、「住宅ローン金利」といったあらゆる金利が上昇していく可能性が高いと考えています。ただし、インフレ・金利の動きには不確実性があり、将来の経済状況によってはこの見通しと異なる結果となる可能性もあります。

その中で個人向け国債は、「金利上昇時代の安全資産」として、今後さらに存在感を高めていくでしょう。

個人向け国債は派手なリターンはありませんが、資産形成の土台を支える重要な選択肢です。これからの時代は、「増やす」と「守る」を分けて考えることが、より一層重要になっていきます。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

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※本記事は一般的な金融情報の提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を勧誘するものではありません。具体的な投資の可否については、ご自身の状況に応じて金融機関や専門家にご相談のうえ、最終的な判断はご自身の責任において行ってください。

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

NISA・積立投資の入門に読むべき本5選|世界の名著でわかる「積立投資」の正しい考え方

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

「NISAを始めたいけど、何を買えばいいかわからない」「積立を続けているが、本当にこれでいいのか不安」。そんな方に読んでもらいたい本があります。

本記事では、積立投資・インデックス投資の世界で投資家に読み継がれてきた名著を5冊に厳選してご紹介します。

投資歴20年の独立系FPである著者が、「金融機関や販売会社に頼らず、自分の言葉で判断できる軸を持つ」ために本当に役立つ本だけをピックアップしました。

 

 

この記事で紹介する5冊を選んだ基準

数多ある投資本の中から、今回の5冊を選んだ基準を整理しておきます。

ポイント
・長期・積立・分散の原則に基づいていること
・「インデックス投資がなぜ有利か」をデータと論拠で説明していること
・販売利益に依存しない著者または実践者目線で書かれていること

 

5冊の一覧(難易度・対象者)

  書名 難易度 こんな人向け
ウォール街のランダム・ウォーカー ★★★ 投資理論の根拠から理解したい人
敗者のゲーム ★★☆ 「なぜ勝てないか」を論理的に知りたい人
投資の大原則 ★☆☆ まず薄い本で全体像をつかみたい人
インデックス投資は勝者のゲーム ★★☆ 低コスト投資の本質を学びたい人
改訂版 お金は寝かせて増やしなさい ★☆☆ 日本のNISA・iDeCo環境で実践したい人

ここから先は、それぞれの本の内容と、積立投資にどう役立つかを簡潔にご紹介していきます。

おすすめ本①:ウォール街のランダム・ウォーカー(バートン・マルキール著)

「株価は予測できない」という真実をデータで学ぶ決定版

 

どんな本?

1973年の初版以来、半世紀にわたって読み継がれてきた株式投資の古典的名著です。最新版では、ITバブルやリーマンショック、金融危機後の相場など新しいデータも取り込まれ、「株価は予測できない」というメッセージを繰り返し検証しています。

「市場の先行きを予測して勝とうとするのではなく、市場全体をまるごと買い、長期で持ち続けるのが合理的である」。が本書の主張。


この本で学べること

・個別株やチャート分析で「市場に勝ち続ける」ことがいかに難しいか。
・「効率的市場仮説」と呼ばれる、株価にすでに情報が織り込まれているという考え方。
・インデックスファンドを、ドルコスト平均法で積み立てる戦略の合理性。

難易度は少し高めですが、「なぜインデックス投資なのか?」の理論的な裏付けを知りたい方には、これ以上ない一冊です。


著者について

バートン・マルキール氏は、米プリンストン大学経済学部の名誉教授で、長年ウォール街の実務にも関わってきた経済学者です。学問と実務の両側から投資を見てきた視点が、本書全体に反映されています。


こんな方におすすめ

・チャート分析や銘柄選びではなく、シンプルな方法を探している
・インデックス投資に興味はあるものの、腑に落ちていない
・歴史やデータに裏付けされた「投資の教養」を身につけたい。

筆者コメント:「短期で勝とうとするゲーム」と「長期で資産形成を行うゲーム」は、別物なのだと腹落ちします。積立投資を続けるための“精神的な土台”を作りたい方は、じっくり時間を取って読んでみてください。

※なお、インデックスファンドであっても元本保証ではなく、相場の変動により一時的に損失が発生する可能性があります。

おすすめ本②:敗者のゲーム(チャールズ・エリス著)

アマチュアは「負けないゲーム」をすべきという視点

 

どんな本?

『敗者のゲーム』は、「アマチュア投資家にとって、最強の戦略は『負けないゲーム』を選ぶことだ」というメッセージで有名な一冊です。

テニスの例え話で、プロ同士の試合は「決め球をどれだけ打てるか」で決まるのに対し、アマチュア同士の試合は「ミスをどれだけしないか」で勝敗が分かれると説明します。

株式市場でも大部分を機関投資家が占める現代では、プロ同士が常に激しい争いをしており、その中で個人投資家が「勝者」になり続けるのはほぼ不可能だというのです。


この本で学べること

・アクティブ運用が、長期的には市場平均に負けやすい理由
・過去のデータから、大半のアクティブファンドがインデックスに劣後している事実
・個人投資家にとって、低コストなインデックスファンドが合理的な選択肢である


著者について

エリス氏は、世界的な投資顧問会社の創業者で、年金基金など機関投資家向けのアドバイザーとして長年活躍してきた人物です。「プロの世界の厳しさ」をよく知っているからこそ、個人投資家にインデックス投資をすすめています。


こんな方におすすめ

・「投資信託はプロが運用しているから安心」と思っていた。
・手数料の高い投資信託をいくつも保有してしまっている。
・自分で銘柄を選ぶよりも、「しくみ」で勝ちたいタイプ。

筆者コメント:積立投資をする上で、「コスト」と「ゲーム選び」の重要性を理解するのに、とても役立ちます。防御は最大の攻撃であるということを教えてくれます。

 

おすすめ本③:投資の大原則(マルキール+エリス共著)

2人の巨人がたった200ページに凝縮した「超シンプル投資法」

 

どんな本?

先ほどのマルキール氏と、エリス氏がタッグを組み、個人投資家向けに「これだけ守れば大丈夫」というルールをコンパクトにまとめた入門書です。

内容は非常にシンプルで、貯蓄・分散・低コスト・長期保有といった「当たり前だけれど実践が難しい原則」を、短い章立てで整理しています。

文章量も控えめなので、「まず1冊だけ読みたい」という方には最適です。


この本で学べること

・生活防衛資金をまず確保してから投資すべき理由
・資産配分(アセットアロケーション)の考え方
・インデックスファンドを使った低コスト運用のポイント


著者について

内容は、マルキール&エリスという世界的な投資理論の第一人者2人による共著です。先ほど紹介した2冊の要点を、より日常に近い目線でかみ砕いて説明してくれます。


こんな方におすすめ

・分厚い本はハードルが高いけれど、理論的な根拠も知っておきたい
・これから資産形成を始める20〜40代
・家族の将来のために、家計全体を見直しながら投資をしたい

筆者コメント:初心所の方に「とりあえず1冊教えて」と聞かれたら、この本をおすすめします。表現も平易で読みやすく、「なぜ積立投資なのか」を短時間でつかむことができます。

 

おすすめ本④:インデックス投資は勝者のゲーム(ジョン・C・ボーグル著)

インデックスファンドの「生みの親」が語る投資哲学

 

どんな本?

世界最大級の運用会社バンガード・グループを創設したジョン・C・ボーグル氏の代表作です。彼は、低コストのインデックスファンドを個人投資家に開放したことで、多くの人の資産形成に貢献したと言われています。

手数料や税金などのコストが、長期的には運用成績を大きくむしばむことを、具体的な数字とグラフで示しています。


この本で学べること

・投資信託の「信託報酬」などのコストが、複利でどれだけ効いてくるか
・高コストのアクティブファンドより、低コストのインデックスファンドが有利になりやすい理由
・長期・分散・低コストという、インデックス投資の3本柱の意味


著者について

ジョン・C・ボーグル氏は、1970年代に世界初の個人向けインデックスファンドを世に出した投資家です。「バフェットが個人投資家に推奨する人物」としても知られ、その哲学は世界中の個人投資家に影響を与えています。


こんな方におすすめ

・NISAやiDeCoでインデックスファンドを積み立てている、または検討している
・いろいろな投資信託がありすぎて、何を基準に選べばいいか分からない
・「手数料0.数%の違いが、そんなに重要なの?」と思っている。

筆者ひコメント:「コストを意識するかどうか」で、将来の資産額が大きく変わることが実感できます。すでにインデックスファンドを積み立てている方にも、運用方針を再確認する意味でおすすめしたい一冊です。

 

おすすめ本⑤:改訂版 お金は寝かせて増やしなさい(水瀬ケンイチ著)

「億り人」実践者が語る日本版インデックス投資の歩き方

 

どんな本?

日本のインデックス投資ブロガー・水瀬ケンイチさんが、20年以上にわたる自分自身の積立投資の経験をまとめた本です。難しいテクニックではなく、シンプルな積立と放置で資産を増やす方法を、実体験ベースで教えてくれます。


この本で学べること

・金融ど素人からでも始められる、インデックス投資の基本的な考え方
・具体的な証券会社の選び方や、新NISA・iDeCoの活用方法
・暴落時にどう行動したか、20年の実践記としてのリアルな体験談


著者について

水瀬ケンイチさんは、サラリーマンとして働きながら、20年以上インデックス投資を続けてきた個人投資家です。自身のブログは「インデックス投資家のバイブル」とも言われており、その経験が本書に凝縮されています。


こんな方におすすめ

・日本の制度に即した「具体的なやり方」を知りたい
・新NISAやiDeCoをどう組み合わせればいいか迷っている
実際に長期投資を続けてきた人のリアルな体験談を読みたい

筆者コメント:海外の名著で理論を学びつつ、この本で「日本でどう実践するか」を補う。そんな読み方をオススメします。積立投資の“教科書兼実践記”として手元に置いておきたい一冊です。

 

まずは1冊、読みやすそうなものを選んで読んでみてください。

 

まとめ:本で基礎を固めると、「暴落時に売らない」理由が腑に落ちる

積立投資で最大の敵は、相場の暴落ではなく「不安になって売ってしまう自分」です。本でインデックス投資の理論的背景を学ぶことで、下落時に自分を説得できる軸が生まれます。

今回ご紹介した5冊は、どれも「長期・分散・低コスト・継続」という積立投資の王道を、それぞれの角度から教えてくれる本ばかりです。

気になる1冊からで構いませんので、ぜひ手に取り、自分なりの「投資の軸」をつくるきっかけにしていただけたらと思います。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

 

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小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

【FP本音解説】学資保険はもういらない?インフレ時代の教育費はこどもNISA/つみたてNISAで備えるべき理由

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

「子どもが生まれたら学資保険」そんな常識、見直してみませんか。

2025年の消費者物価指数は前年比3.1%上昇し、2022年以降4年連続で2%超のインフレが続いています。学費も例外ではなく、子育て世代の64.3%が「物価・学費の高騰による教育費不足」を不安視しているというデータもあります。

こんな時代に「受取金額が最初から決まっている」学資保険は、果たして最適な選択なのでしょうか。

この記事では、独立系FPである筆者が「学資保険を推奨しない理由」と、「教育費こそNISA系で準備すべき根拠」をお伝えします。

 

この記事のポイント
  - 学資保険とNISA系の「本質的な違い」
  - 学資保険のメリット・デメリット
  - こどもNISA・つみたてNISAが教育費に向いている理由
  - FPとして個人的にどちらを選ぶか


 

1. そもそも「学資保険」と「こどもNISA・つみたてNISA」は何が違う?

一言でいえば「保険 vs 投資」

学資保険は、子どもの進学タイミング(主に大学)に合わせて満期金を受け取る「貯蓄型保険」です。受取金額と受取時期が契約時点で確定しており、かつ親(契約者)に万が一のことがあった場合には、その後の保険料が免除される保障が付きます。

一方、こどもNISAは2027年から始まる予定の新制度で、0〜17歳の子ども名義で年60万円・累計600万円まで投資信託を非課税で運用できます。12歳未満は原則引き出しができないため、「教育費専用の積立口座」として機能します。

つみたてNISA(親の新NISA)は、今すぐ使える制度で、長期・積立・分散投資に適した投資信託を年120万円まで非課税で運用できます。

 

 

どちらが優れているか、ではありません。「求めているもの」が根本的に異なります。その上で、このインフレ時代にどちらが合理的かを、以下で丁寧に見ていきます。

 

2. 学資保険のメリットをまずはフェアに整理する

まずは学資保険が支持されてきた理由をきちんと見ておきましょう。

- メリット①:保険料払込免除特約  
  親(契約者)が死亡・高度障害になった場合、以降の保険料の支払いが免除され、満期保険金はそのまま受け取れます。これは投資では得られない「保障」です。

- メリット②:受取金額・時期が確定している
  大学入学時に「最低でも〇〇万円は確保できる」という安心感は、資金計画のしやすさにつながります。

- メリット③:生命保険料控除が使える
  支払った保険料の一部が所得税・住民税の控除対象になります(控除枠は限定的)。

- メリット④:自動的に積み立てられる仕組み  
  保険料が毎月自動引き落としになるため、「貯金が続かない」という方には強制貯蓄の仕組みとして機能します。

筆者コメント:これらは確かに一定の価値です。ただし、以降で述べる「本質的なデメリット」と比べたとき、特にインフレ時代においては、その強みが大きく霞んでしまいます。

 

3. 【FP本音】学資保険の構造的な弱点。インフレ・途中解約・利回り

学資保険にはメリットもある一方で、インフレ環境や今の時代の変化を踏まえると、見過ごしにくい構造的な弱点が3つあります。

デメリット① 「元本保証」は「名目上の」元本保証にすぎない

これが最も伝えたい点です。

学資保険は「元本が減らない」と言われますが、それはあくまで名目上の金額が保たれるだけ。お金の「価値」は物価によって変わります。

総務省の統計によると、2025年1年間の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年比3.1%上昇し、日銀の物価目標である2%を4年連続で上回りました
このインフレが今後も続くと仮定した場合、18年後に受け取る700万円の価値はどうなるでしょうか。

・統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)


【インフレによる"実質的な目減り"のイメージ】

  現在の700万円の購買力 ➡  年2%インフレが18年続くと…
  18年後に700万円を受け取っても、実質的な購買力は約490万円程度に相当
※一定の前提に基づく試算

「名目上は守られているが、価値は目減りしていた」
これが、インフレ時代における学資保険の最大のリスクです。

さらに、2026年時点の試算では、大学4年間の学費は国公立で約250〜270万円、私立文系で約400万円、私立理系で約550〜600万円程度とされています。

一人暮らしを伴う自宅外通学の場合、学費に生活費を加えると、総額は700〜1,300万円前後に達するケースもあります。

筆者コメント:近年、私立大学の授業料は10年前と比べて5〜10%上昇しており、学費自体のインフレも無視できません。「確定した金額」で準備することの危うさが、ここにあります。

出典:大学の学費はいくら?全国平均400万円【2026年最新・47都道府県比較】 | 暮らしコストラボ

デメリット② 途中解約すると"高確率"で元本割れ

学資保険は長期前提の商品設計のため、途中解約すると多くの場合、解約返戻金が払込保険料の総額を下回ります。

年数別  解約返戻率の目安(一般的な学資保険の例)
 加入3年後  返戻率50〜70%(大幅な元本割れ)
 加入7年後  返戻率80〜90%(元本割れ継続)
 加入10年後  返戻率90〜100%(ようやく元本に近づく)
 満  期   返戻率100〜120%前後(ここで初めて黒字)


教育プランは変わります。中学受験に切り替えた、高校卒業後に留学することになった、専門学校に進路変更した。そういったとき、学資保険は「解約すると大損」という足かせになります。

「入学金が必要になったが、今解約すると10万円以上損をする」という事態は、決して珍しくありません。

 

デメリット③ 利回りが低く、コストが見えにくい

最近では返戻率120%超の設計例も登場しています。しかし現実には払込方法・満期年齢・特約の有無などで数値が変わり、万人が120%を期待できるわけではありません。

また、0歳から15歳まで保険料を払い、18歳時点で払込総額の120%を受け取るケースを年利に直すと、おおよそ年1%台前半〜中盤程度の利回りになります(※商品設計により異なります)。

年間インフレ率2〜3%が続く中で年利1%ちょっとが達成されたとしても、実質利回りはほぼゼロか、マイナスの可能性が高いでしょう

さらに販売コスト・運営コスト・保険会社の利益はすべて保険料に含まれています。それが見えにくいだけで、確実に差し引かれているのです。

 

筆者コメント:学資保険の場合は、途中解約なら約10年間は元本割れです。つまり、10年間は損が確定しているとも言えます。非常に柔軟性が低い設計です。

 

4. 教育費とNISA系投資信託が相性の良い3つの理由

根拠① インフレとともに「資産価値を育てる」ことができる

株式を組み込んだ投資信託(インデックスファンドなど)は、経済成長や企業収益の拡大を通じて長期的に価値が増大する傾向があります。物価が上がれば企業の売上も増えるため、インフレに連動しやすい資産です。

学資保険が「円の額面」を固定するのに対し、NISA系は「経済全体の成長」に乗ることができます。これこそが、インフレ時代における最大の強みです。

 

根拠② 非課税・低コスト・完全な透明性

つみたて投資枠で購入できる金融庁が選定した投資信託は、信託報酬が年0.1〜0.2%台のものも多く、コストが明確かつ低水準です。

【学資保険 vs NISAのコスト比較イメージ】

・学資保険:  保険料の中に「保障コスト+運営費+販売費」が内包
  → コストが見えない

・NISAのインデックスファンド:  信託報酬(例):年0.1〜0.2%台
  → コストが明確・低い

さらに、NISAで得た運用益は非課税です。通常、投資信託の売却益や分配金には約20.315%の税金がかかりますが、NISAを通じて運用した分はゼロ。長期になるほど、この差は複利で膨らみます。

 

根拠③ 必要なときに柔軟に動かせる

親の新NISA(つみたて投資枠)は、必要なときにいつでも売却できます。急に私立高校への編入が決まったなどの、「想定外」に対して、学資保険では「解約損が怖くて動けない」状況が生まれますが、NISAではその縛りがありません。

こどもNISAであれば、12歳まで引き出し制限があるため、逆に「使い込み防止」の仕組みとして活用できます。12歳以降は条件付きで払い出しが可能になるため、高校・大学受験の費用として段階的に対応できます。

 

筆者コメント:私自身の価値観と家計設計の前提では、教育費準備の第一候補はNISA系の投資信託であり、学資保険を選ぶ必要性はそれほど高くないと考えています。

 

5. FPとして個人的にどう設計するか──本音の資産設計案

筆者は現在、子ども2人・妻との4人家族で暮らしています。自分の子どもたちの教育費については、次のような考え方で設計しています(あくまで個人の見解です)。

ステップ①:親のつみたてNISA(新NISA)を最優先で活用

まず親のNISAつみたて投資枠(年120万円)を優先しています。教育費と老後資金の土台を同時に育てられ、必要なときに売却もできる柔軟性があるからです。

選ぶファンドは「全世界株式インデックスファンド」など、低コストで分散の効いた商品が原則です。インフレに連動しやすく、長期・積立・分散の三拍子が揃います。


ステップ②:2027年以降はこどもNISAを「教育費専用ポケット」として追加

こどもNISAは12歳まで引き出せない制約が「教育費のための強制積立」として機能します。親のNISAとは別に、子ども1人あたり年60万円・累計600万円の非課税枠を持てるため、世帯全体の非課税投資枠を大きく拡大できます。


ステップ③:学資保険は「どうしても必要な人」だけのサブ選択肢

筆者個人は学資保険を積極的には推奨しません。ただ、以下の条件を複数満たす方には一定の役割があると認めています。

- 投資の値動きに強いストレスを感じ、酷く不安になる方
- 「とにかく1円も元本を減らしたくない」という強い志向がある方
- どうしても自分では積立が続かず、「強制的な仕組み」が必要な方

それ以外の方にとって、学資保険は「低金利環境で、定額で教育資金を積み立てることを主眼に設計されてきた商品であり、年2~3%超のインフレが続く現代においては、教育資金の準備手段として合理的とは言いがたいというのが、筆者の立場です。

 

1円も元本を減らしたくない人には、個人向け国債(変動10年)が選択肢の一つ

「どうしても元本割れだけは絶対イヤ」という方には、個人向け国債(変動10年)の方が有力な選択肢となり得ます。個人向け国債変動10年は、国が元本と利払いを保証する債券で、市場金利に応じて半年ごとに金利が見直されるのが特徴です。

ただし、インフレによる実質価値の目減りや途中換金時の制約などを理解した上で選択してください。

こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

daily-luxlife.com

 

まとめ:「元本保証」より「価値を守ること」を優先する時代

学資保険は、かつての時代には合理的な選択でした。しかし、年2%を超えるインフレが続くいま、「名目金額を守る」ことよりも「お金の価値を守る」ことの方が重要になっています。

- 私立大学の学費は10年で5〜10%上昇している
- 消費者物価指数は2022年以降4年連続で2%超の上昇

これらを踏まえると、「確定利回りで名目金額を守る学資保険」よりも、「経済成長に乗りながら価値を育てるNISA系の投資信託」が、インフレ時代の教育費準備に合理的なアプローチだと筆者は考えます。

もちろん、「元本割れが本当に怖い」「投資のストレスに耐えられない」という方のすべてを否定するつもりはありません。大切なのは、選択肢の実態を正確に理解した上で選ぶこと。その一助になれば幸いです。

 

※本記事は筆者の個人的見解に基づくものです。投資信託は元本が保証されておらず、価格変動リスクがあります。商品の選択・購入にあたっては、各自の状況に合わせてご判断ください

 

参考リンク

・統計局ホームページ/消費者物価指数(CPI) 全国(最新の月次結果の概要)

・大学の学費はいくら?全国平均400万円【2026年最新・47都道府県比較】 | 暮らしコストラボ

NISA特設ウェブサイト:金融庁

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小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

住宅ローンを学ぶおすすめ本6選|金利上昇時代の変動か固定か・損しない借り方・節税がわかる入門書【初心者向け】

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

住宅ローンは、多くの人にとって人生最大の金融判断です。

変動か固定か、借入額はいくらが適正か…。金利上昇局面のいま、住宅ローンの判断に不安を感じる方も多いはずです。本記事では、独立系FPが2020年以降の住宅ローン本から6冊を厳選し、『自分で判断できる力』を身につけるための入門書をご紹介します。

 

 

この6冊を選んだ基準

今回ご紹介する本は、次のポイントを満たすものを中心に選んでいます。

ポイント
・2020年以降に刊行され、金利上昇局面をふまえた内容である
・変動金利と固定金利の違いを、データやシミュレーションで解説している
・繰り上げ返済・借り換え・団信までカバーしている
・住宅ローン控除など税制にも触れている

 

どれか1冊だけでも学びになりますが、組み合わせて読むことで「住宅ローンの判断力」が一段と高まります。

【FP視点】住宅ローン本を読む前に知っておくべき3つの前提

住宅ローンの本を読む際に、あらかじめ押さえておくべき重要なポイントがあります。

金利の将来は予測できない(過去データはあくまで参考)
「変動が得」「固定が安全」は状況によって変わる
・最適解は「金利」ではない

たとえば、同じ年収でも「教育費が重なる家庭」と「余裕資金が多い家庭」では、取るべき金利戦略は変わります。複数読むことで“自分なりの軸”を作ることができると思います。


6冊の一覧

①    金利が上がっても、住宅ローンは「変動」で借りなさい
難易度★★☆    変動vs固定をデータで比較。新時代の金利・投資リテラシー本。

②    住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本
難易度★★☆    営業マンや銀行に言いくるめられないための実践ノウハウ。

③    図解 住宅ローンのしくみと新常識
難易度★☆☆    図解でしくみから学べる、超基本の入門書。

④    住宅ローンを賢く借りて無理なく返す32の方法
難易度★★☆    返済戦略・繰り上げ返済を具体的な「32の方法」で解説。

⑤    住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本    
難易度★★☆   住宅ローン控除や税金に特化した1冊。

⑥    60分でわかる!住宅ローン 超入門    
難易度★☆☆    1時間で全体像を押さえるための最初の1冊。

筆者としては、③~⑥の中からどれか一冊。そのあと、①と②を読むことをお勧めします。

 

おすすめ本①:金利が上がっても、住宅ローンは「変動」で借りなさい

著者:塩澤 崇

 変動金利が有利であることを論理的に解説した一冊


どんな内容の本か

日本最大級の住宅ローン比較サービス「モゲチェック」を運営する著者が、「なぜ金利が上がっても変動が有利なのか」をデータとシミュレーションで解説した一冊です。

ローンと投資を組み合わせた戦略的な考え方や、「一番お得な借り方・返し方」「金利の仕組みと将来の見通し」「金利が上がっても変動が有利と言える理由」が順を追って説明されます。

マイナス金利解除後の世界を前提にした実例が多く、2026年の金利上昇局面と非常に相性が良い内容です。


この本で学べること

・固定金利と変動金利の違いを「感覚」ではなく「数字」で理解できる
変動金利が固定を上回るには「何回・どれくらい」利上げが必要かという具体的なシミュレーション
・ローンと資産運用を組み合わせて、トータルで家計をプラスにする考え方
・借り換えや繰り上げ返済をどう判断するかの基本的な戦略


著者プロフィール

塩澤 崇さんは、モルガン・スタンレー証券で住宅ローンの証券化ビジネスを推進したのち、住宅ローンサイト「モゲチェック」を運営している住宅ローンのプロです。金融機関側と一般ユーザー側の双方の視点を持つ、数少ない専門家といえます。


こんな人におすすめ

・変動か固定かで悩んでいる人
・「金利が上がったら破綻するのでは」と不安で、根拠をもって判断したい人
・変動で借りているが、このままでいいのか確認したい人
・住宅ローンと資産運用を一体で考えたい人

筆者から一言:変動推しの本ですが、「なんとなく変動が得」というノリではなく、具体的な数字と条件を提示してくれるのが大きな価値です。「変動を選ぶなら、ここまで理解しておこう」というラインを示してくれる、金利上昇時代の必読書と言えます。

※ローンと資産運用を組み合わせる場合は、運用の損失リスクも踏まえて慎重に判断する必要があります。本書や本記事の内容は、特定の運用成果を保証するものではありません。

 

おすすめ本②:住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本


著者:千日 太郎


どんな内容の本か
人気ブログ「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」で知られる著者が、住宅ローンで損しないための「取扱説明書」として書いた実践書です。

第1章では「営業マンに『住宅ローンをどうしたらいい?』と聞いてはいけない」という強いメッセージから始まり、プロ側の論理と利用者側の論理の違いをわかりやすく示してくれます。

続く章では、シミュレーションのポイント、金利がどう決まるのか、年齢と年収ごとのリスク、共働き夫婦のローンの注意点など、相談現場でよくある「どっちが得か?」に丁寧に答えています。


この本で学べること

・営業マンや銀行担当者の言葉を「鵜呑みにしない」ための視点
シミュレーションをするときに最低限押さえるべき前提条件
・金利の決まり方と、情報の読み方
・年齢・年収・家族構成によって変わる、適正な借入額とリスクの考え方
共働き夫婦の住宅ローンで陥りがちな落とし穴と対策


著者プロフィール

千日 太郎さんは、公認会計士としての専門性を活かしつつ、個人向けに住宅ローンや家計の相談にのっている実務家です。ブログや書籍では、「数字に強い一般の相談相手」というポジションで人気を集めています。


こんな人におすすめ

・これから住宅ローンを組むが、「何から考えればいいかわからない」人
・営業マンや銀行に勧められるまま契約してしまいそうで不安な人
・共働き世帯で、ペアローンや収入合算を検討している人
・借り換えも視野に入れて、損をしない戦略を整理したい人

筆者から一言:「営業さんにはこう言われたけれど、本当に大丈夫か?」という質問は多いです。この本は、そうした不安を「自分で検証するための物差し」を与えてくれる一冊で、住宅ローンのセカンドオピニオンとして読むのに最適だと感じます。

 

おすすめ本③:知りたいことがよくわかる!図解 住宅ローンのしくみと新常識


著者:菅原 隆行

どんな内容の本か
本書は、住宅ローンや住宅購入の基礎知識を、図解を中心にわかりやすく解説した入門書です。右ページに説明文、左ページに図解という構成で、専門用語をなるべく避けながら、住宅取得のステップに沿って内容が進んでいきます。

制度・法改正、ライフプラン、住宅の取得、住宅ローンの基礎知識、借り方、返し方、税金、返せなくなったときの対処までを網羅しています。


この本で学べること
・「住宅ローンとはそもそも何か」という基礎
・住宅購入の流れと、どのタイミングで何を決めるのか
・ローンの種類・金利タイプ・団信などの基本
・返せなくなった場合の選択肢


著者プロフィール
菅原 隆行さんは、住宅金融や不動産に関する実務に精通した専門家で、初心者向けに噛み砕いた解説に定評があります。図解本や入門書を多数手がけており、「最初の一冊」として読みやすい構成になっています。


こんな人におすすめ

・住宅ローン、住宅購入そのものが初めての人
・文字は苦手で、図やイラストで理解したい人
・家族と一緒に、住宅ローンの基本を共有したい人
・最低限のしくみは知っておきたい人

筆者から一言:金融や不動産に苦手意識がある方には、まずこの本のような図解タイプで「全体の地図」を手に入れるのが一番スムーズです。後から専門的な本を読むときの理解度が大きく変わるので、基礎固めとしてとても優秀な1冊だと感じます。

 

おすすめ本④:住宅ローンを賢く借りて無理なく返す32の方法


著者:淡河 範明


どんな内容の本か
タイトル通り、「賢く借りて無理なく返す」という視点から、具体的な32の方法を紹介している実践型のノウハウ本です。

借りる前の準備、借りるときの選び方、リスクに備えるための工夫など、1つ1つチェックリスト感覚で読み進められる構成になっています。


この本で学べること

・賢く借りて無理なく返す7ステップ
・返済が楽になる6つのテクニック
・住宅ローンの全体像


著者プロフィール
淡河 範明さんは、住宅ローンに関する実務経験が豊富な専門家で、一般の生活者に向けた実践的なアドバイスを多数発信しています。机上の理論だけでなく、「現場で何が起きているか」に根ざした記述が多いのが特徴です。


こんな人におすすめ
・すでに住宅ローンを組んでいて、「返し方」を見直したい人
・今の返済計画が将来の家計にどんな影響を与えるか知りたい人
・「ローン破綻」という言葉に不安を感じている人

筆者から一言:本書では「予算が決まってから家を見に行くこと」を推奨しています。「予算の見当をつけるために展示場に行くのでは?」と思うかもしれませんが、そこが歯車の狂い始めに。

 

おすすめ本⑤:住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本


著者:西澤 京子・菊地 則夫


どんな内容の本か
本書は、住宅ローンとマイホームに関わる税金をテーマにした書のひとつです。

住宅ローン控除はもちろん、贈与税(親からの援助)、登録免許税・不動産取得税・固定資産税、将来売却するときの譲渡所得税など、マイホームに関わる税金を体系的に解説しています。

「税金」というと難しく感じますが、図や具体例を交えながら、申告の流れや注意点も含めて丁寧に説明されている点が特徴です。

この本で学べること
・マイホーム・住宅ローン関連の基礎知識
・自分にあう資金計画の探し方
・親から頭金の援助を受けるときの贈与税の考え方
・住宅購入時にかかる各種税金と、その軽減措置


著者プロフィール
西澤 京子さん・菊地 則夫さんはいずれも税理士として、個人の資産税や相続・贈与などの分野に精通した専門家です。実務でよくある相談事例をベースに、「どこでつまずきやすいか」を意識した構成になっています。

こんな人におすすめ
・マイホーム・住宅ローン関連の基礎知識を学びたい人
・返済方法についてパターン別に検討したい人
・親からの援助や相続も含めて、税金面について学びたい人

筆者から一言:税金は制度変更も多く、ネット情報だけでは誤解も生まれやすい分野なので、こうした専門書で一度しっかり整理しておく価値は非常に大きいと感じます。

 

おすすめ本⑥:60分でわかる!住宅ローン 超入門


著者:松田 聡子


どんな内容の本か

「60分でわかる!」シリーズとして、住宅ローンの全体像を短時間でつかめるよう構成された入門書です。

難しい数式や専門用語はできるだけ避け、イラストや図を交えながら、「借りる前に考えること」「ローンの基本」「金利タイプの違い」「返済計画の立て方」といったポイントをコンパクトにまとめています。

忙しい共働き世帯や、「とりあえず概要だけ先に押さえておきたい」という人にとって、最初の一冊としてちょうど良いボリューム感です。


この本で学べること
・住宅ローンの基礎知識(金利のしくみ、住宅ローンの種類、減税制度など)
・金利タイプごとのメリット・デメリット
・家計全体から見た「無理のない返済額」の考え方
・完済するためにすべきこと


著者プロフィール
松田 聡子さんは、一般向けのマネー入門書を多く手がけるファイナンシャルプランナーで、「やさしい言葉で伝える」スタイルに定評があります。初心者のつまずきやすいポイントを押さえた構成で、金融が苦手な人でも読み進めやすい内容です。


こんな人におすすめ
・住宅ローンについて、まずは「ざっくり全体像」を知りたい人
・他の本は分厚くて読み切れる自信がない人
・忙しくて読書時間を取りにくい共働き世帯の人

筆者から一言:最初から難しい本に挑戦して挫折してしまうくらいなら、この入門書で60分だけ集中して読み切るほうが、結果として理解が深まります。そのうえで、興味が湧いたテーマについて専門性の高い本へステップアップしていくのが効率的です。


まとめ|本で基礎を固めると、住宅ローンの「交渉力」が変わる

住宅ローンは、「なんとなく」で決めると数百万円単位の差が生じる可能性のある金融商品です。

一方で、基本的な仕組みと判断軸を理解していれば、銀行や営業担当者の提案を鵜呑みにせず、自分の意思で選択できるようになります

・変動か固定か
・借入額はいくらが適正か
・繰り上げ返済は必要か
・税制優遇をどう活用するか

これらはすべて、「知っているかどうか」で結果が変わります。

まずは1冊、自分に合った本から読み始めてみてください。その一歩が、数十年にわたる家計の安定につながります。

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品・ローン契約を推奨・勧誘するものではありません。具体的な契約判断は、各ご家庭の状況を踏まえ、金融機関・専門家への確認を行ったうえで、ご自身の責任において行ってください。

 

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小林良(こばやしFP事務所)

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小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
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【2026年5月】個人向け国債の金利をFPが解説|変動10年・固定5年・固定3年を月次チェック

本記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

2026年5月募集分の個人向け国債の条件が発表されました。前月より3種類すべてで金利が上昇し、「そろそろ真剣に検討してみようかな」と感じる水準になりつつあります。

財務省:個人向け国債(変動10年・第194回他)の発行条件等

金利が動きやすい今の環境では、毎月の変化を追いかけていくことも大切です。

今回は資産運用歴20年超の独立系FPが、2026年5月の金利水準と3つのタイプの特徴をまとめましたので、投資初心者の方に向けて分かりやすく解説いたします。個人向け国債の金利は、今後も月イチで定点観測していきます。

 

この記事のポイント
・2026年5月募集分の個人向け国債・最新金利
・変動10年・固定5年・固定3年の違い(超シンプル版)
・初心者向けのタイプ別選び方
・元公務員FPのひと言レビュー

2026年5月募集分の基本データ【まずここだけ】

財務省より、個人向け国債(2026年5月募集分)の発行条件が発表されました。

募集期間:2026年5月14日(木)〜5月29日(金)
発行日:2026年6月15日(月)
購入単位:1万円から1万円単位
購入手数料:無料

2026年5月の金利早見表

種類 回号 金利
(税引前・年率)
前月比 満期
変動10年 第194回債 1.67% +0.12% 10年
固定5年 第182回債 1.89% +0.10% 5年
固定3年 第192回債 1.57% +0.06% 3年

出典:財務省「現在募集中の個人向け国債」

3種類すべてで前月(2026年4月)より金利が上昇しています。3本とも金利が前月を上回ったのは、日銀の金融政策の修正を背景にした長期金利の上昇が続いているためです。

かつては預金金利とも大差ない水準でしたが、非常に面白味のある金利になってきたのではと感じています。

 

そもそも個人向け国債ってなに?

個人向け国債は、日本国政府が個人向けに発行する債券です。元本と利子の支払いは国が保証しており、株式や投資信託とは異なり元本割れのリスクが原則ありません。

・1万円から購入できる(1万円単位)
・手数料は無料(購入時・償還時ともに)
・最低金利0.05%が保証されているため、利子がゼロになることはない
・毎月発行されており、1年に12回購入チャンスがある

2026年5月時点では、多くの大手銀行の定期預金(金利0.数%台)と比べても、個人向け国債の金利は一段高い水準になっています。

⚠️ 注意点:発行後1年間は中途換金ができません。急に必要になるかもしれないお金には向きません。

 

3タイプのざっくり特徴

個人向け国債には3種類あります。

【2026年5月】個人向け国債 3種類の特徴

性格比較表

どのタイプを選ぶかは、「いつ使うお金か」で考えるのが一番シンプルです。
ざっくりとした“性格”を表にまとめると、次のようになります。

種類 金利 満期 こんな人向け
変動10年 半年ごとに変わる 10年 将来の金利上昇も取り込みたい人
固定5年 購入時に固定(5年間変わらない) 5年 今の水準を5年ロックしたい人
固定3年 購入時に固定(3年間変わらない) 3年 まず短めで試してみたい人

 

変動10年(金利が半年ごとに変わるタイプ)

半年ごとに金利が見直されるため、今後さらに金利が上がれば受け取る利子も増えていくという特徴があります。今回の初回適用金利は1.67%です。

一方で、市場金利が下がれば受け取る利子も下がります。ただし、いかなる状況でも最低0.05%は保証されています。

仕組みや詳しい活用法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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固定5年(今回3種類の中で最も金利が高い)

購入時の金利1.89%が5年間ずっと変わりません。「いまの利率をそのまま確定させてしまいたい」という方に向いています。

たとえば5年後に大きな旅行を計画している、子どもの進学費用を準備したい、といった具体的な目標がある方にもフィットしやすいタイプです。市場金利が下がっても、自分の金利はそのまま維持されます。

 

固定3年(まず試してみたい人の入口)

金利1.57%が3年間固定されます。5年よりも短い期間で、「まずはお試し」として使いやすいタイプです。

「ボーナスの一部だけ」「使い道が3年後には決まっている資金」など、無理なく始めやすい選択肢です。5年より利率は低いですが、期間が短い分だけ柔軟に動かせます。

 

金利はどのくらい上がってきた?過去2年の推移

個人向け国債の金利は、2024年以降に大きく上昇しています。かつての「ほぼ0%の商品」とは性質が変わってきています。

金利推移の主要ポイント

発行月 変動10年 固定5年 固定3年
2024年1月 0.46% 0.25% 0.05%
2024年6月 0.57% 0.45% 0.29%
2025年1月 0.71% 0.71% 0.60%
2025年7月 1.00% 1.00% 0.79%
2026年1月 1.23% 1.35% 1.10%
2026年6月(今回) 1.67% 1.89% 1.57%

 

この背景には、日本銀行の政策修正(マイナス金利解除)と長期金利の上昇があります。個人向け国債は、毎月募集ごとに金利が更新されるため、買うタイミングそのものがリターンに影響する商品です。

100万円を預けると、いくらになる?ざっくりイメージ

固定5年・固定3年は「金利が変わらない」と仮定して、変動10年は「初回金利が続いた場合」の目安として試算します(税引前・概算)。

 

種類 金利
(税引前)
年間利子
(税引前・100万円の場合)
目安期間
変動10年 1.67% 約16,700円 /年 10年
固定5年 1.89% 約18,900円 /年 5年
固定3年 1.57% 約15,700円 /年 3年

 

ポイント:利子は半年ごとに受け取る仕組みで、その都度20.315%の税金(所得税・復興特別所得税・住民税)が差し引かれます。上の表は税引前の概算なので、実際の手取りはやや少なくなります。

 

中途換金はできる?注意点をチェック

個人向け国債は、発行から1年経過すれば中途換金が可能です。ただし換金時には、以下のようなペナルティが発生します。

中途換金調整額の計算式(発行後1年以上の場合)

受取金額 = 額面金額+経過利子相当額 - 直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685

わかりやすく言うと、「直近の利子2回分相当を返してから換金する」イメージです。ただし、受け取った利子以上のペナルティにはならないため、元本割れにはなりません

 

中途換金調整額の詳細なシミュレーションは財務省の公式サイトでも確認できますので、ぜひご覧ください。

参考:個人向け国債お試しシミュレーション

 

どのタイプを選ぶ?かんたん判断フロー

目的と期間から考えると選びやすいと思います。

・3年後に使う予定がある資金 → 固定3年(期間が短く、柔軟)
・3〜5年は使わないと決められる資金 → 固定5年(今回1.89%で今の水準を固定)
・長期・10年スパンで将来の金利上昇も取り込みたい → 変動10年

※「このフロー図では、『3年以内に使う予定がある』=『3年ぐらい先に使う用途が見えているお金』というイメージで使っています。1年以内に使う可能性が高いお金は、そもそも個人向け国債ではなく普通預金などで持っておくのが基本です。

 

💡 元公務員FPのひと言:「生活防衛資金(生活費の3〜6か月分)は普通預金に残しておく、それ以外に当面使わないと決めたお金から検討を始める」のが基本の考え方です。旅行や将来の積立に、個人向け国債を1本加えてみるのも選択肢の一つです。預金や投資信託など、他の手段と比較しながら自分に合う方法を検討してみてください。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

2026年5月 FP視点の筆者ひと言レビュー

今月(2026年5月募集分)は、3種類すべてで前月比プラスという結果でした。特に固定5年の1.89%は、「今のうちに利率を固定したい」という方にとって意識しておく水準です。

筆者は、今後もある程度のインフレが続き、日本の長期金利も中長期的にはじわじわ上がる可能性が高いと見ているため、自分のお金であれば、変動型を検討すると思います。ただし、年齢・家計状況・リスク許容度によって最適解は人それぞれで、固定5年・固定3年が合うケースも多くあります。

とはいえ、金利や物価の先行きには不確実性も大きく、「これが絶対の正解」という商品はありません。あくまでご自身の資金用途と期間に合うタイプを選ぶことが、失敗しにくい基本の考え方です。

 

どこで買える?

個人向け国債は、銀行・証券会社・ゆうちょ銀行・ネット証券など、全国の多くの金融機関で購入できます。

購入時・償還時ともに手数料はかかりませんので、まずはすでに口座をお持ちの金融機関で取り扱いを確認してみてください。

<公式情報はこちら>

財務省「現在募集中の個人向け国債」

財務省「個人向け国債 商品概要」

 

自分軸で判断できるようになることがゴール

このブログでは、毎月「今月の金利」「前月からの変化」「筆者のひと言レビュー」をお届けします。

金利が上がっても・下がっても、毎月コツコツと情報を確認し、自分軸で判断できるようになることが、このシリーズのゴールです。

来月(2026年6月募集分)は2026年6月4日〜6月30日に募集開始予定です。次回も一緒に確認しましょう。

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

 

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こどもNISAで何を買えばいい?投資初心者でも失敗しない投資信託の選び方【FP解説】

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。


この記事でわかること

 - こどもNISAで購入できる商品の種類
 - 投資信託を選ぶ3つのポイント
 - FPが厳選したおすすめ商品3本の特徴と向いている人
 - オルカンとS&P500、どっちを選ぶべきか
 - 子どもの年齢別・積立の考え方
 - 月いくら積み立てればいいか(シミュレーションつき)

 

前回の記事では、こどもNISAの制度の概要をお伝えしました。

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今回はその続編です。「制度はわかった。でも、実際に何を買えばいいの?」という疑問を持った方のために、投資歴20年超のFPが投資信託の選び方をわかりやすく解説します。


結論から先にお伝えします。

投資初心者の場合、低コストで分散性の高い全世界株式インデックスファンド(例:eMAXIS Slim 全世界株式)を候補の一つとして検討する方法があります。

その理由を、これから順を追って説明していきます。

 

 

こどもNISAで買える商品は?まず全体像を整理しよう

「つみたて投資枠」の対象商品のみ

こどもNISAで購入できるのは、「つみたて投資枠」の対象商品のみです。個別株や通常の投資信託は購入できません。

つみたて投資枠の対象商品とは、金融庁が「長期・積立・分散投資に適切である」と認定した投資信託・ETFです。つまり国が「これは長期投資に向いている商品ですよ」とお墨付きを与えた商品だけが対象になります。

<参考>つみたて投資枠対象商品 : 金融庁

 

こどもNISAで買えるもの・買えないもの

商品の種類 こどもNISAで買える?
つみたて投資枠対象の投資信託 ✅ 購入できる
つみたて投資枠対象のETF ✅ 購入できる
個別株(国内・海外) ❌ 購入できない
つみたて投資枠対象外の投資信託 ❌ 購入できない
FX・仮想通貨・金 ❌ 購入できない

 

FPのコメント:購入商品が限定されるのは、初心者には逆にメリットでもあります。こどもNISAは最初から「長期投資向きの商品」に絞られているので、選択肢が多すぎて失敗するリスクが低いのです。

 

投資信託の種類をざっくり理解しよう

商品を選ぶ前に、投資信託には大きく3つの種類があることを知っておきましょう。

種類 特徴 こどもNISAとの相性
インデックス型 市場全体に連動・低コスト・長期向き ◎ 最適
アクティブ型 プロが銘柄を選び運用・コスト高め △ やや慎重に
バランス型 株・債券など複数の資産に分散 〇 年齢・目的次第

 

こどもNISAのような長期の積立投資には、インデックス型が基本です。その理由は後ほど詳しく解説します。

 

投資信託を選ぶ3つのポイント

投資信託を選ぶ3つのポイント

① コスト(信託報酬)が低いものを選ぶ

信託報酬とは、投資信託を保有している間、毎年かかる管理コストのこと。年率で表示され、自動的に基準価額から差し引かれます。

たとえば年率0.5%と0.1%のファンドでは、20年後に数十万円以上の差が生まれることがあります。

目安:年率0.2%以下を選びましょう。

人気のインデックスファンドの中には、信託報酬が年率0.05〜0.1%台のものも多くあります。

投資の世界においては、低コストこそが、長期的にリターンに影響しやすい要素の一つです

② 純資産総額が大きいものを選ぶ

純資産総額とは、そのファンドに集まっているお金の総額です。純資産が大きいファンドには、次のようなメリットがあります。

- 多くの投資家に選ばれている=信頼の証
- 繰上償還(早期終了)のリスクが低い
- 運用コストが安定しやすい

目安:純資産総額1,000億円以上のファンドが安心。


③ 広く分散されたファンドを選ぶ

「分散投資」とは、1つの国や企業に集中せず、複数に分けて投資することです。

「卵を1つのかごに盛るな」というのは投資の格言。もし1つのかごを落としても、他のかごの卵は無事です。

たとえば全世界の株式に分散するファンドを選べば、ある特定の国の経済が悪化しても、他の国の成長でカバーできる可能性があります。

 

投資歴20年超のFP厳選!おすすめ投資信託3選

⚠️ 免責事項:以下はあくまでも一般的な情報提供であり、特定の商品の購入を勧めるものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください

1.eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

通称「オルカン」。迷ったら、まずこの1本を候補にして比較してみるのもあり

特徴
- 日本を含む先進国・新興国、約50か国の株式に分散投資
- 信託報酬:年率0.05775%(業界最低水準クラス)
- 純資産総額:約11兆2,000億円(2026年5月時点)
- 設定来リターン:+221.76%(2026年5月時点)


こんな人に向いている

- 投資初心者でとにかくシンプルに始めたい人
- 子どもがまだ小さく、長い期間(10年以上)運用できる人
- 迷ったら「これ1本」と割り切りたい人

FPのコメント:なぜオルカンが「まずこれ」と言われるのか?
世界中の株式に1本で分散できるため、「この国が伸びる・この国が下がる」を予測しなくて済みます。投資の世界でも「将来どの国が伸びるかは誰にもわからない」というのが大前提。だからこそ、最初から全世界に分散しておくのが合理的な選択です。

emaxis.am.mufg.jp

2.eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

米国経済の成長を信じて長期保有できる人向け。

特徴
- 米国の主要企業500社に投資(Apple、Microsoft、NVIDIA、Amazon、Googleなど)
- 信託報酬:年率0.0814%
- 純資産総額:約11兆4,800億円(2026年5月時点)
- 純資産総額が1兆円を超えてから約1年半で10兆円を突破


こんな人に向いている

- 米国株の長期的な成長を信じている人
- 「世界の主力企業に投資したい」という人
- 多少の集中リスクを取って、リターンを狙いたい人

 

FPのコメント:注意点は米国集中リスク
S&P500は米国の企業のみへの投資です。米国経済が長期低迷するシナリオでは、オルカンより大きく下がる可能性があります。「分散」という観点では、オルカンより劣ります。

emaxis.am.mufg.jp

 

3.ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)

「株式が怖い」「もう少し安定したい」という人のための選択肢。

特徴
- 国内株式・先進国株式・国内債券・先進国債券を各25%ずつ保有
- 信託報酬:年率0.154%
- 定期的に自動リバランス(4資産の比率を自動で25%ずつに調整)


こんな人に向いている

- 「株式100%は怖い」と感じる慎重な方
- 子どもがすでに小学校高学年〜中学生で、大学入試まで残り少ない方
- 「暴落したらどうしよう」という不安が強い方

FPのコメント:安定運用が期待できますが、債券が半分を占めるため、長期的な期待リターンは株式100%のファンドより低めになります。ちなみに、皆さんの年金を運用しているGPIFは、この4資産均等方式で運用しています。

<参考>GPIFのご紹介|年金積立金管理運用独立行政法人

www.nam.co.jp

3商品の比較まとめ

  オルカン S&P500 4資産均等型
投資対象 全世界株式 米国株式 株式+債券
信託報酬(年率) 0.06% 0.08% 0.15%
リスク水準 中〜高 中〜高 中(債券が安定)
長期リターン期待 高い 高い 控えめ
おすすめ年齢 0〜11歳 0〜11歳 12〜17歳にも
一言で言うと 迷ったらこれ 米国集中投資 安定重視

 

せっかくなら日本株を重視したいという方なら

・eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)もオススメです。
 日本、先進国、新興国が3分の1ずつ均等に組み込まれています。オルカンは日本比率が約5%に対し、こちらは33.3%と高いので、日本株を推したい人に向いています。

eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型) | eMAXIS(イーマクシス)

 

オルカンとS&P500、どっちを選べばいい?

この2つはよく比較されますが、実はどちらも「正解」です。大切なのはどちらが優れているかではなく、「続けられるかどうか」です。

共通点
- どちらも低コストのインデックスファンド
- どちらも長期積立に適している
- 実は中身の約60〜65%が重複している(どちらも米国株の比率が高い)

違い

  オルカン S&P500
分散範囲 全世界(日本含む50か国以上) 米国のみ
米国株の比率 約60〜65% 100%
米国が不振の場合 他の国がカバーできる可能性 直撃を受ける
長期リターン
(過去実績)
S&P500よりは低め やや高め
(ただし変動あり)


FPの結論:FPとしての一つの考え方としては、迷ったらオルカンを第一候補に検討するのも有力な選択肢です。

こどもNISAは最長18年という長い時間があります。その間に「米国vs全世界、どっちが得か」を正確に予測できる人はいません。だからこそ最初から全世界に広く分散するオルカンが、投資初心者には最もシンプルで合理的な選択です。

 

子どもの年齢別・積立の考え方

長期投資では「運用期間の長さ」がとても重要です。残り運用期間が長いほど、一時的な暴落からも回復できる可能性が高くなります。

重要:こどもNISAは18歳で自動的にNISAに移行される

こどもNISAの資産は18歳になると、自動的に大人のNISA(つみたて投資枠)に移行される予定です。※現時点で公表されている情報に基づく筆者の理解であり、最終的な制度設計は今後の税制改正・政令で確定します。今後の税制改正・政令により変更の可能性もあるため、正式決定後に必ず最新情報を確認してください。

これは非常に重要なポイントです。「大学入学資金として使う」のでなければ、18歳で慌てて売却する必要はありません。そのまま成人NISAとして非課税で運用を続けることができます。

FPのコメント:「子どもの大学資金として使うのか」「子どもへの資産形成として続けるのか」によって、出口戦略が変わります。目的を明確にしてから運用スタイルを考えましょう。

 

月いくら積み立てればいい?現実的な金額の考え方

まず「無理のない金額」から始めることが大切

積立投資でもっとも大切なのは「続けること」です。高いリターンを狙って無理な金額を積み立てて途中でやめてしまうより、少額でも長く続ける方が効果的です。

 たとえば「児童手当」をそのままこどもNISAへ

2024年10月の改正で、児童手当は所得制限が撤廃され、支給対象が高校生年代まで延長されました。

年齢 支給額(第1子・第2子)
0〜2歳 月15,000円
3歳〜高校生年代 月10,000円

児童手当をそのままこどもNISAに回すというのが、手軽な第一歩として多くの方に支持されています。「もともと使っていなかったお金」として心理的ハードルが低いのが特徴です。

出典:政府広報オンライン 児童手当が大幅拡充!対象となるかたは必ず申請を

https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/jidoteate/

積立シミュレーション(年率5%想定)

⚠️ 以下のシミュレーションは年率5%の運用が続いた場合の仮定の計算です。実際の運用成果を保証するものではなく、元本割れが生じる可能性もあります。

たとえば月5,000円(児童手当の一部を回す場合)

積立期間 元本 運用後の想定額 うち利益
10年後 600,000円 776,411円 +176,411円
15年後 900,000円 1,336,445円 +436,445円
18年後(誕生から満期) 1,080,000円 1,746,010円 +666,010円

ポイント:月5,000円を18年間積み立てると、元本108万円が約175万円(想定)に。利益はすべて非課税です。これがこどもNISAの最大のメリットです。

 

よくある質問(FAQ)

 Q. 投資信託は一度選んだらずっと同じ商品でいいですか?

基本的にはそのままで問題ありません。基本的には、そのまま保有し続けることが長期投資の王道です。ただし、年に1回程度、ライフプランと照らし合わせて見直すと安心です。

Q. 積立金額は途中で変更できますか?

はい、変更できます。家計が苦しくなったときは減額、余裕ができたときは増額するなど、柔軟に対応可能です。

 Q. 学資保険との違いは?どちらがいい?

学資保険は「確実に受け取れる」安心感が魅力ですが、元本割れしない代わりに利回りは低め(0〜1%台)です。こどもNISAは元本割れのリスクがある一方、長期では学資保険を上回るリターンが期待できます。

 

FPの考え方のひとつとして:確実に使うお金は学資保険や定期預金で守り、15〜18年後も使わない可能性があるお金はこどもNISAで育てる、という2本立ては、FPである筆者がよく用いる考え方のひとつです。

 

まとめ:こどもNISAの投資信託選び3行まとめ

1. 商品は「インデックスファンド」が有力。低コスト・広分散を最優先に選ぶ
2. 迷ったら「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)」1本でもいい
3. 金額は無理のない範囲から。児童手当をそのま回すのが始めやすい

投資は「完璧な商品を選ぶゲーム」ではなく、「長く続けるゲーム」です。まずは1本選んで、少額からでも始めてみることが、何よりも大切です。

本記事の主な参考文献・出典

※本記事の情報は2026年5月時点のものです。制度の詳細は今後変更される可能性があります。最新情報は金融庁公式サイト・各金融機関にてご確認ください。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

 

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小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

【2026年度税制改正】こどもNISAとは?2027年開始の新制度を図解でわかりやすく解説

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

「2026年度の税制改正で“こどもNISA”が始まるらしいけど、結局なにがどう変わるの?」
「学資保険だけで教育費が足りるのか不安。でも投資はよくわからなくて怖い…」

子どもを持つ親として、こんなモヤモヤを感じていませんか。

2025年12月に閣議決定された「令和8年度税制改正大綱」により、2027年1月から18歳未満の子ども向けに新しい非課税制度「こどもNISA」がスタートする予定です。

<参考)「令和8年度税制改正の大綱」の概要

この記事では、資産運用歴20年超の独立系FPが、こどもNISAの仕組みやメリット・注意点を、図解イメージを交えながらやさしく解説します。

こどもNISAの詳細は、令和8年度税制改正大綱および金融庁等の公表資料をもとにした現時点の情報です。今後の法令や運用ルールの整備により、内容が変更となる可能性があります。

 

この記事のポイント
- こどもNISAで「何が」できるのか
- ジュニアNISAとの違い
- 贈与税・引き出し条件など、絶対に知っておきたいポイント
- 実際にどう始めればいいか

 

そもそもNISAって何?(おさらい)

まずは前提となる「NISA(ニーサ)」から簡単におさらいします。

NISAは、投資で得た利益に税金がかからない「少額投資非課税制度」です。  
通常、投資信託や株式で利益が出ると、約20%(正確には20.315%)の税金がかかりますが、NISA口座についてはこの税金がゼロになります。

NISA口座 イメージ図

NISA口座 イメージ図

2024年からは、新しいNISA制度が始まり、

- つみたて投資枠(長期・積立向け)
- 成長投資枠(株式なども含めた運用向け)
- 非課税期間は無期限
- 生涯の非課税保有限度額は1,800万円

という形に拡充されました。  
ただし、この新NISAは「18歳以上」が対象です。

 

こどもNISAとは?【2027年スタート予定の新しい非課税枠】

この「18歳以上しか使えない」という壁を取り払うために創設されるのが、2027年から始まる「こどもNISA」です。

こどもNISAの主なポイントを整理すると、次のとおりです。

項目 内容
対象年齢 0〜17歳(その年の1月1日時点で18歳未満)
年間投資枠 60万円(=月あたり最大5万円程度)
非課税保有限度額 600万円(元本ベース)
非課税期間 無期限
投資対象 新NISAの「つみたて投資枠」の対象商品(主に投資信託)
払い出し 12歳以降、一定の条件を満たせば引き出し可
成人後 18歳になったら大人向けNISA(つみたて投資枠)に自動移行
開始時期 2027年1月1日開始予定

 

「0〜17歳のあいだ、月5万円までの長期つみたてを“非課税・無期限”で育てられる制度」だと考えるとイメージしやすいと思います。

親(あるいは祖父母)が子ども名義のこどもNISA口座を開設し、その中で投資信託を積み立てていく流れです。

払い出しのルール:12歳以降なら条件付きで引き出し可能

旧ジュニアNISAでは「18歳まで原則引き出せない」というルールがあり、「進学前にお金が必要になっても使えない」という大きなデメリットがありました。  
こどもNISAでは、この点が大きく改善されます。

主な払い出しルールは、次のとおりです。

- 12歳になるまで:原則として払い出し不可
- 12〜17歳:一定の条件を満たせば、教育費・生活費などに払い出し可能

条件のイメージ
  - 使い道が「子どものため」であること(入学金・授業料・通学費など)
  - 子ども自身が引き出しに同意していること
  - 金融機関に必要書類(同意書など)を提出すること

タイムラインにすると、次のようなイメージです。

こどもNISAタイムライン イメージ図

こどもNISAイメージ図

FPからの一言:中学受験や私立中高への進学など、教育費のピークが早めに来るご家庭にとっては、使い勝手がかなり良くなったといえます。18歳以降はそのまま大人NISAに移行する点も嬉しいところです。

※現時点の公表資料をもとにした想定であり、具体的な手続きや必要書類は今後の法令・金融機関の運用で変わる可能性があります。


ジュニアNISAとの違いを整理

「今までのジュニアNISAと、何がどう変わるの?」という疑問に答えるため、主な違いをまとめます。

項目 ジュニアNISA(旧) こどもNISA(新)
対象年齢 0〜19歳(開設時) 0〜17歳
年間投資枠 80万円 60万円
非課税保有限度額 400万円 600万円
非課税期間 原則5年+ロールオーバー 無期限
投資対象 上場株式・投資信託など つみたて投資枠対象の投資信託のみ
払い出し制限 原則18歳まで払出し不可(一部例外) 12歳以降、条件付きで払出し可能
制度の状況 2023年で新規口座開設終了 2027年1月開始予定


こどもNISAは「投資対象を投資信託に絞る代わりに、非課税期間を無期限にし、払い出しも柔軟にした制度」と捉えるとわかりやすいです。

 

贈与税の注意点:お金の出どころを意識しよう

こどもNISAの積立に回すお金は、多くのご家庭で「親」または「祖父母」から子どもへ渡される形になります。

このときに意識したいのが「贈与税」です。

- 子ども名義の口座に、親や祖父母がお金を入れる=税法上は「贈与」とみなされる
- 贈与税には年間110万円の基礎控除があり、同一年に同じ子どもが受け取る贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかからない

こどもNISAの年間投資枠は60万円なので、それ単体であれば110万円の範囲内に収まりやすい金額設定です。

ただし注意したいのは、

- 入学祝・お年玉・教育費援助など、こどもNISA以外の贈与も合算される
- 祖父母2人+親など、複数の人から贈与があると合計が膨らみやすい

という点です。

こどもNISA 贈与税の注意点

FPからの一言:できれば、家計簿やシートなどで「その子が1年間にいくら贈与を受けているか」を家族で共有しておくと安心です。まとまった金額を祖父母から出してもらう場合には、簡単な贈与契約書やメモを残しておくと、相続税対策の観点からもスッキリ整理できます。

 

こどもNISAのメリット・デメリット

メリット

- 子どもの将来資金を、非課税・無期限で長期運用できる
- 月5万円(年60万円)まで積立でき、教育費〜その先の資金の“種”を作りやすい
- 12歳以降は、進学など教育費のタイミングに合わせて条件付きで引き出せる柔軟性
- 18歳になったら、大人向け新NISA(つみたて投資枠)へ自動移行し、資産形成を継続できる
- 年60万円という枠は、贈与税の基礎控除110万円の範囲に収まりやすく、贈与税の観点でも扱いやすい

デメリット・注意点

- 投資対象が「つみたて投資枠対象の投資信託」に限られ、個別株は買えない
- 投資である以上、元本割れのリスクがあり、学資保険のような“確定利回り”ではない
- 12歳になるまでは原則引き出せないため、急な出費には向かない
- 贈与税の管理を誤ると、思わぬ税負担が発生する可能性がある
- 2027年開始予定のため、現時点(2026年)ではまだ口座開設ができず、制度詳細も今後変更の可能性がある

 

FPからの一言:個別株が買えないことは、投資初心者にとっては、かえって余計な売買を抑えやすいという意味で個人的にはメリットと感じます。またインフレ局面では、現金や確定利回り商品だけに偏らず、成長資産も取り入れたポートフォリオを検討する価値があります。

12歳までは原則引き出せないので、生活資金を確保した上でバランスを見て投資しましょう。

 

積立するとどれくらいになる?ざっくりイメージ

投資成果はあくまで将来の相場次第ですが、イメージを持つために「元本ベース」で考えてみましょう。

こどもNISAは「非課税保有限度額600万円(元本)」まで積立できます。

- 年間60万円 × 10年 = 600万円
- 月5万円 × 10年(120月) = 600万円

例えば、

- 0歳〜9歳まで:月5万円 → 10年間で元本600万円

   → 以降は運用を続けても、非課税枠は維持される(利益も非課税)。

- 0歳〜17歳まで:月3万円 → 18年間で約648万円  

  → 600万円まではこどもNISA枠、それを超える分は課税口座で運用、というイメージになります。

こどもNISA積立イメージ図

運用益はあくまで不確実ですが、「教育費+20代以降の資産形成の土台」を同時に作れるポテンシャルがあるのが、こどもNISAの大きな魅力です。

 

こどもNISAの始め方(2027年に向けての準備)

実際にこどもNISAを使うには、まず「子ども名義の証券口座(未成年口座)」を開設する必要があります。今後の実務フローは各社から順次発表されますが、一般的な流れは次のようになる見込みです。

ポイント
1. 証券会社を選ぶ
2. 親(親権者)が自分の証券口座・NISA口座を持っておく
3. 未成年口座(こどもNISA口座)を申し込む
4. 必要書類を提出する
5. 積立設定をする

2026年のうちにできる準備としては、

- 家計のキャッシュフローを確認し、「現実的に積み立てられる金額」を把握しておく
- 祖父母などからの援助がある場合、贈与税の基礎知識を家族で共有しておく
- 親自身の新NISA(大人枠)と合わせて、家計全体の資産形成方針を整理しておく

といった点があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. こどもNISAはいつから始まりますか?  
A. 2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正大綱に基づき、2027年1月1日からの開始が予定されています。こどもNISAは、単に教育費のための制度というより、「次世代の資産形成と金融教育を後押しする」という政策的な狙いも込められています。

Q2. 子どもが18歳になったらどうなりますか?
A. 18歳になった時点で、こどもNISAで保有している資産は、大人向けの新NISA(つみたて投資枠)に自動的に移行する見込みです。

Q3. 祖父母がお金を出してこどもNISAを使うことはできますか?
A. 可能です。ただし、祖父母から子どもへの資金拠出は「贈与」にあたり、年間110万円を超えると贈与税の対象になります。こどもNISA以外の贈与も合算されるので注意が必要です。

Q4. ジュニアNISAと併用できますか?
A. ジュニアNISAは2023年で新規口座開設が終了しており、こどもNISAはその後継にあたる新制度です。新たに、こどもNISAを使うイメージになります。

Q5. こどもNISAで個別株を買うことはできますか?
A. できません。こどもNISAで投資できるのは、新NISAの「つみたて投資枠」の対象となる投資信託・ETFに限られる見込みです。

まとめ:こどもNISAは「子どもの時間」を味方につける制度

最後に、こどもNISAのポイントを整理します。

- 0〜17歳が対象、年間60万円・合計600万円までの元本を非課税で運用できる
- 投資対象は「つみたて投資枠」の投資信託に限定
- 12歳以降は条件付きで払い出しが可能、中学・高校以降の教育費にも柔軟に対応できる
- 贈与税との関係を押さえておけば、祖父母も含め「三世代での資産形成」にも使える
- 18歳以降は大人向け新NISAに自動移行し、子ども自身の資産形成・マネー教育にもつなげやすい

こどもNISAは、「子どもの長い時間」を味方につける制度です。  
学資保険や貯金と並べて、「うちの家計にはどんな組み合わせがちょうどいいか」を考えることで、より納得感のある教育資金づくりができるはずです。

教育費のシミュレーションや、「親の新NISA」「こどもNISA」「学資保険」をどう組み合わせるかは、ご家庭ごとに最適解が違います。

もし「うちの場合はいくら積み立てればいい?」という具体的なイメージを持ちたい場合は、家計全体を見ながら一緒に設計していきましょう。

 

参考リンク

本記事は、以下の公的資料・専門機関のレポート等をもとに執筆しています。

- 金融庁「『令和8年度税制改正の大綱』の概要(NISA関連)」
   https://www.fsa.go.jp/access/r7/270/270_03.pdf

- 金融庁「令和8(2026)年度税制改正について」
  https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251226-2/01.pdf

- 金融庁 NISA特設ウェブサイト
   https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/

- 三井住友トラスト基礎研究所
  https://www.scbri.jp/reports/.assets/newstopics_20260126.pdf

 

※制度内容は、令和8年度税制改正大綱(2025年12月閣議決定)時点の情報にもとづいており、 今後の法令整備や運用状況により変更となる可能性があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

 

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小林良(こばやしFP事務所)

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小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

年金を正しく学べるおすすめ本5選|制度の仕組み・iDeCo・NISA・繰下げ受給まで網羅【年金初心者向け】

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

「年金って、本当にもらえるの?」「iDeCoとNISAはどっちが得?」——そんな漠然とした不安を抱えながらも、どこから勉強すればいいか分からない方は多いと思います。

実際、年金制度は2026年に大きな改正を迎えており 、在職老齢年金や繰下げ受給のルールが変わっています。「何となく払っているだけ」から抜け出し、自分で制度を読み解く力を持つために、まず1冊手に取ってみてください

この記事では、年金初心者から30〜40代の資産形成層まで幅広く役立つ5冊を独立系FPが厳選してご紹介します。

 

 

この記事で紹介する5冊を選んだ基準

本選びには以下の3つを基準にしました。

ポイント
制度の正確さ:考え方として今も通用するか
読みやすさ:図解・事例が多く、専門用語の多用がないこと
実用性:「自分の行動」に落とし込めること(繰下げ判断・iDeCoの活用など)

「制度の不安を解消したい人向け」から「老後戦略を積極的に組み立てたい人向け」まで、異なるフェーズをカバーする5冊を選んでいます。

5冊の一覧

FPオススメ 年金を学ぶ図書5選

①    知らないと損する年金の真実 大江英樹・大江加代
  難易度★★☆    年金の誤解をまず解きたい人

②    年金不安の正体   海老原嗣生  
  難易度★★★    「年金崩壊論」の真偽を知りたい人

③    35歳から創る自分の年金    是枝俊悟
  難易度★★☆    30〜40代で老後設計を始めたい人

④    人生100年時代の年金・イデコ・NISA戦略    田村正之    
  難易度★★★    iDeCo・NISAとの組み合わせを学びたい人

⑤    図解 いちばん親切な年金の本 26-27年版    清水典子(監修)    
  難易度★☆☆    まず制度全体を図でつかみたい人

 

年金リテラシーを向上していきましょう!


おすすめ本①:「年金って何?」の不安をデータで解消する

知らないと損する年金の真実 改訂版 2026年新制度対応|大江英樹・大江加代

まず1冊目に読むなら、この本が最適です。

どんな内容か

2021年の初版以来、年金本のロングセラーとして多くの読者に読まれてきた一冊の改訂版です 。著者の大江英樹氏が2024年に逝去され、妻の大江加代氏が遺志を継いで2026年制度改正を反映した内容に大幅加筆 。「若者は払い損」「年金はもらえない」といった誤解をデータで丁寧に解いていく構成です 。


この本で学べること

「年金は保険である」という根本的な考え方
・「若者は払い損」という誤解の正体
・繰り上げ・繰り下げ受給の判断の考え方
・iDeCoの正しい活用法
・避けるべき「年金」と名のつく金融商品


著者プロフィール

大江英樹氏は、野村証券での勤務を経て独立した経済コラムニスト。資産形成の啓発に長年取り組み、一般個人の年金リテラシー向上に貢献。改訂版は大江加代氏が完成させたものです。


こんな方におすすめ

・「年金なんてどうせもらえない」と思っている方
・2026年の制度改正を正確に把握したい方
・まず「年金の考え方の土台」を作りたい方

FPから一言:年金に対する「何となくの不安」は、この1冊で具体的な論点に置き換えられます。感情論ではなくデータで考えられるようになる、思考の整理に最適な一冊です

 

おすすめ本②:メディアの煽りに惑わされないための「制度の本質」を学ぶ

年金不安の正体(ちくま新書)|海老原嗣生

どんな内容か

「老後資金2000万円問題」「マクロ経済スライドで年金が消える」。こうした煽り情報の正体を、雇用ジャーナリストの著者が徹底的に解剖した一冊 。慶應義塾大学・権丈善一教授のアドバイスを受けて執筆された、学術的裏付けのある内容です 。


この本で学べること

賦課方式と積立方式の本質的な違い
・マクロ経済スライドの仕組みと誤解
「年金崩壊論」がなぜ広まるのかのメカニズム
・ベーシックインカムの現実的な評価
・政治家・メディアによる「不安の商品化」の構造


著者プロフィール

海老原嗣生氏は、リクルートキャリア社フェロー・中央大学大学院客員教授を務める雇用ジャーナリスト 。人事・労働分野の鋭い考察で知られる。


こんな方におすすめ

・SNSやニュースで年金不安を煽られている気がする方
・「制度の仕組み」より「なぜ不安になるのか」を知りたい方
・年金を「社会制度」として客観的に理解したい方

FPから一言「年金不安」そのものをビジネスにしている人たちの構造を知ることが、冷静な判断の第一歩。FPとして相談を受けるなかでも、「まずこの視点を持ってほしい」と感じる一冊です。

 

おすすめ本③:30代・40代が今すぐ動くための「自分の年金設計」バイブル

35歳から創る自分の年金|是枝俊悟

どんな内容か

著者自身が35歳のときに執筆した、同世代に向けた年金設計の本 。「モデル年金」は専業主婦世帯を前提にした古い想定であり、共働き世帯の年金は将来むしろ増える可能性があると、データで論証しています 。老後の「最低限」ではなく「豊かな生活」のために今何をすべきかを、前向きに示す内容です。


この本で学べること

共働き世帯の年金額の実際の見通し
・「世帯の生涯賃金を増やす」という発想の転換
・NISAやiDeCoを活用した資産形成の考え方
・ライフスタイルの選択(働き方・夫婦の就労形態)と年金額の関係


著者プロフィール

是枝俊悟氏は、大和総研金融調査部の研究員として年金・税制・社会保障を専門に研究 。現場に根ざした分析で、若い世代の年金リテラシー向上に貢献している。

こんな方におすすめ

・30〜40代で「今から何ができるか」を考えたい方
・共働き世帯で、自分たちの年金見通しを知りたい方
・将来に向けて前向きな行動プランを作りたい方

FPから一言:年金を「不安の源」ではなく「設計できるもの」として捉え直すきっかけになる一冊。iDeCo・NISAとの組み合わせを考える前に読んでおくと、方向感がクリアになります。

 

おすすめ本④:iDeCo・NISA・年金を「戦略的に組み合わせる」実践書

人生100年時代の年金・イデコ・NISA戦略|田村正之

どんな内容か

日本経済新聞の編集委員が、公的年金・iDeCo・NISAを一体で解説した実践的な指南書 。「年金の繰り下げ受給」「iDeCoの節税効果」「NISAの非課税枠活用」という3つの軸を、それぞれ単体ではなく「組み合わせの最適解」として解説するのが特徴


この本で学べること

・繰り下げ受給の損益分岐点の考え方
・iDeCoの課税・非課税メカニズムと節税額の試算
・企業型DCとiDeCoの使い分け
・障害年金・遺族年金など「保険としての年金」のフル活用
・NISAの成長投資枠・つみたて枠の戦略的使い方


著者プロフィール

田村正之氏は、日本経済新聞の編集委員として長年、資産形成・年金分野の報道に携わる。わかりやすく実践的な解説で人気が高い。


こんな方におすすめ

・iDeCoやNISAは始めているが、年金との全体設計ができていない方
・「繰り下げ受給が得かどうか」を具体的に試算したい方
・老後資金を体系的に設計したいFP志望・実務者

FPから一言:お客様からiDeCoやNISAについてご相談を受けるとき、「年金と合わせてどう設計するか」という視点が抜けているケースが多い。この本は、その全体図を示してくれる数少ない一冊です。

 

おすすめ本⑤:図解で制度全体をやさしく確認できる「年金の辞書」

図解 いちばん親切な年金の本 26-27年版|清水典子(監修)

どんな内容か

毎年版を重ねる人気シリーズの26-27年版 。2026年の最新制度改正に完全対応し、在職老齢年金・繰下げ・繰上げ・年収の壁など、実務でよく問われるトピックをB5判・図解で網羅 。導入マンガ・色付き重要ポイント・特典PDF付きと、紙面が非常にわかりやすく構成されています


この本で学べること

・老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給の仕組みと計算
・繰下げ・繰上げのメリット・デメリットと判断基準
・在職老齢年金の新ルール(2026年改正対応)
・ねんきん定期便・ねんきんネットの読み方
・遺族年金・障害年金の概要と受給手続き


著者プロフィール

清水典子氏は、2万件超の年金請求・調査実績を持つ社会保険労務士・年金アドバイザー。「消えた年金」問題の専門調査員も務めた、年金実務のプロフェッショナルです 。


こんな方におすすめ

・まず「年金制度の地図」を図解で一気に頭に入れたい方
・2026年制度改正の要点を確認・整理したい方
・手元に1冊、辞書代わりに置いておきたい方

FPから一言:お客様への説明時に「一緒に見ながら説明できる本」として、手元に置いておくと重宝します。難易度が低く、幅広い層に渡せる一冊です。

出典:在職老齢年金制度の見直しについて|厚生労働省



よくある質問(FAQ)

Q. 年金について初心者が最初に読むなら、5冊のうちどれがおすすめですか?

A. 「図解 いちばん親切な年金の本 26-27年版」がおすすめです。 図やイラストで制度全体の「地図」をつかんでから、他の本で考え方や戦略を深めていくと理解しやすくなります。

Q. 30〜40代で老後が漠然と不安です。どの本から読むと良いでしょうか?

A. 「35歳から創る自分の年金」がおすすめです。 共働き世帯の年金見通しや、NISA・iDeCoを含めた資産形成の考え方が具体的に示されているので、「今から何をすればいいか」がイメージしやすくなります。

Q. 「年金崩壊」「老後資金2000万円問題」の不安を、まず落ち着いて整理したいです

A. メディアやSNSの煽り情報に振り回されていると感じる方には、「年金不安の正体(ちくま新書)」が向いています。 マクロ経済スライドや賦課方式・積立方式の違いなどを丁寧に解説し、「なぜ不安になるのか」という構造から理解できるので、ニュースの見え方が変わります。

Q. 繰上げ受給・繰下げ受給の判断を学ぶには、どの本が役立ちますか?

A. 「知らないと損する年金の真実」と「図解 いちばん親切な年金の本 26-27年版」の2冊が特に役立ちます。 損益分岐点の考え方やメリット・デメリットが解説されており、2026年以降のルールも踏まえながら判断軸を整理できます。


まとめ:年金は「もらうもの」から「設計するもの」へ

年金を「どうせ払い損」「将来もらえるか分からない」と漠然と不安視していた方も、今回ご紹介した5冊を読み終える頃には、制度の輪郭がはっきり見えてくるはずです。

重要なのは、年金は受け身で待つものではなく、能動的に設計できるものだという視点です。

2026年4月からは在職老齢年金の支給停止基準額が月51万円→65万円に引き上げられ、働きながら年金を受け取りやすくなりました

iDeCoは2026年12月から会社員の拠出限度額が月2.3万円→最大6.2万円に大幅拡充予定で、節税しながら老後資金を積み立てるメリットがさらに大きくなります

NISAとiDeCoの併用は、もはや老後設計の「基本セット」です。目的・引き出しのタイミング・税制優遇の性格が異なる2制度を組み合わせることで、資産形成の効率が格段に上がります。

「制度を知っている人」と「知らない人」では、老後の手取りが、条件により数百万円単位の差が生じるケースもあります(年収・加入期間・運用利回りによる)

今日1冊手に取ることが、その差を縮める第一歩です。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。NISA・iDeCo・投資信託などの金融商品には、元本割れを含む価格変動リスクがあります。ご自身のリスク許容度・投資目的を踏まえたうえで、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

 

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本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

 

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

【2026年最新】個人向け国債変動10年を元公務員FPが解説|退職金の安全な置き場とシミュレーション

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。実際の投資判断は、ご自身のご状況・リスク許容度を踏まえ、自己責任にて行ってください。必要に応じて、金融機関や専門家への相談もご検討ください。

「退職金をどうしよう」と悩みながら、結局そのまま普通預金に入れている。そんな方が、公務員OBには非常に多いかもしれません。

公務員には共済・退職金・年金払い退職給付という手厚いセーフティネットがあります。しかしそれゆえに、現役時代に「お金を増やす必要性」を感じにくく、退職して初めて"大金の運用"に直面するという構造があります。

そして多くの方が陥るのが、「よく分からないから全部現金のまま」という選択です。

でも、この「全額現金放置」は安全に見えて、じつはリスクを抱えています。物価が年率2%上昇し続けると、1,000万円の実質的な価値は10年で約820万円相当まで目減りします。現金を「守った」つもりが、インフレに静かに「攻められている」のです。

だからこそ、最初の一手として押さえておきたいのが、個人向け国債(変動10年)」という商品です。

この記事では、元地方公務員・独立系FPの著者が、変動10年の仕組み・メリット・デメリット・購入方法を、投資初心者の方でも分かるように丁寧に解説します。


まず「3行」で理解する

難しい話に入る前に、3行でイメージをつかんでください。

ポイント
・国にお金を貸して、利息をもらう。10年後に全額返ってくる。
・市場金利が上がれば、もらえる利息も半年ごとに増えていく。
・元本は国が保証。最低金利0.05%保証。1年後から換金もできる。

「国にお金を貸す」というシンプルな言葉で理解できれば、それで十分です。

「10年満期」と聞くと「10年間は手が出せない」と思いがちですが、1年後からいつでも現金に戻せる仕組みになっています

この安心感が、退職金の「守り」として使いやすい理由の一つです。


仕組みを3つのポイントで理解する

①「変動」とは。金利が半年ごとに見直される

「変動10年」の「変動」とは、適用される利率が半年ごとに見直されることを指します。金利の計算式は次のとおりです。

適用利率 = 基準金利 × 0.66

基準金利とは、国が10年物の国債を市場で発行するときの金利水準(10年物国債の利回り)です。世の中の長期金利が上がれば、個人向け国債の利率も自動的に上がっていきます。

「難しい計算は覚えなくていい」です。「世の中の金利が上がれば、もらえる利息も増えていく」というだけです。

 

【最新データ:2026年4月時点】

2026年4月募集分(第193回)の個人向け国債 変動10年の初回適用利率は年率1.55%(税引後1.2351%)です。

2024年前半まで0.5%未満だった金利が、この水準まで上昇しています。日銀の利上げを受けた市場金利の上昇がそのまま反映された形です。

出典:個人向け国債窓口トップページ : 財務省


②「元本保証」。満期まで持てば全額返ってくる

個人向け国債は、日本国政府が発行する債券です。満期(10年後)まで保有すれば、購入金額(額面)がそのまま全額返ってきます

株や投資信託のように「価格が上下して、売るタイミングによっては損をする」ということがありません。「損をしたくない」という方にとって、最もストレスが小さい仕組みです。

ただし「元本が保証される」のはあくまで「日本国が財政破綻しない」ことが前提です。銀行預金が「預金保険制度(1,000万円まで)」で守られるのに対し、個人向け国債は「国の信用」で守られています。どちらが安全かというより、守られる仕組みが違うとご理解ください。


③「最低金利0.05%保証」と「1年後からの換金」

どれだけ市場金利が下がっても、個人向け国債の利率は0.05%を下回りません。

また、購入から1年以上経過した後は、「中途換金(満期前に現金化すること)」が可能です。その際、「直近2回分の利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれます。

【中途換金の例】

- 100万円を変動10年で購入し、2年後に換金する場合
- この時点の利率を年1.55%(税引前)と仮定すると、半年分の利息は約7,750円
- 差し引かれる中途換金調整額:7,750円 × 2回分 × 0.79685 ≒ 約12,357円
- つまり、100万円から約12,357円が差し引かれて換金(元本割れにはならない)

元本は必ず戻ります。「利息の一部を返す」だけです。長期保有を前提にすれば、実質的なペナルティはほとんど気になりません。


【シミュレーション】100万円・500万円・1,000万円でいくらもらえるか

2026年4月時点の利率(年1.55%、税引後1.2351%)を基に試算します。

購入金額 半年ごとの受取利息(税引後・概算) 年間の受取利息(税引後・概算)
100万円 約6,175円 約12,351円
500万円 約30,877円 約61,755円
1,000万円 約61,755円 約123,510円

利率は変動するため、あくまで2026年4月時点の試算です。半年ごとに見直しがあります。

 

元公務員FPのコメント
「退職金の一部(例:1,000万円)を個人向け国債に置いておくだけで、年間約12万円の利息が自動的に入ってきます。同額を普通預金(年利0.3%程度)に入れたままだと、年間約3万円。その差は明らかです。これは増やす投資ではありません。減らさずに、わずかに育てるための置き場として活用しています。」

財務省の公式サイトにも「受取利子シミュレーション」があり、購入金額を入れると利息の見通しを試算できます。ぜひ活用してみてください。

個人向け国債(変動10年)受取利子シミュレーションのご利用方法 : 財務省

 

変動10年のメリット:公務員・公務員OBに刺さる4点

メリット①:元本割れしない安心感

「定年後の退職金や生活防衛資金の一部は『リスクを極力抑えたいお金』です。そのような資金の置き場として、預金よりはリスクがあるものの、国の信用を前提とした債券である個人向け国債は選択肢の一つになります。

メリット②:金利上昇局面に自動追随する

2024年以降、日銀が利上げを継続しています。変動10年は半年ごとに金利が見直されるため、市場金利の上昇が自動的に利率に反映されます。固定金利の商品(定期預金など)では取り込めない「金利上昇の恩恵」を享受できる点が、今の局面では特に大きなメリットです。

メリット③:手数料がゼロ

銀行や証券会社で勧められる多くの運用商品には、販売手数料・信託報酬・ラップ報酬などのコストがかかります。個人向け国債は、財務省が個人向けに直接発行する商品のため、販売手数料がかかりません。コスト分が丸ごと自分の手元に残ります。

メリット④:1万円単位・毎月購入できる柔軟性

最低購入金額は1万円から、1万円単位で購入できます。退職金が入ったタイミングで一度に全額を動かすのではなく、「100万円ずつ3か月に分けて購入する」といった分散購入が可能です。タイミングリスクを分散しながら段階的に購入できる点は、初心者にとって非常にありがたい設計です。


変動10年のデメリット。「買ってはいけない」という声の正体

デメリット①:1年間は換金できない

購入後1年間は、いかなる理由があっても中途換金ができません。したがって、「来年使う予定のあるお金」や「緊急時に即座に出せる生活防衛資金」に充てるのは向いていません。

対策:まず生活費の6~24か月分を普通預金に確保してから、残りの余裕資金を変動10年に充てること。

デメリット②:中途換金すると利息の一部が差し引かれる

1年後以降に中途換金する場合、「直近2回分の利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれます。

ただし元本は必ず保証されます。仮に1年半で換金しても「少し損をして元本に近い金額が戻ってくる」のではなく、「元本は全額戻り、利息の一部だけ調整が入る」というイメージです

デメリット③:「増やす」目的には向かない

個人向け国債の変動10年は、株式やインデックス投信のような「長期で大きく資産を増やす」商品ではありません。退職金の老後資産形成を本格的に進めたい場合、変動10年だけでは不十分で、NISAなどを使った「育てる資産」の併用が必要です。

 

「買ってはいけない」という批判の背景について

ネットで「個人向け国債は買ってはいけない」と書かれている記事の多くは、2013〜2023年の長期ゼロ金利・マイナス金利時代に書かれたものです。当時は最低金利の0.05%が事実上の確定利率として続いており、「定期預金とほぼ変わらないのに換金制限がある」という批判には当時なりの根拠がありました。

しかし2026年現在、変動10年は年率1.55%で発行されています。「ゼロ金利時代の批判」がネット上に残り続けているだけで、今の局面で同じ評価を適用するのは正確ではありません。

元公務員FPからのコメント
「増やしたい人には物足りない」という評価は正しいです。しかしそれは商品の設計目的が違うということであり、「守りながら育てる」ゾーンとして正しく使えば、十分な力を発揮する商品です。

個人向け国債窓口トップページ : 財務省


定期預金・投資信託との違い「どこに置くか」の地図

退職金の置き場を決めるときに役立つ比較表です。

前の記事で紹介した「3ゾーン配分(守る・安全に育てる・リスクを取って育てる)」に当てはめると、個人向け国債 変動10年は「安全に育てるゾーン」の担当です。

現実的な使い方の目安

・一例として退職金の「守りの資産」として30〜50%程度を変動10年に配置
・残りの一部はNISA(インデックスファンド)などで「育てるゾーン」として分散
・生活費2年分は普通預金で維持

※あくまで一般的な考え方の一例であり、個別の状況により大きく異なります

具体的にどれくらいの比率にするかは、退職金の総額・毎月の年金収入・老後の生活費によって異なります。「自分の場合はどうすればいいか」は、後述するFP相談を活用してください。


実際の購入方法——3ステップで完結

どこで買えるか

個人向け国債は、証券会社・銀行・ゆうちょ銀行・JAバンクなど、全国の主要な金融機関で購入できます。ネット証券でもスマートフォンから購入可能です。

ご購入方法・取扱金融機関一覧 : 財務省

購入の3ステップ

ステップ1:口座を開設する

購入したい金融機関(証券会社・銀行など)に、証券口座または国債専用口座を開設します。本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証等)が必要です。ネット証券であればスマートフォンで完結できます。

ステップ2:募集期間中に申し込む

個人向け国債は毎月発行されており、募集期間中(月初から月末程度)にいつでも申し込めます。2026年4月募集分の募集期間は2026年4月6日〜4月30日で、発行日は2026年5月15日です。

金融機関のウェブサイトまたは窓口で、購入したい金額(1万円単位)を指定して注文します。

ステップ3:発行後は半年ごとに利息が自動入金

発行日以降、半年ごとに利息が自動で指定口座に振り込まれます。特別な手続きは不要です。1年後以降に換金したい場合も、購入した金融機関に申し出るだけで手続きできます。


「守りの土台ができたら次は?」——3記事シリーズの地図

この記事はシリーズの第3弾です。ここまで読んでいただいた方に、全体像をまとめます。

📌 記事①「公務員の退職金・年金を3つの箱で整理する」
   ↓ 制度の全体像(退職手当・厚生年金・年金払い退職給付)を把握する

📌 記事②「公務員OBが退職金で後悔する3つのパターン」
   ↓ 銀行勧誘・現金放置・総額把握なしという3つのNGを知る

📌 記事③(この記事)「個人向け国債(変動10年)とは?」
   ↓ 守りの土台をつくる第一歩を踏み出す

📌 次の記事(予告)「新NISAで"育てる資産"をつくる方法【公務員向け】」
   ↓ 守りができたら、少しリスクを取って育てることも考えてみる

 

「守りの土台はOK。でも全部変動10年だけでいいのか?」と感じた方は、次の記事(NISA編)も合わせてご覧ください。


変動10年をいくら買えばいいか。「自分ごと」にするには相談が一番早い

変動10年が「守りの起点」として有力な商品であることはお伝えしました。しかし「実際にいくら買えばいいか」は、次の要素によって個人差が大きいです

・退職金の総額はいくらか
・65歳以降の毎月の年金収入はいくらか
・夫婦の毎月の生活費の見通しはどれくらいか
・住宅ローン残債・介護費用の見込みはあるか

これらを総合的に見た「ライフプラン全体の設計」なしに、「変動10年を500万円買えばOK」とは言えません。

元公務員FPとして、退職金の配分設計を一緒に整理するご相談を承っています。退職金の制度・共済・年金払い退職給付の仕組みを実感として理解している立場から、「売りたい商品のない独立系FP」として中立にお伝えします。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。実際の投資判断は、ご自身のご状況・リスク許容度を踏まえ、自己責任にて行ってください。必要に応じて、金融機関や専門家への相談もご検討ください。

 

▼この記事と合わせて読みたい▼
- [公務員の退職金・年金を"3つの箱"で整理する]

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- [公務員OBが退職金で後悔する3つのパターン]

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小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

保険の無駄をなくすおすすめ本5選|「いらない保険」の見極め方から正しい選び方まで学べる入門書【保険初心者向け】

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

毎月の保険料が3万円を超えているのに、「どんなときに、どの保険がいくら出るのか説明できない…」。FPとして相談を受ける中で、こうした「保険入りすぎ」のご家庭にたくさん出会ってきました。

たとえば、ある40代共働き夫婦のケースでは、医療保険・がん保険・終身保険など計7本に加入していて、保険料が家計を圧迫していました。
公的保障と本当に必要な保障を一緒に整理しながら見直したところ、保険料は月3万円台から1.2万円まで下がり、その分をNISAなどの資産形成に回せるようになりました。

この記事では、そうした相談の現場で「保険の考え方を土台から整えるために」実際におすすめしている入門書を5冊に絞ってご紹介します。

元公務員FPとして自分自身の保険を見直してきた経験も交えながら、「いらない保険」を手放し、「必要な保険だけを残す」ための考え方をお伝えしていきます。


この記事で紹介する5冊を選んだ基準

本選びには、以下の3つを基準にしました。

ポイント
・社会保障(高額療養費・遺族年金・傷病手当金)への言及があること
・「入るべき保険」だけでなく「不要な保険」も明示していること
・独立系FP・元業界人など、販売利益に依存しない著者であること

実は、私自身も若手公務員時代はいくつもの保険に入っていました。
「できるだけ手厚くしておいた方が安心」という考えだけで、高額の医療保険や、終身保険などを重ねた結果、気づけば保険料だけでそれなりの割合になっていました。

「そもそも公的保障でどこまでカバーされるのか」「わが家にとって必要な保障は何か」をゼロから整理し直しました。その過程で出会ったのが、この記事で紹介するような保険の基本を学べる入門書です。

書籍の考え方をベースにしながら、「わが家のライフプラン」に合わせて保険を選び直した結果、不要な保険をいくつか解約し、今の保険料は月1万円未満です。

今は、相談者のご家庭でも同じ考え方を使いながら「保険の入りすぎ問題」を一緒に整理していくことが多く、そのときに役立っているのが今回ご紹介する5冊です。

5冊の一覧


① この保険、解約してもいいですか?  後田亨
    難易度★★☆   今の保険を見直したい人 
② いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」  後田亨・永田宏
 難易度★★☆   業界の裏側まで知りたい人 
③ 保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由  後田亨
 難易度★☆☆   保険ゼロ知識から学びたい人
④ 最新版 保険はこの5つから選びなさい  長尾義弘 
 難易度★★☆   どの保険を選べばいいか迷っている人 
⑤ 1日1分読むだけで身につく保険の選び方大全100  長尾義弘
 難易度★☆☆   忙しくてまとまった時間がとれない人 

どれも読みやすく、初心者にオススメの一冊です。


おすすめ本①:今の保険を「解約すべきか」判断する目を養う一冊

この保険、解約してもいいですか?

著:後田亨 / 日経BP / 1,760円(税込)


まず「今の保険を整理したい」という方は、この1冊からスタートするのがおすすめです。

どんな内容か

保険会社と乗り合い代理店で約15年間、営業職として働いた後に独立した著者・後田亨氏が、有料保険相談の現場から生まれた疑問と答えを書き下ろした一冊です。

「保険に入りすぎている五十嵐夫婦」という架空の家族が主人公で、現在加入している保険を一つひとつ整理していく物語形式で展開します。経済評論家・山崎元氏も「一回の相談で、一生分の納得。保険の本質をシンプルに説く優しい声が聞こえてきます」と推薦する話題作です。


この本で学べること

- 保険を使うべき3条件(①めったに起きない、②自己資金では賄えない、③いつ起きるか予測できない)
- 「私たちはすでに最強の終身医療保険に加入済み」国の健康保険制度と民間保険の決定的な違い
- 医療保険・がん保険・学資保険・終身保険それぞれの「必要か不要か」の判断軸
- 保険会社が「解約は損」と言う理由と、それに惑わされない考え方

著者プロフィール

後田亨氏は約15年間、大手生命保険会社と乗り合い代理店で営業職を経験後、独立。著述業と有料の保険相談(オフィスバトン「保険相談室」代表)を主な収入源としており、保険販売による利益に依存しない立場から情報発信を続けている。


こんな方におすすめ

- 何年も保険料を払い続けているが、保障内容をよく理解していない方
- 「掛け捨ては損」「解約すると損」と言われたことがある方
- 子どもが産まれて保険を見直すタイミングにある方
- NISAやiDeCoを始めて、保険料をスリム化したいと考えている方

FPから一言:この本は、保険相談の初回面談で「保険の全体像をつかむためにおすすめしている1冊」です。実際の相談では、事前にこの本の第1章だけ読んできてもらうことで、「保険=万が一への備えであり、貯蓄とは役割が違う」という基本的な考え方を共有しやすくなります。

 

おすすめ本②:業界の内側から語る「知られたくない本当の話」

いらない保険 生命保険会社が知られたくない「本当の話」

著:後田亨・永田宏 / 講談社+α新書 / 990円(税込)


「保険に批判的な人がなぜそう考えるのか」の根拠を、数字とデータで理解したい方に。

どんな内容か

後田亨氏と、長浜バイオ大学教授で医療情報学・医療経済学を専門とする永田宏氏の共著です。「がん保険のストーリーにだまされるな」「貯蓄・投資目的の保険はいらない」と、各保険の問題点を章ごとに解説。「すべての保険がいらない」とは断言せず、「いらない保険」と「こういう場合には必要な保険」を峻別している点が特徴です。


この本で学べること

- 「最強の保険は健康保険」公的医療保険の高額療養費制度の実力
- 保険料の約30%が事業経費として消える仕組みと、各種保険の「還元率」
- 民間の医療保険・がん保険・学資保険がほぼ不要な理由
- 必要な場合に検討すべき保険(就業不能保険・掛け捨て死亡保険など)と具体的銘柄名
- 余剰資金はiDeCoやNISAで増やすべきという出口戦略

著者プロフィール

後田亨氏については①と同じ。共著者の永田宏氏は、医学・統計学を専門とし、がん保険・医療保険の費用対効果を科学的エビデンスで検証する。医学と保険学の両視点から書かれた共著は珍しく、医療の最新動向を踏まえた保険の見方を養える。


こんな方におすすめ

- 保険業界の「ビジネスモデル」を理解した上で自分で判断したい方
- がん保険・介護保険に加入しているが、本当に必要か迷っている方
- 「安く・短く・少なく」の原則で保険を整理したい方

FPから一言:「保険は手数料ビジネス」という事実を知っているだけで、営業トークへの見方がガラリと変わります。批判的・客観的に保険を学びたい方に特におすすめ。

 

おすすめ本③:「保険のプロほど保険に入らない」理由をゼロから理解する

「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由

著:後田亨 / 青春新書プレイブックス / 1,012円(税込)


この5冊の中で「最も入門向け」。知識ゼロから始める方はここからどうぞ。

どんな内容か

「万が一のために保険に入ろうとしている人ほど損をする」という逆説的なテーマから始まる入門書。保険知識ゼロのアラサー女性ライターが著者の後田氏に保険の相談をするというプロローグ形式で展開し、対話形式なので「著者から直接話を聞いているような」感覚で読み進めることができます。保険を全面否定するのではなく「入るべき保険はこれ」という結論もきちんと示している構成です。


この本で学べること

- 「万が一のために保険に入る」が大きな誤解である理由
- 医療保険の還元率30%超、死亡保険で60%超という「最も手数料が高い金融商品」の実態
- 「2人に1人ががんになる」というキャッチコピーの統計的なカラクリ
- 公的医療保険(高額療養費・遺族年金・傷病手当金)で実際にどのくらいカバーされるか
- 保険の還元率が競馬(75%)より低いケースがある理由
- それでも入るなら、どの保険のどの商品が適切か

著者プロフィール

後田亨氏の著作の中でも「最も入門向け」として位置づけられる一冊。「保険が怖くてよくわからない」という完全な初心者を念頭に、ストーリー仕立てで保険の本質を説く構成が多くの読者に支持されている。


こんな方におすすめ

- 「保険のことがさっぱりわからない」という完全な初心者の方
- 保険に加入しているが、何のためにどんな保障があるか説明できない方
- 営業担当者に勧められるまま加入し、自分の意思で判断したことがない方
- 子育て世代で「とりあえず保険に入っておくべき?」と感じている方

FPから一言:この本は、「本当に必要な保障をどう絞り込むか」を一緒に考えるときに、僕自身が何度も読み返している1冊です。相談の現場では、夫婦それぞれの年収や貯蓄額、住宅ローンの残高、子どもの年齢などを伺いながら、「この本の考え方」をベースに、必要な死亡保障額や医療保障の範囲を具体的に見積もっていきます。

 

おすすめ本④:「どれを選べばいいか」を実名でズバリ教えてくれる一冊

最新版 保険はこの5つから選びなさい

著:長尾義弘 / 河出書房新社 / 1,650円(税込)


「不要な保険はわかった。では何を選べばいい?」に答える実践書。

どんな内容か

保険ランキングの専門メディアに長年携わってきた独立系FP・長尾義弘氏が、「本当によい保険」を実名で5商品に絞り込んで紹介する実践書です。2018年に標準利率・標準生命表が大幅改定されたことで、掛け捨て型の定期保険・収入保障保険の保険料が大幅に引き下げられました。この保険料改定の恩恵を最大限活かした組み合わせ方を解説しています。


この本で学べること

- 9割の世帯が加入している医療保険が「実は不要な場合が多い」理由
- 保険選びの2大基準(①めったに起きない、②経済的損失が自己資金を超える)
- 2018年改定で掛け捨て保険の保険料が割安になった背景と活用法
- 就業不能保険が今後最も重要になる理由(特に自営業・フリーランスの方)
- 月1万円以下の保険料で主要リスクをカバーする「保険の組み合わせ方」
- 保険の種類ごとの「いる・いらない」の明快な結論

著者プロフィール

長尾義弘氏は、出版社勤務を経て1997年にNEO企画を設立した出版プロデューサー兼AFP。保険ランキング・評価の専門家として多数の著書を持ち、「保険を一度も販売したことがない公平中立な立場」からの執筆を貫いている。


こんな方におすすめ

- 「結局どの保険を選べばいいか」という答えを知りたい方
- 複数の保険を比較したが、どれも同じに見えて迷っている方
- 保険料を見直して家計をスリム化したい方(特に子育て世代・共働き世帯)
- 就業不能保険・収入保障保険を初めて検討する方

FPから一言:「商品名を実名で挙げてくれる本」は実は珍しい。独立系FPの立場として、商品比較の際の参考書として手元に置いておく価値があります。「どれを選ぶか」で迷っている方の背中を押してくれる一冊です。

 

おすすめ本⑤:忙しい人が「1日1分」で保険リテラシーを積み上げる

1日1分読むだけで身につく保険の選び方大全100

著:長尾義弘 / 自由国民社 / 1,650円(税込)


5冊の中で最新刊(2024年)。辞書感覚で使える100項目の保険百科。

どんな内容か

見開き1テーマ・文章+イラスト図版のシンプルな構成で、保険に関する100項目を全網羅した実用書です。幅広くカバーし、各テーマに「見直しチェックポイント」や「辛口コメント」も収録。2024年10月発売で、最新の新NISAとの比較観点も盛り込まれている点が他の4冊と比べた強みです。

6部構成の目次:
1. 保険は本当に必要か?
2. 自分にピッタリの保険
3. どのくらいの保障が必要か?
4. 生命保険のしくみ
5. 保険の見直しポイント&注意点
6. 損害保険の得な入り方


この本で学べること

- 保険はマイホームに次ぐ「人生2番目に大きな買い物」という現実認識
- 終身保険は相続対策には使えるが、貯蓄目的には不向きな理由
- 外貨建て保険・変額保険より新NISAを優先すべき根拠
- 保険営業員の「見直し提案」が損につながりやすい仕組み
- 個人賠償責任保険・海外旅行保険など「入っておくべき保険」
- リビングニーズ特約・先進医療特約など「役立つ特約」の見分け方


こんな方におすすめ

- 保険の勉強をしたいが、まとまった時間がとれない社会人・子育て世代
- 辞書的に「この保険って何?」と調べながら使いたい方
- 最新のNISAとの関係を含めて保険を総点検したい方
- 知識を少しずつ確実に積み上げたい方

FPから一言:「スキマ時間に1テーマずつ」という設計が習慣化しやすく、繰り返し読める構成です。5冊の中で最も「毎日手元に置ける」一冊。保険を学ぶ入口として、特に忙しいファミリー世代に強くおすすめします。

 

5冊をどう読み進めればいいか:ロードマップ

そもそも保険って何?という完全初心者 ③だけでOK
今加入している保険を整理したい  ③→① 
業界の裏事情まで深く知りたい  ③→②→① 
どの保険を選べばいいかを知りたい ③→④ 
毎日少しずつ学びたい  ⑤をメインに随時参照 

まず③で「保険の手数料構造と公的保障の実力」を頭に入れ、次に②で業界の構造的問題を深掘りし、①で今の保険を整理する、という流れが最も効率的です。

 

FP相談では、

・この記事の5冊のうち1〜2冊を事前に読んでいただく
・面談で現在の保険一覧と公的保障を一緒に整理する
・「必要な保障」と「不要な保障」を仕分けし、保険料を圧縮する
・浮いたお金をNISAなどの資産形成に回す

という流れで保険の見直しを進めることが多いです。
書籍で「考え方の土台」をつくりつつ、ご家庭ごとの事情に合わせて具体的な数字を調整していくことで、保険と資産形成の両方をバランス良く整えていけるはずです。

 

まとめ:本で基礎を固めると、保険の「断り方」が変わる

保険の営業担当者は「加入してもらうこと」が仕事です。独立系FPへの相談を勧める声が増えている理由も、そこにあります。

「なぜプロほど保険に入らないのか」「本当に必要な保険はどれか」を一度本でしっかり学ぶと、次に保険の話をされたとき、「自分の言葉で判断できる・断れる」ようになります「もったいない」「損をする」という言葉に左右されず、自分の家庭の状況と公的保障を把握した上で、本当に必要な1本だけを選べるようになります。

それが、毎月の保険料を3万円から1万円台に下げ、浮いたお金をNISAやiDeCoに回す、という家計改善の第一歩にもつながります。ただし、投資には元本割れなどのリスクがあります。保険の削減やNISA・iDeCoの活用は、家計の状況やリスク許容度を踏まえてご自身で判断してください。

 

よくある質問(FAQ)

Q. 保険の本を初心者が最初に読むならどれですか?

「保険のプロが生命保険に入らないもっともな理由」(後田亨著)が最も入門向けです。保険知識ゼロを前提にした対話形式で、手数料構造・公的保障の活用・不要な保険の見極め方まで、やさしく解説しています。

Q. 今加入している保険を見直すにはどうすればいいですか?

まず「この保険、解約してもいいですか?」(後田亨著)を読むのがおすすめです。「保険を使うべき3条件」を理解した上で、現在の加入内容を照らし合わせると、何を残して何を解約すべきかが整理できます。

Q. いらない保険を見極める判断軸はありますか?

①めったに起きない、②自己資金では賄えない大きな経済的損失、③いつ起きるかわからない」の3条件を全部満たすリスクにのみ保険を使うのが基本です。この軸は今回紹介した5冊に共通するコンセプトです。

Q. 医療保険は本当に不要なのですか?

「高額療養費制度のある日本では、多くの場合、民間の医療保険は不要」というのが後田亨氏・長尾義弘氏に共通した主張です。ただし、余裕資金が少ない方・自営業やフリーランスで傷病手当金のない方は検討の余地があります。自分の状況に合わせて判断することが大切です。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

 

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

山崎元のおすすめ本5選|投資初心者が最初に読むべき入門書を元公務員FPが厳選

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

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経済評論家・山崎元さんは、東大卒業後、三菱商事・野村投信・メリルリンチ証券・楽天証券経済研究所など12の金融機関を渡り歩き、生涯を通じて「個人投資家の味方」であり続けた希有な存在です。

2022年に食道がんのステージⅢを告知されながらも、最後まで執筆を続けた山崎さんが残した著書群は、今もなお投資初心者に最も信頼される入門書として読み継がれています。

この記事では、投資初心者の方でも読み進められる山崎元さんの著書を5冊に厳選して年間100冊超本を読む独立系FPがご紹介します。

この記事で紹介する5冊を選んだ基準

本選びには、以下の3つを基準にしました。

・難しい数式・専門用語が最小限で、読み通せること
・NISAやインデックス投資など、今すぐ使える知識が含まれていること
・お金だけでなく、働き方・人生観まで視野を広げてくれること

「投資初心者が最初の1〜2冊目として迷わず手に取れる本」をピックアップしています。

5冊の一覧

① 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!
    難易度 ★☆☆    投資がまったく初めての方

②【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術
    難易度 ★★☆    インデックス投資を体系的に学びたい方

③ 山崎先生、お金の「もうこれだけで大丈夫!」を教えてください。 90分で一生役立つお金の授業
    難易度 ★☆☆    お金の全体像を最短でつかみたい方

④ 経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて
    難易度 ★☆☆    山崎さんの最後のメッセージを受け取りたい方

⑤ 学校では教えてくれないお金の授業
    難易度 ★★☆    お金の基礎から体系的に学び直したい方

おすすめ本①:投資の「答え」を最短で手に入れる一冊

超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!

著:山崎元・大橋弘祐 / 文響社

まず1冊だけ選ぶなら、この本からスタートするのが最もおすすめです。

どんな内容か

「お金のド素人」大橋弘祐さんが、東大卒・金融機関12社を渡り歩いた「毒舌経済評論家」山崎元さんにお金の増やし方を聞く、会話形式の一冊です。専門用語をほぼ使わず、投資の答えをシンプルに提示しているため、「投資って何から始めればいい?」という段階の方でもスラスラ読み進められます。

この本で学べること

- 覚える金融商品は3つだけ(全世界株式インデックスファンド・個人向け国債・預金)
- 銀行や証券会社の窓口に近づいてはいけない理由
- NISAとiDeCoの使い方と優先順位
- 「高リスク・ハイリターン」に素人が手を出していい条件
- 家のローン・保険との賢い付き合い方

こんな方におすすめ

- 「投資」という言葉は知っているが、何もしたことがない方
- 銀行や証券会社でよくわからない商品を勧められた経験がある方
- NISAを始めたいが、何を買えばいいか分からない方

元公務員FPから一言:公務員時代「なんとなく」投資をしていたころに、この本と出会いました。この本を読んで、「長期・分散・低コストが、私のような普通の会社員・公務員にとっていちばん合理的な戦略なんだ」と腹落ちし、インデックスファンドの積立投資を始めました。

結果的に、価格が上下しても慌てずに続けられる“自分なりの基準”ができたのが、この1冊のいちばん大きな価値でした。投資の「正解」を探して迷い続けていた状態から、「自分の納得したルール」で続けられる状態に変えてくれた本だと感じています。

おすすめ本②:「1本買うだけ」で資産形成を完結させる公式本

【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術

著:山崎元・水瀬ケンイチ / 朝日新書

インデックス投資の「なぜ?」まで理解したい方に最もおすすめの一冊です。

どんな内容か

「長期・分散・低コスト」というほったらかし投資の3原則のもと、なぜインデックスファンド1本買いがベストなのかを徹底的に論理立てて説明する一冊です。内容の明快さ、圧倒的な説得力が支持され、シリーズ累計30万部(電子版含む)を突破しました。

この本で学べること

- なぜアクティブファンドよりインデックスファンドが優れているのか
- 全世界株式インデックスファンド「オルカン」の選び方と買い方
- 新NISAの賢い使い方
- 「いつ買うか」「いくら買うか」の迷いをなくす考え方
- 積立投資で「ほったらかし」にできる仕組みと心構え

共著者・水瀬ケンイチ氏について

共著者の水瀬ケンイチ氏は、個人投資家・ブロガー。インデックス投資の実践者として「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー」を運営。山崎さんとの議論を経て、より洗練されたほったらかし投資の「公式本」として完成させました。

こんな方におすすめ

- NISA口座を開いたが、何を買えばいいか迷っている方
- 「投資は難しそう」「値動きが気になる」と感じている方
- 理論的に納得してから投資を始めたい方

元公務員FPから一言:私がインデックス投資を始めたタイミングで、何度も読み返したのがこの本です。働きながら、「老後資金を、給与と共済だけに頼らずどう準備するか?」を考えたとき、この本に書かれている“ほったらかし投資”の考え方が、現実的な答えのひとつになりました。

「相場が気になるたびに売買する」のではなく、「決めたルールを機械的に続ける」スタイルに変えたことで、精神的な負担が減り、家計管理にも余裕が生まれました。「勉強すればするほど難しく感じていた投資」が、「シンプルな仕組みを理解して、あとは淡々と続けるだけ」に変わった感覚があり、そのスイッチを入れてくれた1冊だと思っています。

おすすめ本③:山崎先生が最後に贈る「90分の授業」

山崎先生、お金の「もうこれだけで大丈夫!」を教えてください。 90分で一生役立つお金の授業

著:山崎元 / Gakken / 2024年3月22日発売

「これだけ知っておけば大丈夫」を90分に凝縮した、山崎さんの闘病中の書き下ろし作品です。

どんな内容か

大学から「1コマ90分、お金の授業をしてほしい」と依頼されたことから生まれた一冊。「高校生の可愛い娘が大学生になったときに聞いてわかる話にしよう」という思いで書き下ろされました。リボ払い・がん保険・お任せ運用という「3つのダメ」と、「ほったらかし投資術」という1つの正解を核に構成されています。金融教育にオススメ。

この本で学べること

- 「3つのダメ」:リボ払い・がん保険・お任せ運用を避ける理由
- 「ほったらかし投資術」の本質をやさしく復習
- NISA・iDeCoの違いと使い分け
- FIREの考え方と現実的な戦略
- 年金・少子高齢化への向き合い方

こんな方におすすめ

- 投資の勉強を始めたいが、分厚い本を読む時間がない方
- 大学生・社会人なりたての方(プレゼントにもおすすめ)
- 山崎さんの「最後の授業」をコンパクトに受けたい方

元公務員FPから一言:120ページと薄めで、忙しい方が最初の1冊として手に取るのに最適です。「お金はまず損をしないようにすること」という山崎さんのシンプルなメッセージが凝縮されており、コンパクトながら本質がつまっています

おすすめ本④:余命3ヶ月の経済評論家が息子へ遺したメッセージ

経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて

著:山崎元 / Gakken / 2024年2月15日発売

山崎さんが最後に書き下ろした、お金と人生と幸せについての「人生の教科書」です。

どんな内容か

2023年に息子が東京大学に合格したことを機に、闘病中の山崎さんが書き下ろした作品です。単なるお金の本ではなく、「働き方・稼ぎ方」「お金の増やし方と資本主義」「幸福論と人間関係」という3章で構成され、父から子への手紙として経済評論家の視点から人生の普遍的な知恵を伝えています。「本書は息子たち、娘たちに向けた、著者の遺書でもある」という言葉が印象的です。

この本で学べること

- 新しい時代の働き方・稼ぎ方(大企業・公務員・医師・弁護士の評価の変化)
- 株式を通じて資本主義の恩恵を受ける考え方
- 安易な借金・不動産投資・信用取引・FX・暗号資産を避ける理由
- 「小さな幸福論」:お金と幸せの関係
- 大人になった息子・娘への手紙

こんな方におすすめ

- 「お金の勉強だけでなく、生き方の軸を作りたい」方
- 社会人になりたての方・大学生
- 山崎元さんが遺したメッセージを、人間として受け取りたい方

元公務員FPから一言読み終えた後に胸が熱くなる一冊です。この本を読んで印象的だったのは、「お金そのものよりも、“どう生きたいか”を真剣に考えることが、結果的にお金との付き合い方にもつながる」というメッセージです。

実際に、子どもと将来の話をするときも、「いくら稼げる仕事か」ではなく、「どんな毎日を送りたいか」といった問いを意識して話すようになりました。FPとしても、相談者の方に「お金の話の前に、どんな人生を描きたいか」をお聞きするようになったのは、この本の影響が大きいと感じています。

おすすめ本⑤:お金の「なぜ?」を体系的に学ぶ

学校では教えてくれないお金の授業

著:山崎元 / PHP研究所

「お金とは何か?」という問いから始まる、お金の教養を9限で体系的に身につける一冊です。

どんな内容か

銀行・証券会社・保険会社など多くの金融機関での勤務経験を持つ著者だからこそ書けた、「お金のウラ話」が満載の一冊です。「1限目:お金との付き合い方」から始まり、収支・銀行・利回り・投資・保険・年金まで9つの授業形式で体系的に解説しています。ロングセラーとして今も読み継がれています。

この本で学べること

- お金の本質と「データ」としての捉え方
- 複利と単利の違い、「72の法則」
- 銀行・証券会社との上手な付き合い方(「客から儲けるのが彼らの仕事」)
- 保険・年金の仕組みとリスク回避のポイント
- 毎月分配型ファンドが損である理由を計算で証明

こんな方におすすめ

- 投資より先に「お金の全体観」を整理したい方
- 金融機関の商品を客観的に評価できるようになりたい方
- FP・CFPなどの資格学習と並行して読みたい方

元公務員FPから一言「銀行員が勧める商品はなぜ買ってはいけないのか」を論理的に説明できるようになる一冊。投資を始める前に一度読んでおくと、金融機関との付き合い方が根本から変わります。FP資格の勉強中の方にも、基礎の整理本として最適です。

5冊をどう読み進めればいいか:ロードマップ

・とにかく最速でNISAを始めたい  ①→②
・まず全体像を把握してから動きたい  ③→①→② 
・お金と人生の両方を学びたい  ④→①→② 
・お金の基礎を体系的に学び直したい   ⑤→①→② 
・全部読んで山崎哲学を身に付けたい  全部読もう!

まず③か①で「答え」を先に知り、②で「なぜ?」を理解し、⑤で「体系」を整理し、④で「人生観」を深める流れが最もバランスよく山崎さんの思想を吸収できます。

まとめ:山崎元さんの本で「自分で考えるお金の軸」を作る

「高利回りの商品が出るたびに迷う」「銀行員に言われるままになっている」。そんな状態を脱するために、まず山崎さんの本で「判断の軸」を身につけることが最短ルートです。

5冊に共通するメッセージは一つ。「世の中には、あなたからお金を取ろうとする仕組みがあふれている。その構造を知り、シンプルな方法で淡々と資産を積み上げること」。

山崎さんは亡くなられましたが、残してくれた本は今も私たちに語りかけています。まずは1冊、手に取ってみてください。

※本記事は書籍紹介および一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資手法を推奨・勧誘するものではありません。実際の投資判断は、ご自身の状況に応じて慎重にご検討のうえ、ご自身の責任において行ってください。

 

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- 債券の基礎がわかるおすすめ本3選|金利・格付け・個人向け国債まで学べる入門書

daily-luxlife.com

 

小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

公務員OBが退職金で後悔する3つのパターン【元公務員FPが解説】

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

退職金が振り込まれた日の「落とし穴」

定年退職の日、口座に大きな金額が振り込まれた瞬間、「やっと手に入れた」という安堵と「これをどうするか」という不安が同時に押し寄せる、という声をよく聞きます。
公務員には、公的年金・退職手当・年金払い退職給付という三つのセーフティネットがありますが、その安心感ゆえに、かえって資産を守る意識が鈍くなりがちです。

退職直後の60代は、人生で最もまとまったお金を持っている時期であり、同時に金融機関からのアプローチが最も集中する時期でもあります。

筆者は地方公務員を17年間務めたのち、独立系ファイナンシャルプランナーになりました。今回は、退職金で後悔する最もよくある3つのNGをお伝えします。

この記事を読む前に——公務員OBの退職金の"リアル"

公務員の退職金は多い。でも「安泰」ではない

地方公務員がフルキャリア(勤続35年前後)で定年退職した場合の退職手当は、自治体や職種にもよりますが、モデルケースでは2,000万円前後になることが多いです。

退職手当(一時金)に加えて、65歳以降は「厚生年金」と「年金払い退職給付(公務員独自の上乗せ年金)」が毎月入ってきます。一見、手厚い体制です。

しかし、そこには見えにくい2つのリスクが潜んでいます。

1. 運用経験のなさ:公務員は現役時代、投資をする必要性を感じにくい環境にいます。退職してから初めて「大金の運用」に直面するのです。

2. 金融機関のアプローチ:退職金の大型入金を銀行はすぐに把握します。「おめでとうございます」の電話が来るころには、すでに勧誘リストに入っています。

この2つが重なるからこそ、公務員OBには特有の"やってはいけないパターン"が生じます。

過度に心配する必要はありません。ひとつずつ確認していきましょう。


NG①:銀行・証券会社の窓口に「相談」してしまう

退職金が振り込まれた翌日に銀行から電話が来たら…

「お客様、このたびはご退職おめでとうございます。ご資産の運用について、ぜひご相談させてください」。

このような電話が、退職金が振り込まれてまもなく来ることがあります。長年の取引先への信頼感から「ちょっと話を聞いてみようか」と足を運ぶのは自然な心理です。しかしここに最初の落とし穴があります

銀行や証券会社の担当者は、「自社の商品を販売する」という役割を背負っており、必ずしもお客様の長期的な資産形成だけを軸に提案しているとは限りません

これはビジネスとして当然のことですが、「相談に来た」つもりが「購入の場」になっていることに気づきにくいのです。

窓口で勧められやすいNG商品の構造

ファンドラップ(資産一任サービス)

ファンドラップとは、資産の運用をプロにすべて任せるサービスです。

ファンドラップ残高は、2019年度以降、主要行や大手証券を中心に増加傾向が続いています。市場全体では、各種報道ベースで残高約24兆円規模に達したとされています。

出典:リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果について(2024事務年度):金融庁

問題はコストです。投資信託の信託報酬に加え、「ファンドラップ手数料」と「投資顧問料」が上乗せされ、合計で年1.5〜3%程度の手数料がかかることがあります。仮に2,000万円を年2.5%の手数料で10年保有した場合、手数料だけで500万円超が消えていく計算です。

・「退職金限定・高金利定期預金」とのセットプラン

「退職金を預けると年率7〜10%の特別定期預金が利用できます」。魅力的に見えますが、この高金利が適用されるのは「最初の3か月だけ」です。

しかも、セット購入が条件の投資信託には3〜4%程度の販売手数料がかかることも多く、3か月の利息よりも手数料の方が高くなるケースが実際に起きています。

・外貨建て保険・毎月分配型投資信託

外貨建て保険は為替リスク・解約ペナルティ・手数料の三重苦があり、高齢期に加入すると元本割れリスクが高まります。

毎月分配型投資信託は、受け取る「分配金」が実は運用益ではなく元本から取り崩されている"タコ足配当"になっていることもあります。

 

金融庁も問題視している現実

金融庁は、一部の金融機関について「顧客の安定的な資産形成につながらない販売が行われている」といった趣旨の指摘を行っています。

出典:リスク性金融商品の販売・組成会社による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果について(2024事務年度):金融庁

これは公式文書での指摘です。「相談しているつもり」が「高コスト商品を買わされているだけ」という状況が、実際に多く発生しているからこそ、規制当局が動いているのです。

元公務員FPからの一言
「銀行・証券会社の担当者を悪人だと言いたいのではありません。ただ、彼らは「助言をしてくれる存在」であると同時に、「販売ノルマを持つ営業担当」でもあります。自分たちが儲かる商品を勧めるのはビジネスとして当然のこと。だからこそ、売りたい商品のない独立系FPへの事前相談が、退職金を守る最初の一手になります。」


NG②:退職金を全額、普通預金に放置してしまう

「全額現金」は"攻めない"のではなく、"インフレに攻められる"選択

「銀行窓口で勧められるままに高コスト商品を買ってしまう」ことを恐れるあまり、逆の極端に走る方も少なくありません。「もう何もしない、全部普通預金に置いておく」というパターンです。

気持ちは理解できます。大切な退職金を減らしたくない。誰かに騙されたくない。その心理は自然です。

しかし、「全額を現預金に置く」という選択は、じつは「インフレに静かに攻められ続ける」という選択でもあります。

インフレが退職金を目減りさせる現実

現在、日本はデフレからインフレへと転換しつつあります。物価が年率1〜2%上昇し続ける環境では、現金の購買力は毎年少しずつ低下します。

2,000万円を普通預金に置いたまま20年経過した場合(年率2%のインフレ想定)、「数字の上では2,000万円のまま」でも「実質的な価値は約1,340万円相当」まで目減りします。

公務員OBの方が「全部現金で安全」と感じるのは、現役時代に投資の必要性を感じずに済んでいたからこそです。しかしその感覚は、退職後の20〜30年という時間軸では通用しなくなります。

インフレリスクとは、"お金を减らす敵"ではなく"お金の価値をゆっくり溶かす時間"です。

「必要なリスク」という考え方

ここで大切なのが「必要なリスク」という視点です。

すべての老後資金を現預金で持ち続けることは、「リスクゼロ」ではなく、「インフレという一方向のリスクに全面的にさらされている状態」と言えます。

まず「守りの起点」として使いやすいのが「個人向け国債(変動10年型)」です。

www.mof.go.jp

・元本は国が保証(国債のため、事実上の元本保証)
・金利は半年ごとに見直される変動型
・購入から1年後は、いつでも中途換金可能
・最低1万円から購入できる

全額を株式投資に回す必要はありません。「まず個人向け国債で守りを固めながら、一部を低コストのインデックスファンドで育てる」というバランスが、退職後の運用の基本形です。

元公務員FPからの一言
「まず生活費の2年分を普通預金に残し、残りを“何のための資金か”で仕分けしてみてください。それだけで、全額放置よりも次の一手が見えやすくなります。」


NG③:老後資金の総額を把握しないまま大きく動かす

「いくら使っていいか」を知らないまま、気づけば底をついていた

退職金が入ると、金銭感覚が麻痺することがあります。

・「孫にプレゼントをたくさんしてあげたい」
・「ずっと行きたかった旅行に行こう」
・「念願のキッチンリフォームをしよう」

どれも素晴らしいことです。しかし、計画なく気づけば数百万円が消えていた、というケースは決して珍しくありません。

「年金があるから何とかなる」という感覚は、公務員OBに特有の安心感です。しかし年金だけで生活費のすべてをまかなえるケースは、そう多くありません。

まず計算すべき「使っていい金額の上限」

退職金を動かす前に、次の計算を必ずやっておくことをおすすめします。

ステップ1:月々の不足額を出す

月々の生活費(夫婦合計)— 毎月の年金収入(厚生年金+年金払い退職給付)= 月々の不足額

ステップ2:老後の総不足額を出す

月々の不足額 × 12か月 × 想定年数(例:25年)= 最低限必要な老後資金

この数字を先に出すことで、「退職金のうち、絶対に減らしてはいけない金額」が明確になります。そして「残り=動かしていい余裕資金」が分かります。

ステップ3:退職金を3つに仕分けする

退職金を3つの口座(役割)に分けてから運用を始めることが、失敗を防ぐ最も基本的な方法です。

①使う口座
生活防衛資金(緊急用)+近い将来の出費
生活費×24か月分+直近5年の大型出費予算 

②守る口座
元本を守りながらインフレに対応
個人向け国債・短期債券ファンドなど

③育てる口座
長期的な資産の維持・成長
低コストインデックスファンド・バランス型ファンド

①②を確保してからはじめて、③に回す金額が決まります。①②が確保できていない状態で③に手を出すのが、最も危険なパターンです。

元公務員FPからの一言
「退職金は"今手元にあるいちばん大きなお金"ではなく、"これからの生活を支える最後の大きな資本"です。使い方を決める前に、まず1枚の紙に"月々いくら入ってきて、いくら出ていくか"を書いてみてください。それだけで、かなり頭が整理されます。」

 

では、どう動けばいいのか——「安全運用と必要なリスク」の考え方

3つのNGを整理すると、共通するキーワードが浮かび上がります。

「急がない・分散する・自分の全体像を把握してから動く」

退職金の運用は、急いで始めることが最大のリスクです。退職直後の1〜3か月は"様子見期間"として、大きな意思決定をしないことが鉄則です。

その上で、次の「3ゾーン」を意識した配分を検討してみてください。

・守るゾーン

生活防衛資金・緊急用
普通預金・MRF・退職金定期預金(純粋な預金プランのみ) 

・安全に育てるゾーン
「個人向け国債(変動10年)・国内債券ファンド → などの安全資産」

・リスクを取って育てるゾーン
「新NISA(低コストインデックスファンド)・バランス型ファンド → などの長期分散投資」

「リスクを取って育てるゾーン」にいくら回すかは、前項で計算した「月々の不足額×年数」から逆算して決めます。「老後資金として最低限必要な金額は絶対に減らさない」というルールを守れば、残りは少しリスクを取っても問題ありません。

一度に全額を動かすのではなく、3〜6か月かけて段階的に投資することで、「高値づかみ」のリスクも分散できます。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。 

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小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

公務員の「退職金と年金」を3つの箱で整理【元公務員FPが図解】

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。


「退職金って結局いくらもらえるの?」と聞かれたとき、多くの公務員の方が「だいたい2,000万円くらい……」と答えます。

ただ、この答えは「退職時にもらう一時金」と「退職後に毎月もらう年金」をごちゃ混ぜにしていることが多く、半分しか正しくありません。

公務員が退職後に受け取るお金には、「退職金(一時金)」だけでなく、「厚生年金」「公務員だけの上乗せ年金(年金払い退職給付)」も含まれます。これを全部まとめて"退職金"と呼んでいるから、混乱が起きるのです。

この記事では、公務員歴17年・現在は独立系FPとして活動する筆者が、「公務員のお金の全体像」を"3つの箱"というシンプルな図で整理します。

まず"3つの箱"に分けて考える

公務員が退職後に受け取るお金は、大きく3つの箱に整理できます。

・箱A「退職手当(一時金)」
→退職するとき、一度だけまとまった額を受け取るお金(住宅ローンの返済やまとまった運用資金にしやすい性格のお金)。

・箱B「厚生年金(公的年金)」
→現役時代の給与と加入期間で決まり、65歳から生涯にわたって毎月受け取るお金。

・箱C「年金払い退職給付」
→公務員だけの上乗せ年金で、やはり65歳から毎月受け取るお金。厚生年金に「プラスα」するイメージです。

この3つはそれぞれ、「いつもらうか」「どんな形でもらうか」「金額の決まり方」がまったく異なりますので、1つずつ丁寧に説明します。

まずは、この3種類のお金があることを押さえておきましょう。

箱A:退職手当(一時金)の仕組み

そもそも退職手当とは何か

退職手当とは、退職した日にまとまった現金が口座に振り込まれる"一時金"です。法律(国家公務員退職手当法)や各自治体の条例に基づき、原則として支給されます(一定の条件あり)。

民間企業では「退職金のない会社」も珍しくありませんが、公務員の場合は法令で定められているため、条件を満たせばもらえます。

金額の決まり方:3つの要素

退職手当の額は、次の計算式で決まります。

退職手当 = 基本額(俸給月額 × 支給率)+ 調整額

ポイントは「勤続年数」と「退職理由」の2つです。

勤続年数が長いほど、支給率が上がる(年功序列の設計)
定年退職と自己都合退職では、支給率が大きく異なる

たとえば、国家公務員の定年退職で勤続35年以上の場合、支給率は47.709にもなりますが、自己都合退職だと同じ勤続年数でも大幅に低い支給率が適用されます(地方公務員もおおむね同様の設計です)。

定年退職 vs 自己都合退職の金額差

退職理由 ・勤続年数 ・退職手当のイメージ

 

元公務員FPの実体験コラム

筆者自身は地方公務員(埼玉県羽生市)を17年間務めたのち、独立するため自己都合で退職しました。退職手当(一時金)は約550万円でした。定年まで勤めた場合との差を数字で見たとき、「思っているよりも差がある」と実感しました。

ライフプランと照らし合わせて「どのくらいなら許容できるか」を事前に確認しておくことが大切です。

箱B:厚生年金(公的年金)——共済年金との「一元化」を1分で理解する

昔と今で、何が変わったのか

公務員の年金制度は、2015年(平成27年)10月に大きく変わりました。それ以前は、公務員だけの独自の年金「共済年金」があり、一般の会社員(厚生年金)より手厚い"3階建て構造"になっていました。

しかしこの「共済年金と厚生年金の格差」に批判が集まり、「同じ保険料を負担し、同じ年金給付を受けるべき」という公平性の観点から、一元化が実施されました

「公務員の特別扱いがなくなった」というより、「上乗せ部分の形が変わった」というのが正確な理解です。

一元化後も、「年金払い退職給付」という形で、厚生年金に上乗せされる部分は残っています。ただし、旧来の職域加算と比べると水準は抑えられていると考えられます。

 

今の公務員の厚生年金はどうなっているか

・保険料率は民間会社員と同じ18.3%(労使折半)に統一
・加入期間・標準報酬月額(給与・賞与の平均)に応じて年金額が決まる
・受給開始は原則65歳(繰り上げ・繰り下げ可能)

厚生年金は「現役時代の給与が高く、長く働くほど、もらえる年金額が増える」設計です。

箱C:年金払い退職給付——いちばん「よく分からない」部分を解剖

一言で言うと「公務員専用の企業年金」

年金払い退職給付とは、公務員が在職中に積み立てていく"上乗せ年金"です。民間企業でいう「企業年金(確定給付型)」に近い仕組みです。

2015年(平成27年)10月に、廃止された「職域加算」の代わりとして新たに創設されました。

在職中、何が積み立てられているのか

毎月の標準報酬月額(給与・ボーナスを月換算した数字)に一定の割合をかけた「付与額」が積み立てられます。これに利子(国債利回りに連動した基準利率)がつき、退職時点までの積立合計が「給付算定基礎額」と呼ばれます。

モデルケース(標準報酬月額41万円・40年加入)では、65歳時点の給付算定基礎額は約402万円になるとされています。

引用(国家公務員共済組合連合会):退職等年金給付制度の平成30年財政再計算および財政検証(平成29年度末)の結果について.pdf

受け取り方:「2本立て」のイメージ

退職時に積み上がった「給付算定基礎額」は、半分ずつ2種類の年金に分けて受け取ります。

終身退職年金:亡くなるまで毎月受け取る。モデルケースで月約7,466円
有期退職年金:10年または20年の期間を選ぶ。モデルケースで月約8,541円(20年の場合)

つまりモデルケースでは、合計で毎月約16,000円の上乗せ年金が65歳から受け取れる計算です。なお、有期退職年金については、請求から6か月以内に手続きすれば「一時金」での受取も選択できます。

対象になる人の条件

・いつから積み立てが始まるか
 ➡2015年(平成27年)10月1日以降

・最低必要な組合員期間
 ➡1年以上の引き続く組合員期間

・いつからもらえるか
 ➡65歳に達した退職後

つまり「2015年10月以降もしばらく公務員を続け、1年以上の組合員期間がある人」が対象です。2015年以前にすでに退職していた方は、この制度の対象にはなりません。

「自分にいくら積み立てられているか」を調べる方法

年金払い退職給付の"残高"は、共済組合から定期的に届く「給付算定基礎額のお知らせ(残高通知書)」で確認できます。

ねんきん定期便(日本年金機構から毎年届く封書)には、この年金払い退職給付の金額は記載されていません。「ねんきん定期便の金額=自分の老後の年金の全部」と思い込んでいる公務員の方は要注意です。

あなたはどのタイプ?世代別・3パターンで整理

公務員の年金構造は、いつ働いていたかによって変わります。自分がどのタイプかを確認してみましょう。

タイプA(旧共済世代)2015年9月以前に退職
➡退職共済年金(旧制度のまま継続)

タイプB(一元化またぎ世代)2015年前後に勤務→これから退職
➡厚生年金+退職共済年金(経過的職域加算額)+年金払い退職給付(2015年10月以降分)

タイプC(新制度世代) 2015年10月以降の採用・現役
➡厚生年金+年金払い退職給付

特に現在50代以上で在職中の方は「タイプB(またぎ世代)」に該当することが多く、旧共済年金の経過的な部分と、新しい年金払い退職給付の両方が絡む複雑な構造になります。

私も一番複雑なタイプBに該当します。

ライフプランで見ると、何が大事か

「一時金」と「毎月の年金」は、用途もタイミングも別物

3つの箱を整理すると、次のことが見えてきます。

退職手当(箱A):退職日に一度だけまとまった大金が入る。
「住宅ローン完済」「運用の元本」など"初期の大きな意思決定"が問われる

厚生年金(箱B)+年金払い退職給付(箱C):65歳以降、毎月のキャッシュフローとして入ってくる。「月々の生活費の土台」になる。

この2つを混同して「退職金(=一時金)で老後の生活費も賄おう」と考えると、計画が大きく狂います。

退職後の月々の収入を"ざっくり"イメージする

65歳以降の月収は、次のように足し算で考えます。

月々の受取年金 = 老齢厚生年金(A)+ 老齢基礎年金(B)+ 年金払い退職給付(C)

モデルケース(標準報酬月額41万円・40年加入)では、年金払い退職給付だけで月約1.6万円の上乗せになるとされています。「ねんきん定期便の金額+約1.6万円(目安)」が、公務員の老後の月収の目安、と考えると少しイメージしやすくなります。

ぜひ一度、通知を確認して、年金収入を確認してみてください!

制度を知った次のステップ

ここまでで、「退職後にもらえるお金が、退職手当(一時金)と、65歳以降の毎月の年金(厚生年金+年金払い退職給付)」という2つの性格の違うお金に分かれていることが分かりました。

まとまった退職一時金は、受け取ったあとの"最初の動かし方"が最も重要です。

ここで多くの公務員OBが陥るのが、

銀行の窓口での勧誘に乗ってしまう
・全額を普通預金に放置してしまう
・老後の総額を把握しないまま大きく動かしてしまう

という3つの失敗パターンです。

次の記事では、そのうち「箱Aの退職一時金」をどう活用するか、元公務員FPとして「絶対に避けたい落とし穴」を具体例を交えて解説します。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。※本記事は、公務員の退職金・年金制度に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を勧誘するものではありません。最終的な退職・年金・運用に関する意思決定は、読者ご自身の責任において行ってください。

小林良(こばやしFP事務所)

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小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

債券の基礎がわかるおすすめ本3選|金利・格付け・個人向け国債まで学べる入門書【債券初心者向け】

※当記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。詳細はプライバシーポリシーをご覧ください。また、本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

ソフトバンクグループの個人向け劣後債が話題になったことで、「そもそも債券ってよく分からない」「国債と社債って何が違うの?」と感じた方も多いのではないでしょうか。

株や投資信託と比べて、債券はとっつきにくい印象を持たれがちです。でも実際には、金利と価格の関係・格付け・個人向け国債の選び方さえ押さえれば、資産形成の選択肢を一気に広げることができます

この記事では、投資歴20年超の独立系FPが、債券初心者の方でも読み進められる入門書を3冊に厳選してご紹介します。「難しそう」と感じている方こそ、まず1冊手に取ってみてください。

この記事で紹介する3冊を選んだ基準

本選びには、以下の3つを基準にしました。

・図解・事例が多く、数式が最小限であること
・国債・個人向け国債・社債・劣後債まで幅広くカバーしていること
・日本の個人投資家が実際に使える情報が含まれていること

「専門家向けの教科書」ではなく、「投資初心者〜中級者の最初の1冊・2冊目」として自信を持っておすすめできる本だけをピックアップしています。

3冊の一覧

①図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書 土屋剛俊(監修)
 難易度★★☆ まず全体像を知りたい初心者

②教養としての「債券」田渕直也
 難易度★★★    金利・経済まで深く理解したい方

③元証券マンが教える 利回り18.5%を実現する米国債投資 ようへい
 難易度★☆☆    米国債・ETFに興味がある方

今回ご紹介した3冊は、債券の基礎を学ぶ際の選択肢の一例として参考になるはずです。

おすすめ本①:債券の全体像を「地図」として一気につかむ入門書

図解即戦力 債券のしくみがこれ1冊でしっかりわかる教科書

監修:土屋剛俊 / 技術評論社 / 1,760円(税込)

まず1冊だけ選ぶなら、多くの方にとってはこの本からスタートすると理解しやすい

どんな内容か

「債券ってなに?」というところから始まり、種類・市場・売買のしくみ・リスク・個人で買える債券まで、債券の全体像を200ページでカバーしています。図が多くページをめくりやすく「難しい言葉が出てきたら止まってしまう」という方にも読み通しやすい構成です。

この本で学べること

・債券と株式の違い(値動きの仕組みや性質の差)
・国債・地方債・社債・劣後債など、種類ごとの特徴と違い
・金利が上がると債券価格が下がる、という「逆の関係」の仕組み
・格付けの意味と読み方
・個人が実際に買える債券の選び方

著者プロフィール

監修の土屋剛俊氏は、野村証券チーフクレジットアナリスト・JPモルガンチェース銀行・バークレイズ・キャピタル証券などを歴任した債券のプロフェッショナル。現在は土屋アセットマネジメント社長を務め、CFA協会認定アナリストの資格も持ちます。

こんな方におすすめ

・「債券」という言葉は聞いたことがあるが、具体的には説明できない方
・ SBG劣後債の記事を読んで「劣後債・格付け・コールって何?」と感じた方
・これから個人向け国債や社債の購入を検討したい方

FPから一言:まず「債券の地図」をこの1冊で頭に入れておくと、その後に出てくる個別商品(個人向け国債・社債・劣後債など)の話が格段に理解しやすくなります。


 おすすめ本②:「なぜ金利が動くと経済が動くのか」まで理解できる一冊

教養としての「債券」

著:田渕直也 / 日本実業出版社 / 2,200円(税込)
「債券のしくみは分かった。でも、もう少し深く、金利と経済の関係まで理解したい」という方にぴったりの一冊です。

どんな内容か

「教養としての〇〇」シリーズの第14弾として2025年11月に発売された話題書です。FRBの金利政策や日銀の出口政策に注目が集まる現在、金利と表裏一体の関係にある債券を「教養」という切り口で学び直す構成になっています。難解な専門知識を簡潔に整理する筆力で定評のある著者が、面白く読めてかつ読み応えのある入門書を書き上げています。

この本で学べること

・債券市場の成り立ちと歴史的背景
・債券のキャッシュフローと利回りの考え方
・金利リスクと信用リスク(格付けの見方)
・イールドカーブの読み方
・ハイブリッド債・外国債など、個性豊かな様々な債券

著者プロフィール

田渕直也氏は、日本長期信用銀行・UFJパートナーズ投信・不動産ファンド運用会社社長・生命保険会社執行役員を経て、現在はミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役。シグマインベストメントスクール学長。金融関連書の著者として長年多くの読者に支持されています。

こんな方におすすめ

・すでに株式・投資信託を持っていて、ポートフォリオに債券も加えたい方
・「金利と債券の逆の関係」が頭では分かっていても、腹落ちしていない方
・FRBや日銀の動向がニュースになるたびに「どういうこと?」と感じる方
・CFPや証券外務員などの資格学習と合わせて整理したい方

FPから一言:FPの資格勉強で一通り学んだ方にも「ここまで整理して書かれた本は初めて」と評判の一冊です。単なる入門書に留まらず、経済全体を金利の視点から読む力が身につきます。


おすすめ本③:「米国債をETFで買う」実践的ノウハウが分かる入門書

元証券マンが教える 利回り18.5%を実現する米国債投資

著:ようへい / KADOKAWA / 1,760円(税込)

「そもそも債券って投資できるの?」「米国債ってどうやって買うの?」という、より実践的な疑問に答えてくれる一冊です。

どんな内容か

チャンネル登録者25万人超の「元証券マン」YouTuber・ようへい氏による初著書です。マクロ経済の難しい説明を省き、「個人が実際に稼げる手法」として米国債券のノウハウを紹介しています。債券ETFなら数万円から購入でき、(市場環境によりますが)年利3〜7%程度のクーポン収入を目指す方法や、金利下落局面で売却益を狙う考え方を、初心者向けにやさしく解説しています。※将来の利回りや収益を保証するものではありません。

この本で学べること

・米国債の基本(なぜ米国債が安全と言われるのか)
・債券ETFを使った手軽な投資方法と銘柄選び
・金利上昇時に長期債を仕込むタイミングの考え方
・インカムゲイン(クーポン収入)の再投資で資産を雪だるま式に増やす方法
・高配当株投資と米国債投資の違いとメリット比較

著者プロフィール

著者のようへい氏は、元証券会社勤務を経て独立したFP・YouTuber。数多くの富裕層の資産管理に携わってきた実績を持ちます。

こんな方におすすめ

・「米国債」に興味があるが、買い方が分からない方
・高配当株は難しいと感じていて、もっとシンプルな投資法を探している方
・数万円の少額から債券投資を始めてみたい方
・NISAの成長投資枠で債券ETFを検討したい方

一点だけ注意:タイトルにある「18.5%」は長期ゼロクーポン債を利用した特殊なシナリオでの試算です。一般的な米国債投資で毎年18.5%の利回りが保証されるわけではありません。※本書のシミュレーションは、特定の前提条件に基づく一例であり、同様の結果を保証するものではありません。

タイトルに惹かれた方も、内容は非常に実践的で分かりやすい一方で、利回りは市場環境に左右されることを前提に読んでいただくと良いでしょう。


3冊をどう読み進めればいいか:ロードマップ

タイプ 読む順番
とにかく全体像を知りたい ①だけでOK
金利・経済まで深く理解したい ①→②
米国債・ETF投資を実践したい ①→③
債券を体系的に学びたい ①→②→③の順で全部

まず①で「債券の地図」を頭に入れてから、②で金利・格付けを深掘りするか、③で実践に進むか、自分の目的に合わせてルートを選ぶと効率的です。

 まとめ:本で基礎を固めると、個別商品を見る目が変わる

債券の基礎を一度本でしっかり整理しておくと、どんな個別商品が出てきても自分なりの判断軸で考えられるようになります

たとえば、ソフトバンクグループの個人向け劣後債のような商品も、「劣後債の返済優先順位」「コール条項の仕組み」「格付けの意味」「LTVの読み方」を知っていれば、リスクを自分の言葉で整理できます。

「高利回り→なんとなく良さそう」ではなく、「この利率は何のリスクに対する補償か」を問いかけられるようになること。そのための土台として、今回ご紹介した3冊はきっと役立ちます。焦らず、まずは基礎から。それが長く資産を守る最短ルートです。

※本記事は、債券に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の取得・売却を勧誘するものではありません。実際の投資判断は、必ずご自身の判断と責任で行ってください。債券・ETFなどへの投資は、元本割れを含む価格変動リスク・為替リスク・信用リスク等を伴います。利回りや将来の成果を保証するものではありません。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

 

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小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー

ソフトバンクグループ個人向け劣後債とは?「実質5年債」とコールスキップを債券初心者向けに解説

本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

2026年4月、ソフトバンクグループ(SBG)が個人投資家向けに第8回ハイブリッド社債(劣後特約付)の募集を開始しました。「年4.97%(税引前)」という高い利率が注目を集め、SNSや金融界隈でも話題になっています。

一方で「35年満期の劣後債」「コールスキップ」「LTV問題」など、馴染みのない言葉が並び、「結局、買っていいの?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、投資歴20年超の独立系FPが債券初心者の方でも理解できるよう、今回のSBG劣後債の仕組みとリスクをわかりやすく整理します。

今回のSBG劣後債、まず基本スペックを整理しよう

まず、今回の債券の基本的な情報を確認しましょう。

項目 内容
正式名称 第8回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)
発行総額 4,180億円
期間(満期) 35年(2061年4月22日満期)
利率(当初5年) 年4.97%(税引前)・年3.96%(税引後)
5年後以降の利率 1年国債金利+3.383〜4.133%(変動金利)
格付け BBB+(JCR)
購入単位 100万円以上、100万円単位
初回コール日 2031年4月22日(発行から5年後)

国内ハイブリッド社債(利払繰延条項付)の条件決定に関するお知らせ | ソフトバンクグループ株式会社

発行体は「SBG=ソフトバンクグループの持株会社」です。携帯電話のソフトバンク(子会社)とは異なり、AI・スタートアップ投資を主軸とした投資会社としての性格が強いということを押さえておきましょう。

「劣後債」って何?普通の社債と何が違うの?

ここが債券初心者の方が最もつまずきやすいポイントです。

・普通社債(一般債)は、会社が借金をするための証書。会社が破綻した場合、まず普通社債の保有者にお金が返ってきます。

・劣後債は、同じ借金でも「もし会社が倒れたとき、普通社債の人が全員返済を受けた後でないと、返済してもらえない」という約束がついた債券です。

返済の優先順位(上が先)
銀行借入・普通社債
今回の劣後債(←ここ)
優先株式
普通株式(一番最後)

つまり、万一のときは「後回し」にされるリスクがある分、その補償として高い利率が設定されているわけです。

さらに今回の債券には「利払繰延条項」もついています。これは、SBG側の裁量で利息の支払い自体を後回しにできるという特約です。

通常の社債では考えられない条項ですが、こうした「株式に近い性質(資本性)」を持たせることで、格付け機関から資本として評価してもらうという設計になっています。

なぜ「実質5年債」と言われるの?

「満期は35年なのに、5年で返ってくると聞いた」―この噂の正体を解説します。

今回の債券には「期限前償還条項(コール条項)」がついています。これは、発行から5年経過した2031年4月22日以降、「SBGが好きなタイミングで繰上償還(早期返済)できる」という権利です。

過去の国内劣後債では、発行体が初回のコールタイミングで償還を行うのが慣行でした。そのため、多くの投資家や市場参加者が「今回も5年で返ってくるだろう」と考え、「実質5年債」と呼んでいるわけです。

ただし、これはあくまで「慣行」であって「約束」ではありません

「慣行」と「契約」の違い
慣行:「これまでそうしてきた」という習慣・暗黙の期待
契約:「こうしなければならない」という法的義務
今回の契約書(目論見書)には「5年で必ず返す」とは書かれていません。

コールをスキップされたら、どうなるの?

「5年で返ってこなかったら」というシナリオを具体的に考えてみましょう。

投資家が受けるダメージ

①資金が長期間拘束される

「5年で返ってくる」前提で買った100万円が、5年後に返ってこない。次のコール日は半年後、さらに半年後、最悪35年後の満期まで続く可能性があります。

②債券の市場価格が下がりやすい

コールスキップは「SBGの財務状況が厳しいのでは」というシグナルとして受け取られやすく、市場での売却価格が大きく下落する可能性があります。実際、海外の劣後債・AT1債でコールスキップが起きたケースでは、価格が大幅に下がった事例も過去にあります。

③5年後以降は変動金利に変わる

5年経過後に償還されなかった場合、利率は「1年国債金利+3.383%」の変動金利に切り替わります。今の金利環境次第では、当初の4.97%を下回る可能性もゼロではありません。

SBGがスキップを選ぶとしたら

発行体が初回コールをスキップするのは「ルール違反」ではありません。想定されるシナリオとして
・金利が大幅に上昇していて、借り換えコストが跳ね上がる場合
・市場の混乱でSBGが新規発行できない状況の場合
・OpenAIなど大型投資の影響でキャッシュが不足している場合

こうした事態が重なると、「今の条件で持ち続けた方が会社として合理的」という判断が働きます。

コールスキップは「発行体からは合理的な判断」でも、「投資家には不利なイベント」として受け止められます。

格付け「BBB+」って、安全なの?

今回の格付けはJCR(日本格付研究所)によるBBB+です。
格付けはアルファベットで示され、大まかに以下のように分かれます。

ゾーン 格付け イメージ
高格付け AAA〜AA 国債・大手銀行レベル
投資適格(上) A〜BBB 大企業の一般社債
投資適格(下) BBB+ 今回の劣後債←
投機的 BB以下 いわゆる「ジャンク債」

BBB+は「投資適格の中の下寄り」です。すぐに危険というわけではありませんが、経済ショックや業績悪化があれば格下げされる余地がある水準でもあります。

また、ここで注意が必要なのは「格付けは劣後債としての評価」という点です。仮にSBGの普通社債がAランクなら、劣後債はそれより一段階低くなるのが通例です。つまりBBB+は、同社の発行体としての格付けよりも低い評価を受けていることになります。

LTVって何?なぜ問題になっているの?

「LTV」(Loan to Value)という言葉もよく出てきます。

LTV=借金÷保有資産の価値

たとえば、1億円の株を持っていて、3,000万円の借金があれば、LTV=30%です。この比率が高いほど「資産に対してレバレッジ(借金)が大きい」状態です。

SBGは長年「平時はLTV25%未満、異常時でも35%を上限」と説明してきました。

ところが、2026年2月にOpenAIへの300億ドル(約4.7兆円)の追加出資を発表したことで状況が変わってきています。S&Pなどの外部格付機関は「OpenAIへの大型投資でLTVが35%を超える可能性がある」と指摘しています。

SBGの「自己申告の財務目標」と、外部格付機関の「実勢の見立て」にズレが生じている状態です。

「政府保証みたいなもの」という話は本当?

一部の市場関係者から「孫正義氏が日米通商交渉の要であり、SBG社債は実質的に政府保証に近い」という声もあります。

結論から言えば、法的な政府保証は一切ありません。

孫正義氏がAI・テクノロジー分野において日米間の政治・外交で大きな影響力を持つのは事実ですが、それは「日本政府が支援するかもしれない」という推測に過ぎず、契約上・法律上の裏付けはありません。

「なんとなく安心」と「法的に守られている」は全く別です。投資判断では、この2つを厳密に分けて考えることが大切。

誰に向いている?誰には向いていない?〜FP視点で整理〜

今回の第8回SBG劣後債を、FP視点で整理してみます。

向いている可能性がある方

・SBGの事業(AI・スタートアップ投資)の将来に確信を持っている方
・今回の仕組みとリスクをすべて理解したうえで購入を検討できる方
・ポートフォリオ全体の一部(たとえば5%以内)として組み込む想定の方
・万一コールが来なくても変動金利で長期保有できる資金余力がある方

このような条件を満たす方のほうが、今回のような劣後債の特徴と相性が良い傾向があると一般論として考えられます。ただし、最終的な投資判断は、必ず個々の資産状況・目的・リスク許容度を踏まえ専門家と相談のうえで行ってください。

向いていない可能性が高い方

・「5年で必ず返ってくる」前提で資金計画を立てている方
・元本の安全性を最重視している方(老後資金・生活防衛資金など)
・100万円という最低購入単位が、資産全体に対して大きな割合を占めてしまう方
・SBGのビジネスモデルやLTVの意味をよく知らないまま高利率だけに惹かれている方

まとめ:「5年か35年か」それを決めるのはSBGです

今回のSBG個人向け劣後債を一言で表すなら、「名目35年、実績ベースでは5年、でも保証はない」という少し特殊な設計の社債です。
高い利回りの背景には、劣後特約・利払繰延条項・コールスキップの可能性・LTVの高さといった、いくつものリスク要因が折り重なっています。

多くの投資家が注目する「5年で返るかどうか」は、あくまでこれまでの“慣行”であって、「必ず5年で償還される」という契約上の約束ではありません。
「5年で終わるのか、35年まで続くのか」を決める権利を持っているのは、投資家ではなく発行体であるSBG側です。

だからこそ、この商品は「短期でおいしい高利回り商品」ではなく、「SBGの財務やビジネスモデルまで含めて理解したうえで、ポートフォリオの一部として慎重に検討すべき商品」と捉えるのが妥当だと考えています。
よく分からないまま話題性や利回りだけで飛びつくのではなく、ご自身のリスク許容度と資金計画に照らして、「本当に自分に必要なリスクかどうか」を一度立ち止まって考えてみてください。

補足:安全の選択肢として「個人向け国債」という手もあります

ここまで、ややリスクの高めな劣後債の話をしてきましたが、「債券で利息を受け取りながら資産を守りたい」というニーズに対しては、もっと安全寄りの選択肢もあります。代表的なのが「個人向け国債」です。

個人向け国債は、日本政府が個人向けに発行している国債で、元本や利払いについては国が責任を負う仕組みになっています。

個人向け国債窓口トップページ : 財務省

種類は「変動10年」「固定5年」「固定3年」の3つがあり、利率は決して高くはありませんが、その分、一般的には元本割れしにくい安全性とのトレードオフになっています。

5年後には必ず教育資金として使いたい」「老後資金の一部はできるだけ減らしたくない」といったお金については、SBG劣後債のようなリスク性の高い商品ではなく、個人向け国債のような安全サイドの商品が選択肢として考えられます。
今回の記事が、「高利回りの社債」と「安全寄りの国債」、それぞれの立ち位置を考えるきっかけになればうれしいです。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。

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小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー