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【2026年6月】年2.8%超の地方債って安全なの?共同発行市場公募地方債をFPがやさしく解説

本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。また本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品・サービスへの投資を勧誘・推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。なお、本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

2026年6月、年2.8%超の利回りを持つ10年債の地方債が発行されます。
発行体は「1つの自治体」ではなく、37の都道府県・政令市が連帯して保証する仕組みの債券です。

この記事では、第279回 共同発行市場公募地方債について、投資初心者の方向けに、投資歴20年超の独立系FPが仕組み・安全性・リスク・購入方法をやさしく解説します。

■この記事でわかること■
・「地方債」と「共同発行市場公募地方債」の違い
・第279回の発行条件
・初心者が注意すべき3つのリスク

 


地方債とは?まず基本から

地方債とは、都道府県や市区町村などの地方公共団体が、道路・学校・インフラ整備などの資金を調達するために発行する債券のことです。

わかりやすく言うと、「地方自治体にお金を貸して、利子をもらいながら、満期に元本が戻ってくる金融商品」です。

国が発行するのが国債、企業が発行するのが社債、そして地方自治体が発行するのが地方債、と覚えておきましょう。

安全性の序列イメージ

種類 発行体 信用の目安
国債 日本国政府 最高水準
地方債 都道府県
市区町村
国債に次ぐ高水準
社債 民間企業 企業ごとに差あり
株式 民間企業 リスク大・リターン大

地方債は、歴史的に元本・利息の支払いが止まった事例は極めて限定的で、国債に次ぐ安全性を持つ金融商品として評価されています。

FPコメント:地方債は国が暗黙に支える存在です。地方財政法により、自治体の財政が悪化しても国が関与できる制度的バックアップがある。だから社債とは根本的にリスクの質が違います。

 

「共同発行」って何?

通常の地方債は、各自治体がそれぞれ個別に発行します(例:埼玉県債、千葉県債)。

一方、共同発行市場公募地方債は、37の地方公共団体が共同で1本の債券を発行する仕組みです。2003年4月から毎月発行が続いており、地方債市場の中では最大級の規模を誇ります。

<参考>共同発行市場公募地方債(共同債)共同発行市場公募地方債(10年) | 一般財団法人 地方債協会


「連帯債務」という強力な保証

最大の特徴は、参加する全団体が発行額全額について連帯債務を負う点です。

つまり、仮にどこかの自治体が財政上の問題を抱えても、残りの36団体が肩代わりして返済する義務を負います。

「全国の主要自治体に分散して貸している」感覚で、信用リスクが非常に分散されているのが共同発行の強みです。

FPコメント:元公務員として言わせてもらうと、地方自治体はそう簡単に潰れない仕組みになっています。個人投資家にとって、これは相当な安心感だと思います。

 

第279回の発行条件を読み解こう

2026年6月に発行された第279回 共同発行市場公募地方債の条件は以下の通りです。

項目 内容
期間 10年(満期一括償還)
表面利率 年2.832%
発行価格 100円(額面通り)
応募者利回り 2.832%
対国債スプレッド +0.18%(18bp)
発行総額 960億円
利払い 年2回
条件決定日 2026年6月4日
発行予定日

2026年6月25日

出典:共同発行市場公募地方債(共同債)共同発行市場公募地方債(10年) | 一般財団法人 地方債協会

利息シミュレーション(100万円投資した場合)

年次 受取利息(税引前) 10年累計
毎年 約28,320円 283,200円
10年後 元本1,000,000円が返還

※利息には20.315%の税金がかかるため、税引後の手取りは1回あたり約11,280円(年2回×10年)。税引後の実質利回りは約2.26%の目安です。

私の住む埼玉県も参加しています!
発行条件資料によると、埼玉県は今回100億円分を調達しています。つまり、この債券に投資することは、地元・埼玉を含む全国37の主要自治体に分散してお金を貸すことと同義です。

出典:共同発行市場公募地方債(共同債)共同発行市場公募地方債(10年)

FPコメント:年2.832%という利回りは、インフレや日銀の利上げを受けて、ここ数年では高水準の部類です。定期預金や個人向け国債(変動10年)と比較しても、検討に値する水準だと感じます。


投資初心者にとってのメリット3つ

① 信用リスクが低い
前述の通り、37の大規模自治体が連帯債務を負うため、実質的なデフォルトリスクは極めて低い水準です。2003年の開始以来、20年以上にわたって元本・利息の支払いが継続されてきた実績があります。


② 仕組みがシンプル

「発行価格100円で購入 → 年2回利息をもらう → 10年後に100円で返ってくる」。これだけです。複雑な条件やオプションがなく、投資初心者でも理解しやすい商品設計です。


③ 国債より利回りが高い

同じ10年物の国債と比べて、約0.18%(18bp)上乗せの利回りがあります。わずかに見えますが、100万円×10年で計算すると約1.8万円分の差です。「国債と同等の安全性に近いが、利回りは少し高い」というバランスが魅力です。

 

正直に伝える、3つのリスク

どんな金融商品にもリスクはあります。

リスク① 途中売却すると価格が変わる(価格変動リスク)
10年満期まで保有すれば、原則として額面100円で返ってきます。しかし、途中で売りたくなった場合、その時点の市場価格で売ることになります

ポイントは「金利が上がると、債券の価格は下がる」という逆相関の関係です。

金利上昇 ➡  債券の市場価格下落 ➡ 途中売却で元本割れのリスク
金利下落 ➡  債券の市場価格上昇 ➡ 途中売却で売却益が出ることも

10年債は期間が長いため、金利の動きによる価格変動の幅(デュレーション)が比較的大きくなります。基本的には「満期まで持ち切る」ことが前提の商品です。

FPコメント:5年以内に使う可能性のある資金は、10年債に入れてはいけません。生活防衛資金(3〜6ヶ月分の生活費)は必ず流動性の高い預金で確保した上で、余裕資金の一部で運用するのが鉄則です。


リスク② インフレで実質価値が目減りする
名目利率が2.832%であっても、インフレ率がそれを上回れば、実質的な購買力は下がります。例えばインフレ率が3%なら、実質的な利回りはマイナスになります。

「利率が固定されている」ということは、インフレ局面では不利に働く側面があることも頭に入れておきましょう。

 

リスク③ 税引き後の利回りは想定より低くなる
利息には20.315%(所得税+住民税)が源泉徴収されます。表面利率2.832%の税引後は約2.26%程度の水準です。NISA口座では現時点で地方債の直接購入は対象外であるため、課税は避けられません。

 

どこで買えるの?購入方法

共同発行市場公募地方債は、主に機関投資家向けに発行されますが、一部の証券会社・銀行の窓口を通じて個人でも購入できます。

購入できる主な金融機関の例
証券会社:野村證券、大和証券、SBI証券など
銀行・信金:地方銀行、信用金庫の窓口

ただし、すべての金融機関で常時販売しているわけではなく、取り扱いの有無や最低購入単位(一般的に10万円〜100万円程度)は機関によって異なります。

FPコメント:SBI証券では過去に取り扱い実績があります。ただ、個人向けに常時販売されているわけではないので、こまめに確認する必要があります。

 

こんな人に向いている

・10年以上使う予定のない余裕資金がある
・株式市場の上下動に神経を使いたくない
・個人向け国債より少しだけ利回りを上げたい
・応援したい自治体がある

こんな人には向いていない

・5年以内に使う可能性のある資金で運用したい
・大きなリターン(5%超)を狙いたい
・NISA非課税メリットをフル活用したい(地方債は対象外)

私は今回、第279回については家計全体のバランスを見て、生活防衛資金とNISA枠を優先したうえで、『老後資金の一部として10年以上寝かせておける金額なら検討する』というスタンスをとりました。実際の購入有無にかかわらず、『自分ならどう位置づけるか』を一度シミュレーションしてみることが大切です

 

まとめ

第279回 共同発行市場公募地方債のポイントを整理します。

チェックポイント 内容
利回り 年2.832%(税引後 約2.26%)
期間 10年(満期一括償還)
信用リスク 低い(37団体の連帯債務)
主なリスク 途中売却時の価格変動
インフレリスク
向いている人 10年以上使わない余裕資金がある人
購入方法 証券会社・銀行窓口に問い合わせ

地方債は「難しそう」と敬遠されがちですが、仕組みを知れば国債に近い安全性を持ちながら、少し利回りが高い債券であることがわかります。

「株は怖い、でも定期預金だけでは物足りない」という方の、守りの資産の一角として検討の選択肢に入れてみる価値はあります。

 

本記事の主な参考文献・出典

※制度や数字は執筆時点の公表情報に基づいており、将来変更される可能性があります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・投資を勧めるものではありません。投資は自己判断・自己責任でお願いいたします。

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小林良(こばやしFP事務所)

この記事を書いた人

小林 良 独立系ファイナンシャルプランナー

元地方公務員(埼玉県羽生市・17年間勤務)39歳で独立系FPとして開業。19歳から約20年にわたり日本株を中心に資産運用を実践。資産運用の相談を専門に「売りたい商品のない中立的な立場」で情報発信しています。
保有資格:AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/証券外務員一種
得意分野:新NISA・資産運用・家計設計・公務員マネー